猛暑から身を守る「クーリングシェルター」って?

うだるように暑い夏。お出かけ中にほんの少しでいいから涼しい場所で休めたらどんなに良いか……。でも、近くにカフェがない。お店でゆっくりできる時間はない。そんな時に駆け込めるのが「クールシェアスポット」や「クーリングシェルター」です。これらは猛暑から一時的に身を守るために休憩ができる場所で、公共の施設のほかドラッグストアなど、民間の企業も登録されています。

クーリングシェルターの一例。港区役所の区民ラウンジ(写真提供=港区)。
クーリングシェルターの一例。港区役所の区民ラウンジ(写真提供=港区)。

クールシェアスポットとは、節電のために冷房の使用を我慢するのではなく、涼しい場所をみんなで共有しようと設けられる場所です。クーリングシェルターは「熱中症特別警戒アラート」が発表された時に、暑さをしのぐため開放される冷房の効いた場所です。普段から涼み処として過ごせる所もあります(※クールシェアスポットとクーリングシェルターは重なる場合も多いとされています)。

国内外からの観光客が多い港区では区役所や区民センターなどのほか、東京タワーや東京ミッドタウンもクーリングシェルターになっています。

熱中症の予防にはこまめな水分補給が欠かせないが、港区役所内では無料の給水スタンド(ウォーターサーバー)も設置されている(写真提供=港区)。
熱中症の予防にはこまめな水分補給が欠かせないが、港区役所内では無料の給水スタンド(ウォーターサーバー)も設置されている(写真提供=港区)。

シェルター(shelter)とは「避難所」や「保護施設」の意味で恐ろしい語感を受けますが、近年の暑さは命を奪うほどの脅威になっています。このまま地球温暖化が進行すると、熱帯夜や猛暑日がますます増加し、全国各地で40度を超える酷暑になるという予測もあります。暑さから命を守るために、一度お近くのクールシェアスポットやクーリングシェルターをチェックしてみてください。東京都内のクールシェアスポット、クーリングシェルターは東京都環境局のホームページ(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/tokyo_coolhome_coolbiz/coolshare)から確認できます。

他にもこんなクールスポットが!街中のオアシスで気分爽快

クールシェアスポットやクーリングシェルターの他にも、街中では暑さをしのげる場所がたくさんあります。日差しの照りつける日に銀座を散歩していると、砂漠の中のオアシスのような場所を見つけました! それが、こちらの街中ミスト! 「築地川銀座公園」のベンチの上から涼し気なミストが噴出されていたのです。

「築地川銀座公園」のベンチとミスト。酷暑の夏のオアシスのような場所。
「築地川銀座公園」のベンチとミスト。酷暑の夏のオアシスのような場所。
勢いよく噴出されるミスト。水道水を使用しているため安心。
勢いよく噴出されるミスト。水道水を使用しているため安心。
首都高速道路の真上にある「築地川銀座公園」。築地と銀座の間、東銀座駅からすぐの場所にある。
首都高速道路の真上にある「築地川銀座公園」。築地と銀座の間、東銀座駅からすぐの場所にある。

強い日差しで熱を持っていた体にミストが当たると、思いのほか涼しくなり気分爽快! もうここから出たくなくなってしました。ミストでほんの少しだけ服が濡れてしまいますが、再び日差しの下に出るとあっという間に乾きました。

ミストでクールダウンしたらまた元気にお散歩へ。
ミストでクールダウンしたらまた元気にお散歩へ。
「築地川銀座公園」では6月最終金曜日から9月末日まで、毎日9時から17時までの間、ミストが出る。
「築地川銀座公園」では6月最終金曜日から9月末日まで、毎日9時から17時までの間、ミストが出る。

さらに、「築地川銀座公園」から歩いて数分の歌舞伎座を通り過ぎた先にもミストがあります。通行中の外国人観光客やサラリーマンも数分間ミストを浴びて、また猛暑の中を歩き出していました。束の間の休憩でも涼しいミストでクールダウンできると、気分が和らぎますよね。

歌舞伎座近くの街中ミスト。
歌舞伎座近くの街中ミスト。
ひんやり涼しいミストで気分爽快!
ひんやり涼しいミストで気分爽快!

天気図にあの動物が現れたら猛暑に警戒を!

最後に、特に暑さに警戒していただきたい日の天気図を紹介します。図1の天気図を見ると、日本付近から朝鮮半島まで太平洋高気圧が張り出しを強め、等圧線がクジラの尾のような形をしているように見えませんか?

図1「クジラの尾型の天気図」2019年8月3日、全国的に真夏日・猛暑日が続出し、久留米(福岡)で38.4度を観測した(画像=ウェザーマップ、追記〈クジラの絵〉=片山美紀)。
図1「クジラの尾型の天気図」2019年8月3日、全国的に真夏日・猛暑日が続出し、久留米(福岡)で38.4度を観測した(画像=ウェザーマップ、追記〈クジラの絵〉=片山美紀)。

気象業界ではこれを「クジラの尾型の天気図」といい、この気圧配置が現れる時はいつも以上に猛暑に警戒が必要だと身構えます。最高気温が35度以上になる猛暑日の地点が続出したり、時には40度に近い極端な高温となったりすることもあります。

日傘の活用、水分補給など基本的な熱中症対策もお忘れなく。
日傘の活用、水分補給など基本的な熱中症対策もお忘れなく。

真夏に外出する時はこまめな水分補給や休憩を意識するとともに、クールシェアスポットやクーリングシェルターを活用する、木陰やミストのある場所で休む、日傘やハンディファン(携帯用扇風機)を使うなど万全な対策を心がけるようにしましょう。また、危険な暑さが予想される時には、日差しの強い時間は外に出ることを避ける、散歩や外出はなるべく気温の下がる時間帯にすることも大切です。

 

 

参考:東京都環境局 クーリングシェルター・TOKYO クールシェアスポット
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/tokyo_coolhome_coolbiz/coolshare

文・撮影=片山美紀