ジェラードン

高校の同級生だったアタック西本(左)と海野裕二(現在休養中)、ピン芸人のかみちぃ(右)の3人で2008年にジェラードンを結成。2021年キングオブコントで決勝進出(5位)。YouTube『ジェラードンチャンネル』は登録者数130万人超え。

大宮はひどいって話ばっかり聞いていた

—— お二人お気に入りのお店、『食堂 多万里(たまり)』さんにやってきました。

かみちぃ ライブの合間によく来ます。

西本 夏はテーブルにうちわが置いてあって、それもいいんですよ。

—— 大宮、すっかり人気の劇場となりました。

かみちぃ 僕ら入った時こんなんじゃなかったですけどね(笑)。

西本 前から3列ぐらいしかお客さんいなかった(笑)。僕らが来たきっかけは、たまたま大宮のライブに出させてもらったときに、会話の流れで「お前も大宮セブン入りたいだろ?」って言われて。何も考えずに「入りたいっす!」って言ったら、次の日にはもう「大宮セブン」ってスケジュールが入ってて、え、本当に決まったんだ……みたいな。相方には「勝手に決めんなよ」って怒られるし(笑)。

かみちぃ だって大宮はひどいって話ばっかり聞いてたんですもん。

—— マヂカルラブリーがM-1で優勝して、形勢が変わってきた。

かみちぃ マヂラブさんの優勝前に、まずすゑ(ひろがりず)さんがゲーム配信でバズって。時間差でみんなが結果残していったのが大きかったと思います。

西本 すゑさんすごいよね。今でもグッズ誰が一番売れるかって勝負事になると南條さんめっちゃ強い。俺最近ちょっとやばいなって思ってるんですよね。俺のライブ、どんだけ盛り上がっても絶対(配信期間)延長しないから……。

—— しかし外で撮影していたら若い子がたくさん集まってきますし、テレビやYouTubeでのブレイクはやはり大きい。

かみちぃ 僕一人でいる時はあんまり気づかれないですね。西本は絶対に「あの人だ」ってなるけど。

西本 僕ら自身はもっとテレビめちゃめちゃ出たいです。テレビに憧れて入ってきたんで。でも「YouTubeで行くんだよね?」みたいによく言われる。

かみちぃ ロバートさんとかナイナイさんとかネプチューンさんに憧れてNSC入ったもんなぁ。

西本 テレビでコントやりたいけど、全然今無理じゃないですか。すごいお金かかるらしいし。『新しいカギ』(フジテレビ)とかではやってるけど、そういう若手番組にはぜんっぜん選ばれないんですよ。

かみちぃ 若手に見られがちですけど、実はそんな若手でもないですしねぇ。

「楽しい」でも「大変」。二人にとっての大宮とは

—— 大宮セブンの中でもジェラードンさんは永遠の若手イメージかもしれない。

西本 大人に見えないんでしょうね。発言とかスタンス、ボケ方に知性がない。言葉で勝負してる人たちの中に行くとなおさら目立つ。地方に行くとよく声をかけられるんですけど、「タケー」って。「タケさん」でも「こんにちは、いつも見てます」でもなく「タケ!」。

かみちぃ 僕にも「タケ、インスタやってないの?」とかDMくるな(笑)。

西本 大宮だとそこがさらに強調されるのかもしれない。ちょっとマジで楽しすぎるんですよ、大宮。「明日大宮だ」ってなるとすごいテンション上がる。

かみちぃ たしかにメンバー見て「あ、これはもう盛り上がるな」ってめっちゃワクワクしますね。

西本 基本、大宮ってフリー演技に近いんですよ。台本も骨組みはあるけど、明確なゴールが設定されているわけじゃない。だからむっちゃスベることもあるけど、異常に興奮する。それが好きな芸人たちが大宮に集まっているイメージです。

かみちぃ かなり鍛えられる。でも僕は真逆というか、大宮には染まらないぞっていう気持ちでここまできました。自分のその芯をブラさないようにやってきたこの6、7年。

—— ノールールの戦場に放り込まれながら。

かみちぃ 『アメト——ク!』の大宮セブン特集で「実は大宮が合わないです」と言えたことがよかったなと。言えなかったら、ずっともやっとした状態で、無理にわーってやって、笑いも取れてなかったと思います。今はもういい意味でふっきれました(笑)。

—— 忘れられない大宮エピソードって何かあります?

西本 あの、元コマンダンテの石井ブレンド……あ、すいません「コマンダンテ石井」は雑誌的に大丈夫ですか?

かみちぃ 大丈夫だろ(笑)。

西本 石井ブレンドは寄席と寄席の合間にコーヒー誘ってくれて、『ALL THAT COFFEEWORKS』っていう、オールザッツ漫才みたいな名前のお店によく連れて行ってくれるんです。ただそこまでの道のりが40分ぐらいかかるんです。

—— そんな遠いんですか?

西本 時計見たら10分、15分なんですけど、体感40分あります。

かみちぃ 僕も石井くんと行った時、石井君はすらーっとしたスーツで、僕はその当時衣装が半袖短パン。「何これ? はずかしいな」って体感40分歩きました。

—— とにかく体感40分(笑)。

この続きはぜひ本誌で
インタビューの続きは『散歩の達人』2024年5月号に掲載されています。撮りおろしカットの全貌とあわせ、ぜひ雑誌をお手に取ってご覧ください。
また、5月号には特別付録「大宮セブン おすすめ おでかけカタログ」が付いています!
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『食堂 多万里』[大宮]

■JR・私鉄大宮駅から徒歩3分
■11:30~19:00、木休
■埼玉県さいたま市大宮区大門町1-62
■048-641-3551

劇場 information

2024年の7月で10周年を迎える『大宮ラクーンよしもと劇場』と大宮セブン。8月11日の沖縄を皮切りに、全国3カ所(沖縄・大阪・埼玉)で大宮セブン10周年ツアーを開催!
詳細は、劇場HP等をチェック!

取材・文=西澤千央 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年5月号より一部抜粋して再構成

お笑い劇場と芸人と街。その三者の素敵な関係を、そこで活躍する芸人自身の言葉から紐解(ひもと)く連載の第四幕。『大宮ラクーンよしもと劇場』を案内してくれるのは2019年M-1決勝進出、今や全国区の人気芸人となったすゑひろがりず。おもちゃ箱のようににぎやかな大宮ラクーンビルのエスカレーターを上がった先に、和服の2人はいた。