まずは杉本店長のご案内で『三省堂』店内ツアーへ!
イベント参加者がまず集合したのは『三省堂書店 神田神保町本店』の1階。このタイミングで初めて足を運んだという参加者の方もいて、リニューアルオープン後の店内を興味深く眺めている様子が見受けられました。棚から棚へ、内なる関心が喚起させられるような店の造りです。
クロストークの前には、店長の杉本佳文さんが案内役となって「店内ツアー」が行われました。各フロアの特徴や、どういった意図をもって店内の構成が形作られているか、そこに込められた思いとともに伝わってきます。
建築史家・倉方俊輔さん×『散歩の達人』編集長・平岩美香のクロストーク
開店前の落ち着いた店内を隅々まで見て回り、いよいよクロストークが3階の会場で幕を開けました。登壇者は建築史家の倉方俊輔さんと、月刊『散歩の達人』編集長の平岩美香。
倉方さんは、2024年に始まった「東京建築祭」の実行委員長(2026年は5月16~24日開催予定)。『散歩の達人』には、2026年4月号(創刊30周年記念号)の企画「建築の30年」や、2025年5月号(神田・神保町・御茶ノ水特集)の「建築史家が選ぶレトロ建築4選」などにご登場いただいています。
『散歩の達人』では、「神保町」はこれまで1、2を争うほどの回数特集してきたエリアであり、読書や喫茶などテーマ特集でも何度も取り上げてきました。過去の神保町特集を振り返りつつ、神保町の変遷を概観します。
「東京建築祭」の盛り上がりと並行して、各メディアで解説者として出演する機会が増えたという倉方さん。重要文化財であることや、竣工年など、額面上のデータを知ることも大切ですが、実際に足を運んで魅力を感じること——倉方さんの話から、建築さんぽや街歩きをより楽しめるような視点が養われていく感覚がしました。そして、「東京建築祭」が多くの人に支持されている理由の一端も垣間見えた気がしました。
いよいよ神保町さんぽへ出発!
クロストークを経て、神保町の街へ繰り出します。この日は晴天に恵まれ、最高気温が25℃を超える夏日となりやや暑く感じるものの、比較的お散歩日和でした。
靖国通りを西進し、明治36年(1903)創業、店舗ビルは昭和6年(1931)完成の『一誠堂書店』、大正7年(1918)創業の『矢口書店』、さらに雉子橋通りへ折れ、明治30年頃創業、店は昭和8年(1933)築という『今荘』、と順に巡っていきます。
『一誠堂書店』では、倉方さんの解説に耳を傾けながら、最上部にある掲揚塔を皆で見上げていました。
『今荘』で折り返し、すずらん通りに戻ってきて訪れたのは老舗喫茶店『さぼうる』。お店の方のご好意で、午後に開催が控えていたイベント前の時間を頂戴し、“店内さんぽ”をさせてもらいました。参加者それぞれ、上から下までゆっくり見て回れる貴重な機会。均質的じゃない立体的な造りがゆえに「どの席も一等席」という倉方さんの表現に、店内を眺めながらうなずきました。
お店を後にし、『神保町シアター』、『南洋堂書店』、『文房堂』を見て行き、神保町さんぽはフィニッシュ。その建築ができた背景、そういう設えである理由——普段何気なく見ていた街の風景のひとつひとつに、新たな魅力を見出せると感じました。たとえ専門的知識がなかったとしても、“さんぽ的”に建築の妙を楽しめる、ということを。神保町さんぽの楽しみがより重層的になりそうです。
楽しい散歩から『三省堂』の会場に帰ってからは、質疑応答の時間。「散歩を楽しむコツ、街を選ぶポイント」「神保町の街としての価値」「お店の外観・内観のどこまでが建築で、どこまでが装飾なのか」「古い建物を今後どう守っていくか」など、多種多様な質問がゲストに向けられました。質問に答える流れで、倉方さんからは、建築を閉ざしたものにしないために、という「東京建築祭」への思いに関する言及も。
イベントに関わってくれた全てのみなさまに御礼申し上げます。ありがとうございました!
文・撮影=阿部修作(さんたつ編集部)






