国内外のバリスタが日本ならではの「抹茶ラテ」に一杯入魂!

2019年の初開催以来、「抹茶ラテアートを通して、バリスタとしての技術の向上と、日本茶のおいしさや価値、作り手のストーリーを伝えること」を目的に開催されてきた、Japan Matcha Latte Art Competitionも今回で6回目を迎えました。年々、目覚ましくレベルアップを遂げる参加競技者たちにより幅広い可能性を提供するため、2023年大会は本大会への出場枠を16名に拡大。会場をAmber(東京・自由が丘)に移し、予選応募総数55名の中から選手名非公開で行われた写真審査を勝ち抜いた選手たちが技を競いました。

◆本大会出場者(敬称略)

  • Kittipich boonsawasd(キティピッチ ブンサワッド) / Sukhumvit Coffee(タイ)
  • Wen Hong(フゥァン ウェン ホン)/ Shawn Coffee(台湾)
  • HSU KUO WEI(シュ グゥォ ウェイ)/ The nineties coffee(台湾)
  • Tsai Hung Yen(ツァィ ホン イェン)/ Shawn Coffee(台湾)
  • Sarawut Manngan(サラウッ マンガン)/ Sukhumvit coffee(タイ)
  • LAI KWOK YING (ライ グゥォ イン)/ Flow Float(香港)
  • 神山 莉月(カミヤマ リツキ)/ KITASANDO COFFEE
  • 竹口 清音(タケグチ スガト)/ COFFEE BASE BnA
  • 鈴木 千尋(スズキ チヒロ)/ KITASANDO COFFEE
  • Wu Tse Lun(ウー ヂェ゛ァ ルゥン)/ Lun Latte Art Studio
  • 吉田 真衣(ヨシダ マイ)/ STREAMER COFFEE COMPANY NAKAMEGURO
  • 森下 陸(モリシタ リク)/ DRIP & DROP COFFEE SUPPLY
  • 木嶋 陸斗(キジマ リクト)/ KURO COFFEE STAND
  • 坂口 純(サカグチ ジュン)/ swell coffee roasters
  • 林 伸治(ハヤシ シンジ)/ DRIP&DROP COFFEE SUPPLY
  • 吉田 匡(ヨシダ タダシ)/ cafe&gin mono

過去大会の上位入賞者が着実に勝ち上がってきた中、注目はなんといっても超強力な海外勢! ラテアートの世界大会で上位に入賞する世界トップクラスの実力者たちがずらりと顔をそろえました。同じくラテアート世界大会で優勝経験を持ち、大会の司会・解説を務めた「ターナー」の愛称で親しまれる田中大介さんも大興奮!

約100人の観客のもと、予選ステージスタート!

試合はトーナメント形式で行われ、決勝までの予選ステージは、審査員による厳正なジャッジのもと指差し投票によって勝者が決まります。抽選の結果、トーナメントの組み合わせは次のように決定!

今年の審査員を務めたのは、2012年・2016年にWorld Latte Art Championに輝いた「PATHFINDER XNOBU」のオーナー・下山修正バリスタ、「LATTEST」のマネージャーで、コーヒー豆の焙煎や産地への視察なども行う宗広裕美バリスタ、そして日本茶専門店「Satén japanese tea」のオーナーであり、大会委員長でもある小山和裕氏の3名です。

本選での評価のポイントは、「①デザインのバランス」「②コントラスト」「③創造性」「④完成度」「⑤スピード」。抹茶の粉のダマや極端な色ムラが目立つものは減点となることはもちろん、よりスピーディーに美しいアートを仕上げることも高い技術力の証として評価対象になりました(2者のうち先に作品を提出した選手に加点)。

鮮やかなラテアートの鍵となる抹茶は、今年も京都の宇治・白川で作られた「製茶 辻喜」の抹茶を使用。2022年の第76回全国茶品評会にて最高得点を獲得し、一等一席(日本一)、農林水産大臣賞を受賞した辻喜の辻さんが大会のために特別にブレンドした文字通り最高品質の抹茶です。

さあ、100名以上集まった観客の熱気に包まれながら、いよいよ競技のスタートです!

◆第1ステージ (★が勝者)

第1ラウンド:★Kittipich boonsawasdバリスタ vs Tsai Hung Yenバリスタ
第2ラウンド:★鈴木 千尋バリスタ vs 森下 陸バリスタ

第3ラウンド:★Sarawut Mannganバリスタ vs 木嶋 陸斗バリスタ
第4ラウンド:吉田 匡バリスタ vs ★Wen Hongバリスタ

第5ラウンド:神山 莉月バリスタ vs ★Wu Tse Lunバリスタ
第6ラウンド: HSU KUO WEIバリスタ vs ★吉田 真衣バリスタ

第7ラウンド:★LAI KWOK YINGバリスタ vs 坂口 純リスタ
第8ラウンド:竹口 清音バリスタ vs ★林 伸治バリスタ

今年は第1ステージから審査員泣かせのハイレベルな戦いに! さすがは経験豊富なラテアートの実力者たち、デザインの難易度・完成度の高さはもちろんのこと、グリーンと白の鮮やかなコントラストも、1杯を正確無比に仕上げてくる技術力も圧巻です。

また、大会ルールであるフリーポアラテアート(ピッチャーからミルクを注ぐ動きだけで絵柄を描く技術)には、ピッチャーを揺らしながらハートやリーフなどを描く「流す系(対流系)」と、ミルクをのせるようにしてペガサスなどを描く「置く系」の2種類がある中、今年は多くの選手が「置く系」で勝負していたことも、トレンドといえるでしょう。

◆第2ステージ(★が勝者)

第9ラウンド:★Kittipich boonsawasdバリスタ vs 鈴木千尋バリスタ
第10ラウンド:★Sarawut Mannganバリスタvs Wen Hongバリスタ

第11ラウンド:★Wu Tse Lunバリスタ vs吉田 真衣バリスタ
第12ラウンド:LAI KWOK YINGバリスタvs ★林 伸治バリスタ

第1ステージを勝ち進んだ8名によって第2ステージが行われ、4名の準決勝出場者が決定! この時点で、なんと4名中3名が海外勢に。世界のレベルの高さと共に、彼らがいかに、自国で、抹茶ラテアートの練習を重ねてきたかが感じ取れる結果に、観客や審査員からも称賛の声が止みません。

限定抹茶カクテル&スイーツも。イベントとしての楽しみ方もバージョンアップ

こうして、選手たちが高いスキルと熱意で競技に臨む一方、今年のJapan Matcha Latte Art Competitionは、観客にとっての大会の楽しみ方も大きく拡大されました。特に多くの方が堪能していたのが、会場となったAmberのバーテンダーが本大会のために特別に考案した限定の抹茶カクテル。「抹茶のクリームチーズケーキ」も合わせて販売されるなど、観戦だけでなく、大会を通して“お茶でチルする時間”も楽しめるイベントに。

『Refresh Style』
「製茶 辻喜」の抹茶を漬け込んだジンに、華やかなエルダーフラワーのリキュールとフレッシュなグレープフルーツをプラス。白熱の戦いが繰り広げられる大会の会場でスッキリとのどを潤す一杯。

『Bitter & Sweet Style』
「製茶 辻喜」の抹茶を漬け込んだウォッカをベースに、ホワイトカカオリキュール、ハーブリキュール、檜ビターズを加え、カカオニブをトッピング。抹茶の甘さとほのかな苦味、カカオの香りが感じられ、ゆっくりと味わいたくなる、ずっしり重さのあるショートカクテル。

競技の合間には随時ブレイクタイムが設けられ、選手や観客同士で交流を楽しむ様子も。
競技の合間には随時ブレイクタイムが設けられ、選手や観客同士で交流を楽しむ様子も。

もちろん、来場者特典である「振る舞い抹茶ラテ(「製茶 辻喜」の抹茶使用)」も大好評! 今年は、協賛企業である「タカナシ乳業」「マイナーフィギュアズ」「アーモンド・ブリーズ」の各ブランドから、生乳・オーツミルク・アーモンドミルクが選べるとあって、思い思いに好みの抹茶ラテを味わう観客の様子がうかがえました。

◆準決勝

そして競技はいよいよ準決勝に突入です! 時刻は19:00を過ぎ、仕事終わりの人も続々と駆けつけ、会場はますますヒートアップ。

★Kittipich boonsawasdバリスタ vs Sarawut Mannganバリスタ

Wu Tse Lunバリスタ vs ★林 伸治バリスタ

シンキングタイムぎりぎりまでジャッジに迷う審査員の表情からも、いかに僅差の戦いであるかが伝わってきます。そんな接戦を勝ち抜き、決勝にコマを進めたのは……、Kittipich boonsawasdバリスタと林伸治バリスタです!

ついに決勝! 最終決戦の勝者を決めるのは会場にいるすべての観客

チャンピオンを決める決勝戦の審査は、観客や惜しくも敗退した選手たちも加わり、会場にいる全員の投票によって勝者が決められます。

両選手の最終作品がこちら! Kittipichバリスタは力強くしなやかなゴート(ヤギ)、林バリスタは、予選から一貫して星があしらわれたペガサスで勝負に挑みました。

フリーポアで描いたとは思えないほど美しいラテアートを目の当たりにした観客からは、ため息にも近い歓声や、投票に悩む声が。興奮した様子で、たくさん写真に収める姿もありました。

観客は1人1票、ピンポン玉を茶箱に入れて投票!

さあ、運命の結果発表です! 映えあるJapan Matcha Latte Art Competition 2023チャンピオンに輝いたのは……

「DRIP&DROP COFFEE SUPPLY」の林 伸治バリスタです!

発表の瞬間、お互いを称え合い握手を交わす両選手。チャンピオンとなった林バリスタは、「何より、“お客様目線”に立って感動体験を与えられるよう取り組んできました。素晴らしい結果をいただけて本当にうれしいです! ありがとうございました!」と喜びの言葉を寄せました。

「抹茶ラテアート」を世界へ。まだまだ可能性は無限大

例年にも増して非常にハイレベルな戦いとなったJapan Matcha Latte Art Competition 2023。抹茶ラテアートの可能性を、国内、そして世界に向けて大きく広げる大会となりました。これからもJapan Matcha Latte Art Competitionでは国内外に向け、抹茶や日本茶の発信を続けていきます。
最後に、この場をお借りし、ご参加いただいたバリスタの皆様、ご協賛・ご後援いただいた企業・協会の皆様に心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

<第6回大会協賛企業>
製茶 辻喜、株式会社 K-ai、FBC International、株式会社ブランディングコーヒー、ラッキーコーヒーマシン株式会社、タカナシ乳業株式会社、ニコウトレーディング株式会社(マイナーフィギュアズ)、アーモンド・ブリーズ

<後援>
日本ラテアート協会、日本茶インストラクター協会

<主催>
Japan Matcha Latte Art Competition運営事務局
(株式会社抽出舎 小山和裕、茶しごと 原光太郎、CafeSnap 大井彩子)

撮影=安田直樹・吉田浩樹  文=RIN(Re:leaf Record)