スペインのランチメニューの定番、カニのクロケッタ
外国料理の飲食店では一部の地方に伝わる料理を出すことが多いそうだが『スペイン食堂 エルペケーニャ』では、スペイン全土の料理を楽しむことができる。通常のランチメニュー1200円は、特製ハンバーグ、カチョボなど、全部で7種類。今回はその中から、スペインの代表的なランチ料理であるカニのクロケッタをいただいた。
カニのクロケッタは日本でいう“カニクリームコロッケ”に近いが、このクロケッタはスパイシーな風味が食欲をそそる一品。スパイシーさの正体は味付けに使われているホワイトペッパーらしく、クリーミーさに爽やかな刺激が加わり、思わず次々と口に運んでしまうおいしさである。さらにクロケッタにかけられているトマトソースは、にんじん・セロリ・玉ねぎなどを1時間以上煮込んで作られたこだわりのソースで、ほどよい酸味がクロケッタのスパイシーさを引き立てている。
おかわり無料のスペインパンは、ふんわりとした柔らかい口当たりで、スペイン料理と相性が良い。店長の安倍さんによるとアヒージョのオイルなどをよく吸い込むため、そういった料理を楽しむ際にもおすすめなのだそう。もちろん、クロケッタの野菜の旨味が凝縮したソースとも相性は抜群。クロケッタを食べきって、お皿の上に残ったソースもスペインパンで綺麗に無くなるまでいただいてしまうほどだ。
こだわりのドレッシングは、あまりのおいしさにファンがついている
ランチメニューに含まれるサラダは、手作りのドレッシングで味付けされている。サラダのドレッシングを含む、店舗で提供するソースは全て手作り。安倍さんいわく「このドレッシングが好きで通っていただいている常連さんもいるんです」と熱烈なファンがついているらしい。
店名の由来と店舗開業に込められたオーナーの想い
店名はオーナーがつけたもの。店長の安倍さんから「ぜひ聞いてほしい」と『エルペケーニャ』の店名の由来を教えていただいた。“エル”はスペイン語の男性名詞で“ペケーニャ”は小さな女の子という意味だという。スペインの文法では矛盾がある表現になるが、“男勝りな女の子”を意味するオーナーの造語で、これは快活で明るい奥様のことだそうだ。
オーナーは様々な飲食店で働いた後、自身が修業をしたスペインの味を伝えたいという想いでスペイン料理の店を開業したそう。そんな想いの詰まった『スペイン食堂 エルペケーニャ』は、2023年11月20日で6周年を迎えた。さらに押上にもスペイン料理を提供する新店舗を構え、そちらはオーナー夫妻が店舗に立っているそうだ。
オーナーの想いが詰まった『スペイン食堂 エルペケーニャ』。今回頂いたメニュー以外にもランチ・ディナー共にこだわりのスペイン料理をいただくことができる。ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。
取材・文・撮影=青野 奈月