コーヒー生豆から注文ごとに焙煎して売られる「煎りたて・新鮮コーヒー豆」
『グリーン珈琲焙煎所』には、常時60種類のコーヒー豆が置かれている。それぞれの豆は焙煎される前の生の状態で並んでおり、お客さんから注文が入った段階で、お店にあるロースターで焙煎をする。
「おいしいコーヒーに大切なのは、良質なコーヒー豆と焙煎後の鮮度です。コーヒー豆は産地や生産者により品質や味わいが異なるため、当店は必ず商社よりサンプル豆を取り寄せ試飲して、厳選したコーヒー生豆のみを取り揃えております」
そう語るのは、お店を運営する山本さん。もちろん、生粋のコーヒー好きだ。
今回いただいたのは、お店オリジナルのビターブレンドコーヒーと、スペシャルティーコーヒー。お客さんのご注文毎に生豆を焙煎して煎りたての新鮮なコーヒー豆を提供しており、また、注文毎に焙煎するので、通常のおすすめ焙煎に加えお客さんの好みにあわせて焙煎できるのも特徴だ。
10席ほどあるカフェコーナーで、まずは、ビターブレンドコーヒーの極 ブレンド550円からいただいた。
一口飲んだ瞬間、深いコクが口の中を支配する。舌を優しく包み込むような苦味で、奥深い味わいが広がる。
対して、スペシャルティーコーヒーとして提供いただいたエチオピアゲイシャ750円はブレンドではなく、希少なストレートコーヒーである。
コーヒーの中でもファンが多いコーヒー豆の種類で、一口飲むと、極ブレンドとの差が際立って、華やかな甘味と酸味が口いっぱいに広がる。果実のような風味も感じることができ、フルーティーなおいしさに包まれる。
生の状態から焙煎されるコーヒーの新鮮さが、このおいしさを作っている。
お客さんに合わせたコーヒーを
それぞれのコーヒー豆を紹介するプレートには、おすすめのロースト方法が書いてある。
「といっても、これはあくまでも目安で、お客さんごとにさまざまなこだわりがある人もいるので、そのオーダーに合わせて焙煎をしています。はじめて来た方だと、何をどのようにたのんでいいかわからないので、このように目安を書いているんですよ」
『グリーン珈琲焙煎所』の大きな特徴は、来たお客さんそれぞれに合わせたコーヒー豆を提供することだ。この店には会員カードがあって、お客さんが購入した商品が、そこに記録される。
そこには買った品種だけではなく、どれぐらいのロースト具合だったか、という情報も書き込まれる。すると、次にお客さんがその店に来た時でも、その人の好みがよくわかる。味の好みは表現がしにくい。だからこそ、会員カードのシステムで、いつでも個人が飲みたいコーヒーを飲めるような仕組みを整えているのだ。
「お客さんの中には研究熱心な人もいて、うちで出しているすべてのコーヒーを端から飲んでいく人もいます。最終的には自分好みのブレンドを作って頼む人もいるんです(笑)」
選択肢の多さとカスタマイズ可能なシステムは、さまざまなコーヒーファンを魅了してやまないのだ。
コーヒーを通して気軽に話せる空間を
店内ではコーヒー豆だけではなく、挽きたての豆でつくるドリップコーヒーのパックなども売っている。このドリップコーヒーは、お客さんがオリジナルのパッケージを作ることもでき、お礼や内祝いなどのプチギフトや結婚式の引き出物にする人などもいるという。
また、コーヒー豆の中にはデカフェというカフェインレスのコーヒーもあって、健康を気遣う人や妊婦の人でも飲むことができる珈琲なのだという。もちろんデカフェも生豆から焙煎、おいしいデカフェと好評との事。
このように、店にはコーヒーを身近に感じてもらえる工夫がたくさんあるのだ。
『グリーン珈琲焙煎所』の前身は、健康食品を販売する会社から生まれたという。元々、健康に配慮した食品を提供したいということで、生豆から焙煎したコーヒー豆を提供するようになった。現在はここ市川と津田沼に二店舗を構え、おいしく新鮮なコーヒーを提供し続けている。
「お店に来た人が気軽に話してもらえるような場所を目指しています。近所の人たちの憩いの場所になってほしいですね」山本さんは、そう語る。
コーヒーを介して、さまざまな人がつながり、愛される空間へ。『グリーン珈琲焙煎所』は、今日も香ばしいコーヒーの香りで、近隣の人々を優しく迎え入れている。
取材・文・撮影=谷頭和希