パリッコ
1978年、東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。最新刊は神社参拝×昼酒がテーマの『ごりやく酒 神社で一拝、酒場で一杯』。西武池袋線沿線の駅に生まれ育ち、池袋で15年ほど会社員をしていた経験もあり。
『ロサ会館』とは？
池袋駅西口の繁華街「ロマンス通り」と「劇場通り」に挟まれて立つ総合アミューズメント施設。1946年に開業した『池袋シネマ・ロサ』を起源に、1968年に完成。以来、池袋の街と文化の歴史を見つめ続けてきた。ピンク色の重厚な建物は街のランドマークの一つ。
【B2F】LIVE INN ROSA
今年（2025年）で25周年を迎える、池袋を代表するライブハウスの一つ。最大収容人数は300人。ジャンルを問わず、日々さまざまなライブが行われている。エントランスに続く廊下にずらりと貼られたミュージシャンのサイン入りポスターが歴史を物語る。
【屋上】シティテニスクラブ ロサ／エフスタ！池袋／ボードゲームカフェラウンジROSA
池袋の風景が眼下に広がる、テニス&フットサルコート。お試しでボールを打っただけでもかなり爽快だった。屋内にはボードゲームを揃えたカフェラウンジも。
シティテニスクラブ ロサ ☎ 03-3986-3715
エフスタ！ 池袋 ☎ 03-5391-0251
ボードゲームカフェラウンジROSA 13:00～23:00、月・火休。☎080-4833-3636
【6.7F】池袋ロサボウル
2フロア、28レーンからなる本格的なボウリング施設。遊び感覚から本格派まで幅広く対応し、大会やレッスンも頻繁に開催されている。館内に酒類の自販機があり、飲みながらもプレイ可能なのはうれしい驚きで、そのせいかパリッコのこの日のスコアは、脅威の54。
10:00～24:00（金・土・祝前日は～25:00）、無休。
☎03-3988-8456
【1F】タイトーステーション 池袋ロサ店
『ロサ会館』のオープン時、ピンボールやクレーンゲームが設置されるとたちまち人気になった。その仕入れ先がタイトーの前身「太東貿易」だったという、大変歴史の古いゲームコーナー。現存する「タイトーステーション」としても最古の店舗にあたる。
10:00～24:00、無休。
☎03-3982-1270
【B1F】池袋本陣 呑み屋横丁
「池袋甲羅丸」「いさり火」「凛〜りん」と、持ち味の違う3つのエリアからなる横丁スタイルの居酒屋。一杯やりに寄るのにも、大人数の宴会にも対応。昼の12時から営業しているのもうれしく、マグロのお刺し身がとってもおいしかった。
12:00～24:00、無休。
☎050-5494-7190
【1F】LA MER（ラ メール）
老舗の洋食店「チェック」閉店後、代表の伊部さんが「チェーン店ではつまらない」と、趣味人の友人に声をかけてオープンした本格バー。壁にはコレクションの一部である1000枚以上のレコードが並び、「McIntosh」のアンプを通した極上の音楽が流れる大人な空間。
17:00～24:00、無休。
☎03-6912-9290
日本初とも言える総合アミューズメント施設
若かりしころ、わりと真剣に音楽活動に没頭していた時期があって、何度か『LIVE INN ROSA』のステージに立ったことがある。池袋で会社員をしていた時代は、よく1階の『みなと』で食事をしたし（今は海鮮丼専門だが、当時は安くそばが食べられた）、『池袋シネマ・ロサ』で映画も見た。そんな『ロサ会館』が、実は今も進化中らしい。そこで今回は、知っているようで知らないこの館を、上から下までじっくりと巡ってみよう。
歴史のスタートは、なんと終戦から1年後の1946年。当時製薬会社を営んでいた伊部禧作（きさく）氏が、戦後の復興には娯楽が必要であると、シネマ・ロサを開業。それが人気となり、1968年、日本初とも言える総合アミューズメント施設としてオープンしたのが『ロサ会館』だった。
現在こちらを運営するのは、禧作氏の孫である、知顕（さとあき）さん。大変パワフルな方で、『ロサ会館』のみならず、池袋の街全体を盛り上げるアイデアがお話の中にも次々飛び出してきて、こちらまでわくわくしてしまう。
初めに訪れた屋上にあったのは、池袋の街並みが見渡せる屋外コート『エフスタ！池袋』。今までその存在をまったく知らなかったので、いきなり異空間に迷いこんだようで楽しい。他にも、ボウリング、ダーツ、ゲームセンターと本気で遊べる施設は多く、1日いても飽きなそう。
個性的な酒場もあちこちに点在している。今回は、地下に広がる巨大空間で昼から飲める『池袋本陣 呑み屋横丁』と、本格的なバー『LA MER』におじゃましたが、それぞれ同じビルにあるとは思えない個性で、なんだかジェットコースターにでも乗っているよう。
個人的に熱かったのは、特別に応じていただき、『LIVE INN ROSA』のステージに20年ぶりに立てたこと。僕がここに立つのはこれが最後かもしれないけれど、そこには現在進行形で、新鮮な熱気の余韻が渦巻いていた。
取材・文＝パリッコ 撮影＝山出高士
『散歩の達人』2025年11月号より
