敷地が狭くなって上に伸びた
この場所に元々あったのは、いわゆる昔ながらの銭湯だったと、店主の久保文宏さんは話す。
「ここは『椿湯』という銭湯として昭和26年(1951)から営業していました。しかし、3代目の私の代になって、目の前の道路が拡張されて敷地が半分くらいになってしまったんです。だから、上に伸ばそうということになりました。(笑)」
そうした経緯で、2000年に現在の建物に。その時に参考にしたのが、関西で見かけたビル型の銭湯だったという。
「東京は、昔ながらの銭湯の文化が根強いんですが、関西はいろんなことにチャレンジしている銭湯がたくさんあったんですよ」
サウナーにも人気の3階
狭くなった敷地でもゆったり入れるように、男女の浴室を2階と3階に分けている。ちなみに入り口も2階。4階にはラウンジがある。
2階よりも3階の方が広くなっており、湯船の種類が充実。
バイブラ・座風呂・ジェットエステなどが並んでいて、ジェット噴射の種類だけでなく座面の形も千差万別なので、きっと誰しもお気に入りが見つかるはずだ。
「ジェットエステの噴射力は、通常の倍くらいの強さにしてるので強烈ですよ」と店主。
実際に入ってみると、手すりに掴まっていないと流されてしまいそうなほどの威力。ぜひ体感してほしい。
3階のロッキーサウナはサウナーにも人気だ。
温度は90度弱と高くないが、6分30秒に一度という超ハイペースオートロウリュ(他の施設では、20~30分に一度)のおかげで湿度が保たれ体感温度はかなり高く、がっつり発汗できる。
「最近、オートロウリュをつける店も増えてきましたが、うちは2000年頃からやってます」と、店主も胸を張る。
さらにこちらにはサウナがもう一つ。
たっぷりの塩の山が用意された塩サウナ。体に塩をぬって発汗と美肌に期待だ。
ロッキーサウナは静かな雰囲気で、凛としてととのうのに対し、こちらはテレビも設置され、塩を塗りながらなのでエンタメ的楽しさがたっぷり!
一般的な銭湯で、2種類のサウナを楽しめる施設は貴重だ!
広い露天風呂は、サウナの後の外気浴にもぴったり。
山手線の駅に近い都心で、入浴しながら広い空を見上げられるのは贅沢そのもの。
浴槽内は深い部分と浅い部分に分かれているので、しっかり温まりたい時にも、半身浴にもマッチする。
18度(夏場)設定の大きな水風呂や、広々とした休憩スペースもある上に、冷水機まで設置されていて、サウナーに人気の理由がよくわかる。
さらに3階には、日替りの薬湯や、子供が入れるように浅くてぬるめの湯船も用意してあり、同店の懐の深さも窺える。
和風の露天風呂と漢方湯が楽しめる2階
一方、2階の特徴の一つは露天風呂。洋風の作りだった3階に対して、和風の作りになっている。
この湯に浸かっていると「やっぱり、この風情が日本人のDNAレベルで落ち着くなぁ」と感じ入る。
店主が「雪がちらつく日なんかは、それを眺めながら入るといいですよ」という通り、四季折々の表情が楽しめそうだ。
2階は3階よりやや狭いが、こちらにしかない設備が用意されている。
そのひとつが漢方湯。
体のコリや冷えに効果があるという漢方がたっぷり入れられ、ファンが多いという。
3階に比べれば狭いとはいえ、こちらも様々なジェットが用意されているので飽きることなく楽しめる。
もう一つは、塩サウナ。3階にも塩サウナはあるのだが、こちらはハーブが香るようになっている。触覚から塩と熱、嗅覚からはハーブでリラックス効果が抜群!
さらに2階にもサウナは2種類。
遠赤外線サウナがあり、体の中からどしどし発汗させてくれる。
なお、2階と3階どちらも楽しめるように、偶数日は3階男湯・2階女湯、奇数日は3階女湯・2階男湯となっている。
店主の楽しんでもらおうとする思いが詰まった同店。
一度だけでなく何度も行って、『ニュー椿』の全てを堪能して欲しい。
写真・文=Mr.tsubaking