冷たい北風が身に染みる「風冷え」への対策は?

寒さと一口に言っても、いくつか種類があるのをご存じでしょうか?

たとえば、冷たい風が吹き付ける時、体感的には気温よりも寒く感じることがありますよね。特に西高東低の冬型の気圧配置になる時は、高気圧から低気圧に向かって、寒気を運ぶ北寄り~西寄りの風が吹きます。

雪や雨の降る日本海側だけでなく、晴れる太平洋側でも風が身に染みて震える寒さになります。

西に高気圧、東に低気圧の「冬型」の気圧配置。寒気を運ぶ冷たい風が吹く(画像=ウェザーマップ)。
西に高気圧、東に低気圧の「冬型」の気圧配置。寒気を運ぶ冷たい風が吹く(画像=ウェザーマップ)。
日ざしがあっても、空気がキンキンに冷えている冬空。
日ざしがあっても、空気がキンキンに冷えている冬空。

一般的に風が1m/s吹くと、体感温度は1℃下がるといわれます。このため風が強い時は天気予報の予想気温通りに備えるだけでは不完全なのです。

いわゆる「風冷え」への対策は服装などを工夫して、とにかく冷たい風を通さないことです。

首元は風を通さないことが大事。
首元は風を通さないことが大事。

タートルネックのセーターを着る、マフラーを巻く、イヤーマフラーで耳を覆うなどの対策を取りましょう。ただし、人の多い屋内に入る予定がある場合は、外との寒暖差が大きく急に暑く感じることがあるので過剰な厚着はしないように気を付けてくださいね。

足元からブルブル。「底冷え」に注意したい気象条件

足元から冷え込むような寒さを「底冷え」といいます。底冷えは、特に放射冷却が強まる朝に注意が必要です。放射冷却とは、夜間に地面から熱が逃げて、翌朝、地面付近の気温が下がることです。冬だけでなく一年中起きている現象ですが、冬の夜から朝にかけて、おだやかに晴れている際、その効果が強まります。

雲があると、雲が布団のような役目をするので地面から熱があまり逃げていきません。そして、風が強いと冷たい空気は上空の暖かい空気と混ざり合いやすくなるので、冷え込みは弱まります。

最も気温が下がるのは、大体朝6時前後の日が出る頃の時間帯です。早朝から散歩をしたり、初日の出を見に行ったりする時は特に気を付けたいですね。

「夜間の晴天」と「風が弱いこと」は冷え込みが強まる気象条件(画像=ウェザーマップ)。
「夜間の晴天」と「風が弱いこと」は冷え込みが強まる気象条件(画像=ウェザーマップ)。

12月から1月は東京都心でも気温が0℃程度まで下がることがあります。

底冷えに備えるには、足元を温めるグッズが役立ちます。スカートはやめてパンツスタイルにする、足首まで温めることができるブーツをはく、靴用のカイロを仕込んでおくなどの対策がおすすめです。

近年はメンズ用のタイツも人気で、温熱効果の高いアイテムもたくさん登場しています。色々な防寒グッズを試してみて、自分に合ったものを見つけて備えましょう。

外は寒くても、ポカポカの足元で散歩を楽しみたい。
外は寒くても、ポカポカの足元で散歩を楽しみたい。

日差しがないと体感温度は急降下。「湿気寒」に気を付けたい現象は?

雲に覆われて雨や雪の降る日は、いつも以上に寒く感じますよね。冬は日差しがあるかないかで体感温度が大きく変わります。同じくらいの気温でも、雨や雪が降っていると晴れの日に比べて、身体の熱が奪われていくような感覚になる……。これが「湿気寒」です。

湿気寒への対策は、天気予報をよく確認しておくことです。日本海側の地域では、冬に雨や雪が降るのは当然のことだという認識がありますが、太平洋側では冬は晴れるのが当たり前というイメージがありませんか?予報を確認していないと、突然の雨や雪に濡れて冷えてしまうということも起こり得ます。

特に関東地方の人に注意してほしいのが、海から雲が広がる時です。大陸から吹く季節風が中部山岳にぶつかることで二手に分かれ、再び関東の沿岸付近でぶつかることがあります。風がぶつかり合う所では雲ができやすく、この雲が陸地まで広がると、予報が晴れマークだったとしても、曇ったり、弱い雨が降ったりすることがあるのです。

中部山岳を回り込んだ北東風と、若狭湾から吹き抜ける北西風がぶつかり、雲が発生する(画像=ウェザーマップ)。
中部山岳を回り込んだ北東風と、若狭湾から吹き抜ける北西風がぶつかり、雲が発生する(画像=ウェザーマップ)。
本降りの雨はもちろん、予想の難しい雲の発生にも注意をしておきたい(画像=ウェザーマップ)。
本降りの雨はもちろん、予想の難しい雲の発生にも注意をしておきたい(画像=ウェザーマップ)。

この現象を「忍者雲」や「ならいの土手」と呼ぶこともあります。ただし、この雲の広がり方を正確に予想するのは難しく、お天気アプリでは上手く表示されないこともあります。気象予報士の解説なら、一言触れられることもあるので、よーく聞いてみてもらえるとうれしいです。

楽しいイベントが増える季節、お散歩やお出かけ中に風邪を引かないように寒さの種類を意識して備えてみてくださいね。

 

文=片山美紀 画像=片山美紀、ウェザーマップ