洗練された空間でいただく韓国発の“糸かき氷”
“新大久保の竹下通り”と呼ばれる通り沿いのビルの2階に店を構える『Seoul Cafe』。韓流ドラマやK-POPアイドルにうとい筆者にとって、韓国カフェはハードルが高いように思っていたのだが……。
店に足を踏み入れると洗練された空間が広がっており、心地よいBGMが流れている。想像していたにぎやかな韓国カフェでなく、とても落ち着いていて、おしゃれな雰囲気が漂う。
今回のお目当てはこの店の名物、“糸かき氷”と呼ばれる韓国かき氷。氷を細かく削ってシロップなどをかける日本のかき氷とは様子がちがい、糸かき氷は糸状に削られた氷自体に味と色がついている。平皿に盛られており、見た目はまるでケーキのよう。
マンゴーやパインアップルなどのフルーツ系、ミルクティーやチョコなどのクリーミー系など6種類ほどあり、どれもカラフルで女子ウケ抜群のラインナップ。
スタッフの吉永希さんに話をうかがうと、韓国ではかき氷のことを「ピンス(氷水)」と呼ぶそうで、2010年頃からピンスブームが起こり、今や韓国カフェの定番スイーツに。
「ピンスはパウダースノーのようなふわふわの氷の上に、小豆×きな粉、フルーツ×牛乳や練乳など、さまざまなものがトッピングされています。韓国では混ぜて食べるのが一般的。いろんな素材をトッピングするので種類が豊富で、韓国の人たちは1つのピンスを2~3人でシェアして、いろんな味を楽しんでいるようです」。
このピンスの進化系ともいえる糸かき氷を引っさげて、韓国人オーナーが2019年に新大久保でカフェをオープンした。新大久保のコリアンタウンではK-POPのBGMを流したり、韓流ドラマを大型モニターに映し出したりしている店が多いなか、それらの店とは一線を画し、韓国のソウルにあるおしゃれカフェを再現しているという。
新食感の糸かき氷はなめらかな口あたり&不思議な口どけ
「チョコミン党」の筆者は、チョコミントの糸かき氷をチョイス。目の前に運ばれてきたその姿は、細~い糸のような氷の層になっており、まるでケーキのよう! ケーキであれば、ゆうに3人前はあろうかというサイズ感だ。
ひと口めでおどろいたのが、絹糸のようになめらかな口あたり。糸状のかき氷が舌の上でふわっとほどけるように溶けて、スッと消えていく。ひんやり感とクリーミー感が後を引くのがたまらない。
「普通のかき氷は無色透明ですが、うちの店では氷をつくる段階で牛乳を使用しているんです。フルーツ系の氷には果肉や果汁を混ぜているので、くだもののフレッシュ感や素材そのもののおいしさを味わっていただけると思います」と吉永さん。
かき氷とアイスクリームの中間くらいのこっくり感で、1人でも余裕でペロッといただけてしまう。
ミント特有のスーッとする清涼感やさわやかな香りがほどよく感じられ、甘すぎずにスッキリしていてと~ってもおいしい♪ チョコシロップのアクセントがまたいい。リピートしたくなるほど、筆者はこのミント感にハマってしまった。
吉永さんにチョコミントが気に入ったことを伝えると、「私のおすすめは断然、紫イモです!」と目を輝かせて教えてくれた。「紫イモには、お好みで練乳をかけて召し上がっていただきます。ベイクドチーズケーキと色とりどりの黒糖タピオカ付きで、すごくかわいいんですよ」。
紫イモの糸かき氷も通年いただくことができるそうなので、サツマイモ好きはぜひご賞味あれ!
実はコーヒーも抜群においしい本格カフェ
糸かき氷といっしょに注文したのは、店イチオシのソウルラテ715円。
クリームの上にプレッツェルがちょこんと添えられていてカワイイ♡
カフェラテをひと口いただくと、クリームの甘さの中にほんのり酸味が感じられた。生クリームかと思いきや、自家製のクリームチーズなのだそう。コーヒーとチーズの組み合わせの妙を堪能できる一品だ。
このチーズクリームに負けじと、コーヒーのおいしさが際立っている。エスプレッソのほどよい苦味と、ミルク&バニラシロップのやさしい甘みが絶妙なバランスで混ざり合い、めちゃくちゃ旨い。
「うちの店にはQグレーダーという国際的なコーヒー鑑定士の資格を持ったスタッフがいるので、コーヒー豆にもこだわっています。私もおいしいコーヒーが淹れられるように、Qグレーダーのもとでバリスタ修業中です」と吉永さん。
ほかのドリンクメニューも期待大! ブラウンチーズラテなどの目新しいコーヒーや、いちごチョコラテや紫イモラテなどエスプレッソが入っていないラテが7種類。ドリンクもかわいらしくてSNS映え間違いなし!
「うちの店のコンセプトは、韓国を体感してもらえるカフェです。韓国好きの方がたは、韓国の雰囲気を求めてこの街に足を運んでくださっているので、その期待に応えられるように、韓国を訪れている気分になれるお店づくりをめざしています」と吉永さん。
「新大久保の韓国カフェ」ではなく、ここはまさに「本場ソウルの韓国カフェ」なのだ。
韓国好きだけでなく、コーヒー好きも虜にする『Seoul Cafe』。次回はぜひ、吉永さん激推しの紫イモの糸かき氷にチャレンジしてみよう♪
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=コバヤシヒロミ