まだ見ぬデザインの白玉粉を探して
以降、白玉粉のデザインが気になって仕方がない。そもそも白玉だんごは、その丸くて白い形そのものがデザイン性に優れている(その点では、以前このコラムで取り上げたタマゴと似ているかも知れない)。しかしその材料である白玉粉のパッケージも素敵なものが多いのだ。
倉庫に描かれていた玉三の白玉粉は、関東近辺のスーパーでは割とよく見かける。
しかし日本はコメの国である。全国各地には、まだ見ぬデザインの白玉粉が存在しているのではあるまいか。そう思った私は、旅先でグッとくる白玉粉を探し始めるようになっていた。
惹かれるパッケージの数々
先ほどの玉三の袋もそうだが、白玉粉デザインの一つの流れとして、調理例写真がパッケージになっているものがある。
確かに出来上がった白玉だんごは、丸々ツヤツヤとしていて、購買意欲をそそられる。
一方で、「白玉粉」と書かれた文字のみの潔いパッケージもある。
文字だけと言っても、味わい深い書体で書かれていることが多く、それだけで一つのデザインとして完成している。
他にも、いかにもだんごが好きそうな子どもや、大石内蔵助などキャラクターが書かれたもの、モダンな配色のものなどさまざまだ。
しかし、総じてレトロなパッケージであることが多いようである。
お正月、餅を食べ飽きたら白玉を
ところで、白玉粉のデザインの楽しみは表面ばかりではない。多くの白玉粉は、その裏面に調理例や手順がイラストで紹介されているが、このイラストが何とも味わい深い。
たとえば、上にも挙げた日の出製粉(熊本)の白玉粉の裏面を見てみると、「白玉みつかけ」「ぜんざい」「フルーツポンチ」「あべ川」といった調理例のイラストがある。雑誌『暮しの手帖』の挿画にありそうな、温かみのあるタッチで描かれている。
南目製粉(島根)の白玉粉の裏面には「召しあがり方いろいろ」と柏餅やぜんざいが図解されているが、「ナンメのきなこをまぶして……」と、しっかり自社製品の宣伝がされているのが微笑ましい。
冒頭で紹介した玉三の白玉粉にはよもぎ入りのものもあるのだが、作り方のイラストでは白玉ならぬ緑玉になっているのも、細やかな配慮である。
もうすぐ新年。餅を食べ飽きた時には、同じもち米を原料とする白玉を作ってみるのもよいのではないだろうか。
イラスト・文・写真=オギリマサホ