海外勢が躍進! ハイレベルな戦いとなった2023年の本選

「抹茶ラテアートを通して、バリスタとしての技術の向上と、日本茶のおいしさや価値、作り手のストーリーを伝えること」を目的に、2019年より開催されてきたJapan Matcha Latte Art Competition。2023年大会は台湾やタイなど、海外からもラテアートの世界大会で上位に入賞する世界トップクラスの実力者たちが顔をそろえ、試合は混戦を極めました。

2023年10月19日、第6回となるJapan Matcha Latte Art Competition 2023が、Amber(東京・自由が丘)にて開催されました。今年は、日本のみならずアジア各国からも実力者が参戦! 国境をまたぐ熱戦を繰り広げた本大会の様子をレポートします。

そんな中で見事、チャンピオンに輝いたのが『DRIP&DROP COFFEE SUPPLY』の林 伸治バリスタ! 優勝発表の直後、興奮冷めやまぬままにうかがったインタビューの様子をお届けします。

ラテアートの原点に立ち返り、見事チャンピオンに! 林バリスタインタビュー

―― 優勝おめでとうございます! まずは、今の気持ちを聞かせてください。

最高にうれしいです! ありがとうございます!

正直にいうと全本戦出場者を知ったとき、世界のトップで活躍する海外勢の顔ぶれに、「優勝」のビジョンはぼんやりとしか見えていなかったのですが、決勝に残ることさえできれば勝てる自信はありました。

というのも、決勝の審査は観客投票。2020年大会で準優勝に敗れた結果を踏まえ、とにかく「お客様目線」で「お客様に喜んでいただけるデザイン」を考え、今、自分ができるすべてを出し尽くそうと練習に取り組んできました。「お客様へ感動体験を届けること」こそラテアートの本質というのが、僕が大切にしている考えです。その考えに間違いがなかったことが証明され、そして何よりお客様に僕の気持ちが伝わったことを、素直にうれしく思います!

―― 「お客様目線」で考えたという、優勝を勝ち取ったラテアートのデザインについて教えてください。

対戦ごとにデザインを変える選手たちも多くいる中、あえて予選から一貫して同じデザインで勝負してきました。それが、この星をあしらったペガサスです。

実はベースとなっているペガサス自体はけっしてユニークなものではなく、ラテアートの世界ではかなりベーシックなデザイン。本来、多くの選手が描いていたヤギなどが今一番のトレンドでしょうね。

ただやはり、ベーシックなものほど分かりやすいですし、「どんなお客様が見ても美しいこと」を極めたかったので、その中でいかにオリジナリティと驚きを表現できるかを考えました。誰にとってもなじみがあり、思わず心ときめく星の絵柄は、うまくアイコニックになったなと思います。

―― 海外選手の本選進出を知り、戦略や意識に変化はありましたか?

ありましたね。今、ラテアートの世界はどんどん発展していて、いろいろなデザイン・技術が生まれています。ペガサスのデザインを選んだことにも通ずるのですが、世界のトップ選手たちが力を入れるトレンドものだと、デザインや傾向がほかの選手とかぶる可能性が高いと思っていました。なのであえて誰もやらないであろう基本を選び、とにかく完成度を高めることに重点をおいたんです。

もちろんベーシックで勝負する以上、少しでもミスがあれば致命的なマイナス点になります。求められるのは「絶対的な完成度の高さ」。一切気を抜かず、常に完璧の出来になるよう繰り返し練習してきました。

 

―― 練習の際に苦労したこと、工夫したことはありますか?

レシピづくりでしょうか。抹茶の量や湯量、点て具合、その後の濾(こ)しの作業などは何度も調整しました。少しでもダマがあったり抹茶の粘度が強かったりすると、コントラストが悪くなり表面にムラができてしまう。10年以上バリスタを続けていますが、マシン抽出のエスプレッソにはない作業なので、奥深いなと思います。

―― そういえば今回林バリスタは、日本の伝統的な鍋である雪平の抹茶碗を使われていましたね。

特注品です(笑)。僕が所属している京都の『DRIP & DROP COFFEE SUPPLY』で普段から使っています。平たい抹茶碗だと点てにくいこともあるのですが、深掘りで軽量なので混ぜやすいんですよ。店でやっていることをそのまま再現したかったので、京都から持ってきました。

―― ほかにも、エスプレッソのラテアートと抹茶ラテアートとで違いを感じることはありますか?

デザイン性も変わると思います。コーヒーだとにじんでしまうような細かい絵柄も、抹茶だとくっきり描けるんですよ。まさに今回の星のマークがそう。アート全体の中でアイコンになることはもちろん、抹茶ラテだからこそ表現できる絵柄として取り入れました。

ただ、コーヒーでも抹茶でも、魅力づくりで大事にしている本質は同じです。「お客様に感動を届けること」。そこに変わりはありません。

 

―― 林バリスタが考える抹茶ラテ、抹茶ラテアートの魅力とは?

京都という土地柄もあり、店には海外からのお客様も多く来られるので、抹茶ラテは日本ならではのカフェの楽しみとして本当に喜ばれます。そこにアートが加われば、なおのこと。特に、日本人の方でも、抹茶でもこういったラテアートができることを知らない人が多いのでたくさんの方から驚きや感動の声をいただきます。

 

―― 最後に、今後の目標を教えてください。

抹茶ラテアートを通じて、これからもたくさんの方に喜びや感動、そしてそのおもしろさを届けていきたい。抹茶の奥深さや、コーヒーとの違いによるラテアートそのものの楽しさを、より感じていただける機会をつくれればいいなと思います。

もちろん一バリスタとしても、この優勝を糧に、エスプレッソのラテアートの大会でも世界に向けて挑戦を続けていきます!

林 伸治(はやし しんじ)
『DRIP & DROP COFFEE SUPPLY』(京都)バリスタ。JLAC 2018優勝、JLAC 2019準優勝。勤めていたイタリアンバールでエスプレッソマシンと出合ったことをきっかけにコーヒーの世界へ。『小川珈琲』で研鑽を積み、2016年、『cafe marble』を手掛ける株式会社マーブルへ。JMLAC 2020準優勝。

DRIP & DROP COFFEE SUPPLY
京都府京都市中京区榎木町99-1
075-256-2022

Photo by 安田直樹・吉田浩樹   Writing by RIN(Re:leaf Record)