屋台時代から約半世紀。『らーめん弁慶 浅草本店』は背脂一筋

背脂たっぷり『らーめん弁慶 浅草本店』のまろやかなスープ

『らーめん弁慶 浅草本店』は隅田川にほど近い、言問通り沿いに店を構えている。店の正面を取り囲むおすすめらーめんの写真が、食欲と期待を高めてくれる。

2階にも席があり、食券機も1階と2階両方に用意されている。今回はらーめんと半チャーハンのセット1100円を注文した。

脂の量は「少なめ」「普通」「ギタギタ」から選べる。写真は「普通」だが、濃厚な背脂がギッシリとスープを覆う。いわゆる背脂チャッチャ系と呼ばれる、丼の上から背脂を振りかけるスタイルで、丼の縁も外側にも背脂の雨がふりそそぐ。

スープを口に含んだ瞬間に、背脂の香りとコクが一瞬で天国へと誘ってくれる。麺に辿り着くまでにスープを半分飲み干してしまいたい。

麺は浅草の老舗 『浅草開化楼』の中太で、スープがしっかり絡む。味がしっかりしみこんでいながらもあっさりとしたチャーシューと同時に麺を頬張ると笑顔がこぼれる。

チャーハンはしっとり目で味はしっかり。シンプルな具材ながらもらーめんと同じチャーシューからあふれ出るうま味がたまらない。らーめんのスープを一口飲んで、チャーシューを口に運ぶ。至福の往復が止まらない。

ていねいな仕込みと感謝の心で作られる極上のまろやか背脂スープ

たっぷりと背脂が浮かぶスープだが、クドさがなく甘みがあるのはなぜなのか。絶妙な背脂について店長代理の、千里洸太氏に伺うと「上のほうの透明な脂はしつこいので省きます。こうすることでクドさが減って甘さを感じられるようになります。また醤油との相性も大事で、脂っぽくならない、脂と合った醤油を使っています」とのこと。ごくごく飲める極上の背脂スープは、ていねいな仕込みとこだわりが織りなす奇跡の一品だ。「昔からのお客様にも、変わらずおいしいと思ってほしいし、新しく来てくれたお客様にも感動してほしい。特に、値上がりしても通ってくれる常連の人たちには感謝しているので、おいしくてちゃんとしたものを提供したいと常々思っている」
熱気あふれる暑い厨房の中、真剣なまなざしで背脂を振りかけながら千里氏は語る。

がっつり「給油」したいときは背脂系らーめんの老舗『らーめん弁慶 浅草本店』へ

『らーめん弁慶 浅草本店』は、背脂らーめんの老舗だ。真っ白にスープを覆う大量の背脂は見た目とは裏腹に、甘みを感じるほどにまろやかで気付けば飲み干している。濃厚で深いコクのある背脂たっぷりのらーめんで「給油」したいと思ったら、『らーめん弁慶 浅草本店』へ。

取材・文・撮影＝かつの こゆき