歴史あるマンモス団地の中心で愛される食堂
1960年代に誕生した豊四季台団地は大規模団地。現在UR都市機構によって建て替えが進み、高齢者やファミリー層など幅広い世代が暮らす街へと変わりつつある。
柏駅西口から徒歩15分ほどだが、駅前から運行する豊四季台団地循環バスもあるので天候の悪い日も安心だ。
そんな歴史ある街の中心にはスーパーや書店、パン屋、クリーニング店、郵便局があり、『わとか食堂』もこの一角にある。
髙野克巳さん、紀子さん夫婦が営む『わとか食堂』の始まりは2015年。克巳さんの地元でもある南柏駅前の、小さな店からスタートした。
克巳さんは中華を中心に和食店でも修業経験があり、独立にあたって中華料理をベースにしつつ、みんなが好きなからあげで勝負しようと看板に据えた。最初は麻婆豆腐など中華寄りのメニューも提供していたという。
しかし、コロナ禍を転機に南柏の店鋪を閉めて豊四季台団地へ。団地近くでからあげを中心にした弁当やテイクアウトの店を始めた。
すると、しばらく営業を続けているうちに団地内に新設するスポーツ複合施設への出店依頼が来たのだ。プロジェクトは進んでいたものの、当時はコロナの影響で計画は長く停滞した。
「その間も営業を続けていたので、この時期を乗り越えることができました」と、紀子さんは当時を振り返る。
そして、さまざまな困難を乗り越え2023年春、現在の場所でオープンする。
住民の年齢層を考え野菜多めのヘルシーなメニューを考案。オープン当初は栄養士監修のレシピを取り入れた。ただ、いざ営業してみると、「なぜか、からあげとか“がっつり系”のメニューが人気なんですよ。年配層にはラーメンが好評で、真夏でも激アツの麺類は出ますね」と紀子さん。
運営は夫婦2人。できることを絞っていくうちに、残ったのがからあげとラーメン。これが現実に合わせて育った店のかたちだ。
夜はからあげ100種類の食べ放題コースも
名物のからあげは、「第15回 からあげグランプリ(お弁当部門)」金賞の受賞した実績もあり、お客さんの8割はからあげを目的にやってくるのだとか。そのため、昼も夜もからあげメニューははずせない。
しかも、夜はオーダー制の食べ放題コース2980円(中学生以上。小学生1490円、幼児500円、シニア〈65歳以上〉2480円。※要予約)を行っており、テイストは100種類を用意! からあげ好きにはたまらない内容だ。
加えてサラダ、ポテトフライ、ご飯、季節のおつまみといったサイドメニューもあり、お酒でも食事としても楽しめるのがいい。
「からあげはだいたい1人7、8個は平らげますが、もっとたくさん召し上がる方もいますよ」
夜もランチで提供している定食が食べられ、軽く飲みたい人は定食を“ご飯なし”にしてつまみにするなどもできる。酒は、生ビールやハイボールのほかに紀子さん厳選の地酒も自慢。自宅近くの食堂で、からあげや刺し身をつまみに軽く一杯飲んで帰るなんて最高だ。
外はカリッとジューシー。ひと口では食べきれない大きさのタルタルチキン定食
ランチは、定番のからあげやエビマヨの定食か、ラーメンがある。2026年1月からはじめた、サワラの西京焼き定食1580円や、刺身盛り合わせとアジフライ定食1980円など、魚の定食メニューも気になるが、今回のランチで狙うのはもちろんからあげ定食。その中でも、筆者が選んだのは人気のタルタルチキン定食1430円だ。
冒頭から登場するからあげの話。早く食べたくてしょうがなかったのだが、いよいよ実食する時が来た。おいしさのヒミツはどこにあるのだろう。
「そんなに特別なことはしていないと思いますが」と、紀子さんが前置きしつつ、「まず、鶏モモ肉を手切りしてるので余分な脂を落とし、粉を薄く付けただけなので、あっさりして食感が軽いんです」と話す。
下味はシンプルにゴマ油・塩。時期によってニンニクや卵が入ることもある。
驚いたのはからあげの大きさだ。1個が温州みかんくらいあり、大口でかぶりついても一度では口の中に収まりきれない。
「なぜかどんどん大きくなってしまうんですよね。近年のコスト高を考えると大変なんですけれど、お客さまがよろこんでくださるので」
そう言いながら「あはは!」と笑う紀子さん。
太っ腹なところもこの店が地域に愛されている理由だろう。
外はカリッと中はジューシー。香ばしく甘じょっぱい味でご飯がすすむ。
卵たっぷりのタルタルソースが口の端につくのもかまわず、夢中で食べ進めたくなる。
付け合わせの生野菜は、栄養のバランスを考えてたっぷり盛り付けてあるのもこの店ならでは。一緒に食べるとあっさりいただけるうえに、ドレッシングのスパイスが味変になって最後まで飽きずに食べられる。
最後の1個に箸をつけるとまだカリカリ感は健在で、おいしさはそのまま。これはぜひ、からあげファン以外にも一度味わってほしい。
次はもうひとつの看板メニューであるラーメンを食べてみたい。
取材・文・撮影=パンチ広沢








