①まちだガールズ・クワイアのライブを見よう!
地元(まちだ)に推しがいる幸せ『まほろ座MACHIDA』
『まほろ座MACHIDA』で毎月イベントを開催するガールズコーラスグループ「まちだガールズ・クワイア」。町田のご当地アイドルをルーツとする彼女たちの活動は9年目を迎え、パフォーマンスが成熟。美しいコーラスに加え、客との距離が近い和やかで熱いライブで「推したい」気持ちが高まる! 町田愛に満ちた圧巻のステージを、その目で確かめよう。
②隠れた古書店で宝探し
金・土・日のみ営業のレア書店『書店Eureka(ユリイカ)』
町田仲見世商店街の2階、こんなところになぜ? と驚く空間にある書店。「古本屋のない街には住めない」と語る店主・近藤映斗(あきと)さんが作る本棚には『ガロ』などのサブカル、文芸、アート、人文系の本がズラリ。創業から7年かけこの書店は知名度を高めてきた。刺激を求めに若いサブカル好きもやってくるとか。サブカルの啓蒙活動はこれからも続いていく。
・13:00~19:30、月~木休。
・☎090-2316-6846
③まるで宝石のようなケーキに舌鼓♪
自分へのご褒美スイーツに癒やされる『パティスリーアンカド』
クリーム、ムース、ナッツ、そしてフルーツ。さまざまな味と食感が楽しめるケーキ店。ホテルなどで経験を積んだオーナー・山根悠樹さんの技巧と想いの詰まった商品が並ぶ。「ケーキ10種とガトーショコラ3種が常時あるので、食べ比べを楽しんでくれる方も多いです」と山根さん。ギフトにはもちろん、自分用のプチ贅沢(ぜいたく)にも最適だ。ケーキは752円~、焼き菓子は263円~。
・11:00~19:00(カフェは12:00~18:00)、火休(臨時休あり)。
・☎042-851-7217
④小さな世界をのぞいてみよう
美しい風景模型・Nゲージの聖地『アトリエminamoジオラマギャラリー』
書店員を経て独学で模型作家になり、テレビ番組や施設の模型も作るという宮澤雅文さんのアトリエ。「ジオラマという趣味の面白さを伝えたい」と話す店主自作キットを使ったジオラマ製作体験(キット込み3480円~、要予約)も人気だ。Nゲージを走らせられるレンタルレイアウトもあり、模型好きや鉄道ファンが訪れる聖地にもなっている。
・12:00~20:00(土・日・祝は11:00~19:00)、月・火休。
・☎042-851-8085
⑤ランチに「スパイスカレー」という選択を
他店も立ち上げたプロが編み出す『Curry&Bar Jamming』
飲食店が多く立ち並ぶ町田に、2023年にオープン。本日の3種のカレーから、1種盛り、2種盛り、3種盛り1300~1600円を選べる。定番のバターチキンから珍しいマスタードフィッシュなど種類豊富。「体にやさしいグルテンフリーのカレーを提供していきたい」と店長の池上直樹さん。この店のカレーを食べると、心も体も元気になること確実だ!
・12:00~15:00・18:00~24:00、木休。
・☎042-709-3265
⑥町田で(!?)織田信長に思いをはせてみる
重要文化財も展示中『泰巖(たいがん)歴史美術館』
「泰巖」は織田信長の戒名が由縁。そう、ここは信長ゆかりの品々にあふれた美術館だ。「戦国、江戸の資料のコレクターの方が町田在住でこの地に美術館ができたんです」と学芸員の中村亮佑さん。町田が信長スポットになっているとは。甲冑、書状、日本刀は学術価値が高いうえに美しい。ここに飾られている品々はアートなのだ。
・10:00~17:00、月休(祝の場合は翌平日休)。
・一般1500円。
・☎042-726-1177
⑦仲見世商店街で早めの時間から飲み歩き
焼き肉「いくどん」直系の最新店舗『煮込み屋いくどん』
町田で『いくどん』は炭火焼き焼き肉店で有名だが、この店はもつ煮750円(大)、せいろで蒸す豚足600円が看板。店主・山﨑亮さんは『いくどん本店』で修業し独立。渋谷で店を築き、2024年の夏、町田に帰還した。当初は焼き物なしで煮込みの店にするつもりが、我慢しきれず七輪を購入! 慣れ親しんだ炭火焼き料理も好評だ。
・17:00~22:00(土・日・祝は15:00~売り切れまで)、水休。
・☎042-810-8028
魚で一杯、のつもりが……『結(ゆう)き』
まだ夕方なのにもう満席。酒、魚好きが集う『結き』はカウンター5席の小さな店だが、たくさんの常連が行き交う繁盛店。刺身3種盛り800円、銀たら煮付け900円と良心的な価格もうれしい。実は店長の新居佑規さんは、町田の人気寿司店『鮨・地魚あら井』の息子さん。だから魚料理が絶品。ちょっと一杯のつもりがついつい長尻に!
・16:00~翌4:00、水休(不定休あり)。
・☎090-7829-8840
⑧最後はクラフトビールで乾杯!
「きまま」な時間を過ごせる場所『きままクラフトビアスタンド』
「いつか醸造所を造りたいという気持ちで町田に戻ってきたんです」と話す宗清航大さんは、この店を2024年3月にオープンさせ、その野望に向け日々躍進中。厳選されたクラフトビールを常時8種(レギュラー900円~)用意。自家製アチャール400円などのおつまみとも相性抜群だ。締めの一杯はこちらで決まり!
・16:00~23:00(土は14:00~、日・祝は~19:00、祝前日の日は~23:00)、火休。
・☎なし
あらゆる世代の人と価値観が交わり合う、カルチャーのるつぼ
町田の人と話すと「店や人の移り変わりが多い」と皆が口を揃える。新しいものがどんどん入ってくる街の、今を楽しむ方法とは。
まずは『書店Eureka』で本の世界に没入。「町田には以前『高原書店』という三浦しをんさんがアルバイトしていた有名古書店もありました。郊外だからこその面白い文化がある街なんです」と店主の近藤さん。町田サブカル文化にどっぷり浸かって少し疲れたなら『パティスリーアンカド』で、宝石のような胸キュンスイーツで癒やされよう。
体力が回復したら、今度は模型の世界へ。「手先の器用さなんて関係ないんです」とは模型作家の宮澤さん。工作が苦手な人でも、ジオラマの世界の奥深さにときめくはず。
『泰巖歴史美術館』も、別角度でマニアな世界を楽しめる場所だ。書状をはじめ、織田信長の貴重な資料が町田に集結しているなんて、驚き。
日が暮れ始めたら仲見世商店街の『煮込み屋いくどん』で一杯。ハシゴ酒よろしく『結き』ののれんをくぐれば「また明日来ます」と話す客と入れ違った。仲見世には毎日だって来たくなる温かさがあるんだな。
この流れで『まほろ座MACHIDA』で「まちだガールズ・クワイア」のライブを見よう。「デビュー当時はメンバーよりもお客さんのほうが少ないこともあったんです」とメンバーは昔を懐かしむが、今や『町田市民ホール』の舞台にも立つアーティストに成長。6人が奏でるハーモニーに、聞きほれてしまうこと間違いなしだ。
締めはクラフトビールで乾杯。『きままクラフトビアスタンド』は2024年にできたばかりだが、すっかり街に溶け込むリラックス空間だ。「町田は優しいお客さんが多い。みんなでわいわいできるのがいいんです。うちにもいい常連さんが多いんです」と店主の宗清さんが話すように、これらのスポットに共通するのは、何度も行きたくなってしまうということ。
そういえば「まちだガールズ・クワイア」のメンバーがこんなことを言っていたっけ。「町田の子は駅前に遊びに行くことを『町田で遊ぼう』っていうんです(笑)」。
町田市は広いが、駅前周辺だけでも一つの文化圏を形成しているのだ。もちろん、駅から離れたところにだって、魅力はあふれているのだけど。
都心から遠いようで近い「郊外」は、さまざまな人が行き交う巨大な交差点。まずは駅前から、町田ならではのカルチャーを満喫してみては。
取材・文=半澤則吉 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年11月号より