豆の品質・味・焙煎にとことんこだわるコロンビアコーヒー専門カフェ
表参道駅から徒歩3分ほど。骨董通りで朝9時前から客が並んでいる店を発見した。
『lohasbeans coffee』は、コロンビア産スペシャルティコーヒーを専門に取り扱う商社が2017年にオープンしたフラッグシップカフェ。コロンビアの農園からコーヒー豆を仕入れて自家焙煎し、人や環境に配慮したスペシャルティコーヒーを提供している。
“スペシャルティコーヒー”とは品質管理が徹底された高品質のコーヒーのことで、流通量が少なく高価なものだが、この店では比較的手ごろな価格でいただける。コーヒーだけでなく、食事やスイーツも「絶品!」「おしゃれ!」とSNSで注目を集めており、なかでも人気のイチゴをぜいたくに使った平日6個(土日は8個)限定のナポレオンパイ目当てに朝から行列ができる。
「コロンビアは縦に長い地形なので、気候条件などで豆の味がだいぶ異なります。農園ごとにいろんな特徴があるのがおもしろいですね。コロンビアコーヒーに関しては専門的にご案内できるので、コーヒーマニアの方にもお楽しみいただけると思います」出迎えてくれたのは、店長の小池風咲子さん。
ザクザク×ふわふわ感がたまらないクロワッサンフレンチトースト
さっそく、店自慢のコーヒーとともにモーニングをいただくとしよう。今回はモーニング限定メニュー、クロワッサンフレンチトーストをチョイス。
クロワッサンを半分にカットした面をフレンチトーストにして、バナナ・ベーコン・チーズをサンド。生クリームとメイプルシロップがトッピングされている。
クロワッサンにフォークとナイフを入れると、カリッと心地好い音が♪ 生地の外側はザクッと仕上がっており、内側はしっとりしていて、なんとバランスの良いこと。
クロワッサンに生クリームをつけて、熟したバナナと香ばしいベーコンをいっしょにほおばると、甘みと塩味の無限ループがはじまり……、もう止まらん!
ザクザク×ふわふわ、カリカリ×しっとり、などなどいろんな食感を一度に楽しむことができて、お口の中がし・あ・わ・せ♪ さらにメイプルシロップをかけていただくと、もはやカンペキ過ぎです!
「ドリップホットコーヒーは日替りで、セットも単品もおかわり自由です。うちは“コーヒー屋さん”なので、お客さまにいろんな種類のコーヒーをたくさん飲んでいただきたいと思って」と小池さん。
おいしいコーヒーを何杯もいただけるとは、これまたありがたや~!
クロワッサンが最後までサックサクで大満足♪ あまりにおいしくて2~3個は軽~く食べられそう。これぞモーニングにぴったりのお食事だ。
おいしいコーヒーをもっと身近なものに
コーヒーがおいしい店に来たからには、やはりスペシャルティコーヒーを頼まずにはいられない。ちょっと奮発して、一番高価なEL DIVISO 1200円を注文。“クレバーコーヒードリッパー”という器具を使って、浸漬法(しんしほう=時間をかけてゆっくり抽出する方法)でドリップするところを見せてもらった。
注文してから10分ほどで、ティーポットと透明なグラスがテーブルに運ばれてくる。コーヒー豆の色や香りを存分に楽しんでもらおうと、客が自分で注ぐスタイルにしているのだそう。それもまた一興。
喫茶店文化が根づく名古屋ご出身の小池さん。日本におけるスペシャルティコーヒーの先駆けとなったコーヒーショップでバリスタ修業後、現在勤める商社のグループ会社が名古屋で出店するカフェの店長を任された。その後、『lohasbeans coffee』の店長となり、現在、飲食事業部のカフェマネージャーも兼任している。
この店に異動してきたときはスイーツばかりが話題で、こだわりのコーヒーはあまり注目されていなかったのだとか。そこで、小池さんはコーヒー豆を選べるハンドドリップのメニューを新たに考案し、お客さまに豆の種類を説明できるようにスタッフを教育するなど、この3年間、スペシャルティコーヒーの魅力を多くの人に伝えようとコーヒー改革を進めてきた。
「いろんな方にコーヒーをお飲みいただけるように、きっかけづくりができたらいいなと思っています。お客さまにコーヒーの魅力や奥深さを知っていただけたらうれしいですね」と小池さん。
「店のコンセプトは、“コロンビア産に特化したスペシャルティコーヒーが飲める”“食事もスイーツもとびきりおいしい”オールデイカフェです。その魅力をもっともっと発信していきたいと思います」
行列を成す人気店なので長居は遠慮せねば……だが、1日中(オールデイ)いたくなるような居心地のいい店だった。次回は噂のナポレオンパイにお目にかかれるように、早起きして出かけるとしよう。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=コバヤシヒロミ