街と人をゆる~くつなぐ街の顔! 国立市「くにニャン」
赤い三角屋根の国立駅旧駅舎に出入りしていた猫の妖精で、正式名称は「くにたち駅舎のさんかくねこ」。
お話を聞いたのは……国立市観光まちづくり協会理事長 板坂克二さん
2012年、一橋大学の学園祭「一橋祭」で「くにたちマスコットキャラクターグランプリ」が開催されて、選ばれたのがくにニャンです。毎秋の天下市(商工祭り)、市民まつり、旧駅舎での催しなど、市内のイベントに登場しています。要望があれば保育園や幼稚園に出向いたり、春は新入生、成人の日には新成人がくにニャンと一緒に写真を撮れる記念撮影会も行っているんですよ。
それまで国立といえば旧駅舎がシンボル的存在でしたが、街に、これ!という顔ができたことは大きいですね。文教地区という少しまじめなイメージもくにニャンのゆるさが加わって非常にいいバランスになったような気がします。子育てしやすいという雰囲気にも合っているなあと。
国立市は全国で4番目に小さい市。その中に、南部の自然と駅周辺の計画された学園都市がコンパクトにまとまっています。くにニャンはそんな街と人がつながるきっかけになっている。観光協会としては頼もしいですね。これからもくにニャンには、学生や子供、高齢者などいろいろな人や地域間をつないでほしいと期待しています!
特産品を怪獣化したキャラクターはインパクト大。立川市「ウドラ」
特産品の立川うどが怪獣化した、立川市公認なりそこねキャラクター。みんなと遊ぶのが大好き。
X:udo_lla ほか
お話を聞いたのは……株式会社壽屋 企画本部メディアグループ ライセンスアウトチーム 北岸ふようさん
ウドラは2012年の立川市のオリジナルキャラクター公募で誕生しました。実は市民投票では2位でしたが、放っておくのはもったいない!と弊社を含めた立川の企業が共同で活動を始めました。
初仕事の2013年のたちかわ楽市では、小さな子が軒並み泣きました(笑)。大きくて白くて口がギザギザ、この風貌は怖がりますよね。でもインパクトはすごいからいっぺんに覚えてもらえる。活動は市内中心で、3月の立川シティハーフマラソンに応援で参加したり、成人式の舞台であいさつしたり、冬になるとウドの販売促進にも駆り出されます。立川はウドの生産量が都内で1位なんです。
今ではウドラ目当てに市外から来られる方もいて、立川の集客にも少しは貢献できているかなと思っています。住む人や訪れる人が「立川が好き」だと自信を持って言える理由の一つに、「ウドラがいるから」だと言ってもらえるように頑張りたいです! 今後の目標は、野菜親善大使になって、立川の野菜を市外にアピールして生産量や出荷量の促進のお手伝いをすること。せっかく野菜のキャラクターですしね。
行政と市民を近づける、愛すべき蛍。国分寺市イメージキャラクター「ぶんじほたる ホッチ」
お話を聞いたのは……国分寺市市政戦略室 まちの魅力企画担当 渡辺拓史さん
国分寺市の魅力的な資源をアピールしようと、その中でも象徴的な水、緑、光をイメージして2012年に生まれたのが、ぶんじほたるホッチです。当時、市内に本社があり創業50周年を迎えたタツノコプロさんに制作してもらいました。
さまざまなイベントに参加していますが、夜の夏祭り、東京都の名湧水に選ばれる姿見の池に展示したホタルの鑑賞会など、お尻が光るホッチならではの活動も多いです。2025年4月は、市の観光大使であるピアニスト・福間洸太朗さんの武蔵国分寺跡でのコンサートでホッチが共演したんです。緊張しながら一音一音、大きな手で鍵盤を叩(たた)いて伴奏する姿がほほえましかったですね。
行政は堅い印象を持たれがちですが、ホッチが行政手続きの案内や市の広報物に登場することで親しみやすさを演出でき、市民との距離が近くなったと感じています。ホッチにはこれからも幅広い世代が行政に関心を持てる入り口として活躍してもらいたい。そして豊かな自然だけでなく、歴史や科学など多彩な面が調和した市の地域活性化と愛着の醸成を一緒に目指していきたいですね。
取材・文=下里康子 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2025年9月号より





