JR総武線浅草橋駅から徒歩2分。お洒落な外観が目を引く。
JR総武線浅草橋駅から徒歩2分。お洒落な外観が目を引く。

ランチタイムに訪れると店内は満席。人気の高さが窺える。

この日はランチタイムの一番人気だというワンプレートランチ1200円をいただいた。バゲットとスープに、日替わりのデリカテッセンが詰まったプレートである。

すべてが主役のワンプレートランチ

目でも楽しめる美しい花畑のようなワンプレートランチ1200円。
目でも楽しめる美しい花畑のようなワンプレートランチ1200円。

この日のメニューは、戻りガツオのカルパッチョ、三元豚のローストポーク、ゴルゴンゾーラのポテトサラダなど。

メニューを日替わりにしているのは、シェフの松田直也さんのこんな思いがあるからだ。

「できるだけ色々なものを楽しんでいただきたいので、季節の食材を厳選して使っています。旬のものは味がよいのはもちろん価格的にもたっぷりご提供できるので、量でも満足していただけるとうれしいなと思います」

『Le Marais』のワンプレートランチはすべてが主役である。色鮮やかなキャロットラペを口に運ぶと、まるでフルーツのような軽やかでフレッシュな香りが口いっぱいに広がった。

「オリーブオイルは、イタリア・リグーリア特産のタッジャスカ種オリーブを使用したサンタキアラを使用しています。完熟しない段階で手摘みされたオリーブを使っているので、繊細な香りが楽しめます」

もうひとつのこだわりが塩である。塩田の水面に浮かぶ小さな結晶を花びらを摘むように手作業で収穫される希少な塩、ゲランドが食材の魅力をグッと引き出す。

仕上げに使うことが多いというマルドンは、やや大粒でパリッとした食感が魅力だ。イギリス東部で200年以上の歴史をもつ製法でつくられた英国王室御用達の塩である。

料理の仕上げにかけられた塩はマルドン。パリパリとしたマルドンの食感が、柔らかい三元豚の旨味をより際立たせる。
料理の仕上げにかけられた塩はマルドン。パリパリとしたマルドンの食感が、柔らかい三元豚の旨味をより際立たせる。

サンタキアラとゲランドで下ごしらえされた脂がのった戻りガツオは、素材のもつおいしさが最大限に引き出されている。ディナーのコースで出てきてもおかしくない贅沢な味わいだ。大きな満足感に包まれると同時に、この価格で食べてしまっていいのだろうかという気持ちになるほどだ。

バゲットは、MOFブーランジェ(フランス最優秀職人)フレデリック・ラロス氏によってつくられたもの。一次熟成されたものを直輸入し、お店で焼き上げている。

このバゲットがとにかく旨い。料理にふんだんに使われたサンタキアラを、たっぷりと染み込ませて口に運ぶ。口の中がフルーティな香りに包まれ、これだけでも十分に満足してしまう。

日本古来の野菜とフレンチの出合い

野菜本来の瑞々しい味わいはまるでメインディッシュだ。
野菜本来の瑞々しい味わいはまるでメインディッシュだ。

『Le Marais』のメニューからは野菜への思いも感じる。新鮮なサラダはもちろん、料理に使われている野菜も興味深いものが多い。取材に訪れた日の今日のパスタ1000円は、九条ネギを使ったジェノベーゼだった。

「新鮮な旬の野菜本来の味を堪能していただきたいので、産地にはあえてこだわらず、その季節で一番おいしいものを提供しています。日本固有の野菜を使ったメニューも積極的に取り入れていますので、フレンチとのマリアージュを楽しんでいただきたいですね」

平日のランチメニューは全部で4種類。なかでも平日限定5食の牛肉のビーフカツレツ1200円は、毎日すぐに売り切れてしまう人気メニューだ。少しレア目に揚げられた柔らかいリブロースに、牛骨を使ったオリジナルの特製デミグラスソースが添えられている。

「オーストラリア産のリブロースを塊で仕入れています。もともと柔らかいお肉なのですが、丁寧に脂と筋を取り除いて軽く叩き、時間をかけて更に柔らかくなるように仕込んでいます」

牛肉のビーフカツレツは、土日祝は盛り付け等を変更して1700円で提供されている。絶対に食べたいという方は、この日を狙って来店するとよいだろう。

ソムリエ厳選のワインも豊富に揃っている。
ソムリエ厳選のワインも豊富に揃っている。

コースというと、時間に余裕がないと食べられないイメージがあるが、『Le Marais』のランチコースは1時間程度で楽しめる。この日も何組か、ワインと共にランチコースを楽しんでいた。

ランチコースは2750円、ウェルカムドリンク付きの3300円のコースもある。ゆったりとした時間を過ごしたい方には、予約限定の4400円のランチコースもおすすめだ。

もっと気軽に満足度の高いランチタイムを楽しんでほしい

シェフの松田直也さん。
シェフの松田直也さん。

「ランチで気に入っていただけたら、ぜひディナーもご利用いただきたいと思います。時間を気にせず落ち着いてフレンチをお楽しみいただけます」

店内は約40席ほど。ゆったりとした席幅とおいしいフレンチで、心豊かな時間が過ごせそうである。貸切もできるので、クリスマスや忘年会などで利用するのもよさそうだ。テラス席は犬を連れての食事も可能である。

フレンチというとちょっと敷居が高いイメージがあるが、『Le Marais』なら様々なシーンでカジュアルで華やかなフレンチを楽しめそう。

大きな窓から差し込む自然光が心地よい客席。
大きな窓から差し込む自然光が心地よい客席。
住所:東京都台東区浅草橋1-25-12 FAMビル 1F
/営業時間:11:30〜22:00LO(日・祝は11:30〜21:00LO ※15:00〜17:00アイドルタイム)/定休日:月/アクセス:JR・地下鉄浅草橋駅から徒歩2分

取材・文・撮影=村田幸音