「カレーハイ」は本当に美味しいのか??
日本ではだいたいどこの街でも「カレー」が食べられる。夏になると、雑誌の特集はカレー一色で、(聞くところによると、『散歩の達人』最新号もカレー特集らしい!)カレーとは無縁の飲食店でさえ、限定メニューの枠にカレーが食い込む。たまに国民食の域を超えて、もうカレーの国なんじゃないかとさえ思う。
そんな中、さんたつ編集部からの「カレーハイ、イケる」とのタレコミがあった。酎ハイにササっとカレー粉をかけるだけで良いという。ほんまかいな。
いや。
確かに、私の中のカレーの良いところ100選のひとつに“多様性”がある。カレーは定型がなく、多様性が叫ばれるこの時代にあった食べものなのだ。
それなら、カレー味のお酒があってもおかしくはない。
「すべてをハイにする」とは??
自粛期間中、自宅から出る唯一のチャンスである“買い出し”を楽しむために生まれた遊び。「何に焼酎を入れると美味しいか」を考えながら、スーパーやコンビニへ行き、新しい「〇〇ハイ」を開発する。この遊びをはじめれば、どこへ行くのも立派な散歩。少し視点を変えるだけで、いつもの売り場でハイになれる。
そう、お酒というフィルターをかければ、世界は輝いている。
「全てをハイにする」の基本ルールは以下。
ルール①焼酎に入れたら美味しそうなもので割って飲んでみる
ルール②食べ物を粗末にしない
カレー粉の迷宮
カレー粉とひとくちに言っても様々だ。スーパーのカレー粉コーナーへ行くと、どれを買うか迷って一生出られなくなる人間もいる。
そもそもカレー粉自体が“カレーの素”のニュアンスで使われているから、ブロックやペーストになっているものもある。〇〇ハイを作るのにちょうど良さそうな粉末にも、スパイスのみが調合されたタイプと油や出汁が入っているタイプがある。
今回はどちらも試してみることにする。
分離したカレー粉をすする
何も考えずに、プレーンの酎ハイに混ぜて飲んでみたが、選んだカレー粉のせいなのかどうしても分離してしまう。ただ、後味が驚くほどスパイシーだった。ちょっと、むせた。レモンサワーに胡椒を入れるみたいに、アクセントとして少量入れるなら、直入れもありだが……。
とにかく、磨けば光る。そんな予感がした。
焼酎のカレースープ割りを作ってみる
それぞれのカレー粉をお湯を入れて、焼酎のカレースープ割りをつくってみる。
油と出汁入りのカレー粉は少しとろみがあって美味しい。もう一方は、スパイシーなだけのお湯だったので、顆粒の鶏がらスープの素を入れてみるとイケる。
冬、体を温めることを言い訳に飲みたい味だ。
夏用の冷たい「カレーハイ」は、ざらざらした味
カレーハイは、夏こそ美味しくなければと思い、氷を入れてみる。スパイスのみのカレーハイはなんだか物足りない味になり、油と出汁入りの方は妙なとろみと固まった油が混ざって、口の中でざらざらした。「これは飲めん」と残してしまった「カレーハイもどき」は、晩ご飯のオクラの天ぷらの衣に使った。美味しくできた。
ここで、新しい食材を投入!
お湯もしくは水で「カレーハイ」を作ることに行き詰まり、豆乳を使ってみることに。
温めた豆乳でカレー粉を溶いて、
あらかじめ作っておいた豆乳ハイに入れる。
できた。
マンゴーラッシーみたいな見た目。最初はカレーの香りが来て、豆乳のまろやかさを感じ、最後にびりっとスパイシーな味わいが後を引く。カレーと豆乳ハイは予想通りあう。これは牛乳でも美味しく作れそうだ。
「カレーハイ」は、カレーだった
手間と味の存在感を鑑みると、もはや「カレーハイ」という名のカレーだ。その多様性がゆえに、カレーという大きなカテゴリに飲みこまれてしまうのだ。(包容力ともいう)
その証拠に、おつまみは塩らっきょうとカレー専用の福神漬けがベストマッチだった。なんだかあべこべだが、料理を〇〇ハイに落とし込むと、新しいペアリングも生まれるらしい。
そして「これは無理だろ……」と思うものも、意外と〇〇ハイにできるようだ。皆さんも、大好きなおかずを〇〇ハイに仕立ててみてはどうだろうか。
次回は、カレー粉ではなくスパイスでカレーハイを作ってみる予定だ。乞うご期待!
撮影・文=福井晶