アパレル会社が運営する70'sアメリカンの雰囲気漂うカフェ

渋谷と代官山、恵比寿のちょうどまんなかにあり、近年はおしゃれな飲食店が増えてきた並木橋周辺。並木橋交差点の公衆トイレを右折すると、古い雑居ビルの中にカフェ『BUY ME STAND』がある。レンガの壁がレトロっぽくて紛れもない今ドキのオシャレカフェだ。

ストライプの屋根とレトロなガラスのドアもいい感じだ。
ストライプの屋根とレトロなガラスのドアもいい感じだ。

店内は二等辺三角形のような不思議な形をしているが、エメラルドグリーンの壁やわっしわっしと茂る観葉植物、70’sを思わせる茶色のテーブルと椅子がマッチしている。壁にかけられたイラストもアメリカンでレトロチック。そして店の真ん中に走るカウンターが個性的だ。元は美容室と聞いたらこのフロアに6脚あるおしゃれなバーチェアが、美容室のイスにも見えてきた。

床の模様や天窓の形などところどころにレトロのエッセンスが散りばめられている。
床の模様や天窓の形などところどころにレトロのエッセンスが散りばめられている。

店長の鈴木天夏さんに話を聞いた。「アパレル等を取り扱うライフスタイルブランド『SON OF THE CHEESE(サノバチーズ)』のオーナーが2015年にグリルドチーズサンドイッチ専門店を開きました。サンドイッチの定番メニューは、グリルドチーズのアメリカンテイストに仕上げています」。

2021年からここで働き始めた鈴木さん。この店のどこか懐かしい雰囲気がお気に入りだそう。
2021年からここで働き始めた鈴木さん。この店のどこか懐かしい雰囲気がお気に入りだそう。

3階はCMにも使用されたイベントスペース兼客席

入り口が道路に面していたからてっきりここは1階かと思っていたら、実はビルの2階だと聞いて驚いた! まだ開店前なのに、すでにモーニングを目指してやってきたお客さんが列をなしている。フロアに6席しかないお店で順番を待つなんて、みなさん相当気合いが入っているなあと筆者は勝手に感心していたのだが、3階にもフロアがあるんだそうだ。

以前は会員制のラウンジと、ライフスタイルショップ『SON OF THE CHEESE』を運営。バーカウンターはその名残りだ。
以前は会員制のラウンジと、ライフスタイルショップ『SON OF THE CHEESE』を運営。バーカウンターはその名残りだ。

「2階が満席になった時は3階でも食事をすることができます。元は会員制のラウンジだったので、ソファやテーブルがゆったりと配置されていて人気があるんです。このソファ席で某飲料メーカーのCMを撮影したこともあるんですよ」。イベントスペースとしても開放し、アートや音楽、パーティ、撮影など多目的に利用できるという。

朝日がたっぷりと注いで清々しい。
朝日がたっぷりと注いで清々しい。

パンや目玉焼きを大きな鉄板で一気に焼くBREAKFAST PLATE

この店は、まずカウンターで注文を済ませるスタイルだ。メニューにはモーニングとランチの部門があるが、どちらも8時からオーダー可能。ただし、モーニングメニューは11時で終了となる。「モーニングはトーストですが、ランチはグリルドチーズサンドイッチのメニューになります。これはオーナーがNYに行った時に食べたサンドイッチがあまりにおいしくて、店員さんから教えてもらったレシピを参考にしています」。

へぇー! でもせっかく早起きして来たから朝限定のものがいい。トースト、目玉焼き、ベーコン、サラダ、ハッシュドブラウンがつき、いかにも朝のド定番っぽいBREAKFAST PLATE950円を選んだ。

チンベルの横にある目玉焼きのオブジェがかわいい。
チンベルの横にある目玉焼きのオブジェがかわいい。
ランチメニューと書いてあるほうも8時からオーダー可能だ。
ランチメニューと書いてあるほうも8時からオーダー可能だ。

カウンターから大きな鉄板が見え、鈴木さんが調理に取り掛かった。ただの卵やベーコンなのだが整然と並べられるとものすごくフォトジェニックだ。

「ベーコンはカリカリにするので先に焼きます」と鈴木さん。卵を割ると黄身がこんもりしていてかわいい!
「ベーコンはカリカリにするので先に焼きます」と鈴木さん。卵を割ると黄身がこんもりしていてかわいい!
パンはバターで焼くから風味がアップ。仕上げは目玉焼きに塩コショウをフリフリ。
パンはバターで焼くから風味がアップ。仕上げは目玉焼きに塩コショウをフリフリ。

カウンターにあるドリンクサーバーからコーヒーを注いで、いざ実食だ。お腹がグーグー言っている。そそくさと席に着き、ナイフとフォークを握りしめた。

エメラルドグリーンのお皿がおしゃれ! ドリンクはコーヒーか紅茶が選べる。
エメラルドグリーンのお皿がおしゃれ! ドリンクはコーヒーか紅茶が選べる。

「パンをちぎりながら卵やベーコンを食べる人もいますし、具材をパンに挟んでサンドイッチにしてもいいですよ」と鈴木さんが言うので、まずは卵を食べてみることにした。ナイフを入れるととろ〜りと黄身が溢れ出してきた。ほほう、ここはそのタイプの目玉焼きなのね。

ナイフを入れると、黄身が半分ほど流れ出す程度の硬さ。この卵は食べてしまおう。
ナイフを入れると、黄身が半分ほど流れ出す程度の硬さ。この卵は食べてしまおう。

というわけで、残りの目玉焼きを食パンにサンドして食べてみた。

ベーコン1枚、コールスロー少々、目玉焼き1個を食パン2枚でサンド。これがこの日の筆者の食べ方だ!
ベーコン1枚、コールスロー少々、目玉焼き1個を食パン2枚でサンド。これがこの日の筆者の食べ方だ!

薄めのパンだからサンドイッチにしても食べやすく、バターで焼いているから香りもいい。カリカリのベーコンの塩味や凝縮された味わい深さ、甘酸っぱくてブラックペッパーがきいたコールスローは清涼感と食感で大いに貢献している。個性的な具材をまとめ上げるのが半熟の目玉焼きだ。どんな食材とも相性がよく和でも洋でも引っ張りだこの目玉焼きはさすが、朝食の優等生だ。すっかり食べ終わったが、最初に注いだコーヒーはもう飲み切ってしまった。食後のコーヒーが飲みたい。

飲み物はおかわりができる。本来はサーバーからセルフでいれるのだが、撮影のため鈴木さんにご協力いただいた。
飲み物はおかわりができる。本来はサーバーからセルフでいれるのだが、撮影のため鈴木さんにご協力いただいた。

う〜ん、もう一杯コーヒーが飲めるのはありがたい。マグカップを持ちながら店内を見回すと渋谷のクラブなどで夜通し遊んだらしき人や、スーツケースを傍らに持つ人もいる。もしや長距離バスを利用した人がここを目指してやってきたのだろうか。

さまざまな年齢層の人たちがここへ朝食を食べにくる。いわばこのカフェは渋谷の止まり木。筆者もこのコーヒーを飲んだら、次の人に座席をゆずろう。

住所:東京都渋谷区東1-31-19 マンション並木橋202/営業時間:8:00〜16:00LO(モーニングは11:00LO)/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄渋谷駅から徒歩6分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢