クラシック家具に囲まれて、ゆったりくつろぐカフェオレ専門店
『Café au lait Tokyo』は、もともと高田馬場で2019年にオープンして以来、日本で唯一のカフェオレ専門店として人気を集めていた。カフェを企画したのは、オーナーの清野信廣さん。「僕はコーヒーが苦手だけど、カフェオレは大好きだったんですね。調べたら専門店でやってるところがなかったので、日本初というか日本で唯一のカフェオレ専門店を立ち上げたんです」。
しかし、店舗が入っていたビルの事情で、2021年11月に閉店することに。
「高田馬場で2年半営業して、テレビにも取り上げられたり、支持してくださるお客様もいらっしゃったり、そしてゼロから一緒に立ち上げてきたスタッフもいる。なんとかしようと動いて2021年12月に五反田へ移転しました」と清野さん。
以前は、ブルックリン スタイルだった内装も一新。「ちょうど、ここは居抜きに近い形で入ったので、その雰囲気と、このビルのオーナーの趣味を活かしました。僕の持ってきたソファもあります。都内でいろいろ物件を探しても、こんなにおしゃれなところはなかなかなくて、見つけたときは『ここがいい』って。オーナーもカフェのコンセプトに共感してくれて、お互いに『ぜひ!』ってなりましたね」と、素敵な出会いがカフェの存続に繋がった。
イギリス発祥の伝統的なチェスターフィールドのソファなど、インテリアが心地よく並ぶ開放的な店内に一歩足を踏み入れると、忙しい毎日もふっと忘れて穏やかな気持ちになっていく。ここでいただくカフェオレを想像しながら、ゆっくりとメニューをめくった。
自分好みにカスタマイズしてカフェオレをもっと楽しむ!
メニューには、カフェオレのカスタマイズスタイルが細かく書かれている。コーヒー豆はオリジナルブレンドと美肌コーヒー豆の2種類。ミルクは低脂肪や豆乳、+100円のオーツミルクなど5種類で、ふつう・多め・たっぷりから量を選べる。甘みは有料の蜂蜜を含め5種類で、ひかえめ・ふつう・多めから選べる。キャラメルソースや生クリームなど有料のトッピングも充実している。
じっくり考えて、ホットのオリジナルブレンドを、フォームドミルク多め、黒糖ひかえめでお願いしてみた。
女性スタッフがカスタマイズの仕方はもちろん、「熱いので気をつけてお持ちください」と、サーブまで丁寧に提供してくれた。ふわふわのフォームドミルクの下には、熱々のカフェオレ。カフェオレボールを両手で包みながらゆっくり味わうと、やさしい風味が広がる。
さまざまな豆を吟味して、インドネシアなど4種類の豆をブレンドしたのがオリジナルブレンドだ。「コーヒーの風味は残しつつ、嫌な苦味が残らないようすっきりした後味を目指しました。コーヒーが苦手でも、うちのカフェオレだったら飲めるという方も多いですね」と清野さんが、おいしいカフェオレの秘密を教えてくれた。さらに豆だけじゃなく、沖縄の黒糖、北海道産のミルクと細かなところまで、おいしいカフェオレになるようこだわっているそう。
一方、美肌コーヒー豆は、「ある種類のコーヒー豆をかなり浅煎りで焙煎してます。そうすると一般的なお店のコーヒーに比べて、3倍から5倍くらいのポリフェノールが含まれるんです」と、もう一杯飲みたくなるような興味深いお話も伺えた。
フードにもカフェオレを活かして、一味違うカフェオレカレー⁉
ふとメニューに目をやると、なんとフードにもカフェオレのテイストが潜んでいるではないか。その名もずばりカフェオレカレー!
気になるのはコーヒーで炊いたという真っ黒なご飯だ。「オリジナルブレンドそのままだと苦すぎるので、濃度を調整したコーヒーでご飯を炊いています。だから、コーヒーの風味がほんのり米に移るくらいですね」と、カフェオレカレーのくだりを少し聞いただけで、もちろんオーダーでしょう!
見た目だけではコーヒーの苦みがあるのかと戸惑ってしまうけど、確かにあっさりコーヒー風味のご飯だ。
「ルウのイメージはココナッツカレーやビーフストロガノフのような各国のミルク料理ですね。クミン、マスタードシード、カルダモンなど厳選したスパイスと、水を使わず牛乳とコーヒーで、しっかりおいしいカレーを目指して作っています。ルウがカフェオレ色だから、ご飯は白じゃなくて黒いほうがいいと思って、見た目にもこだわりました」。清野さんのおいしいにかけるこだわりは、斬新なアイディアの賜物なのだ。
カレーに添えられた3種のアチャールも酸味や辛味が効いて、食べ進むうちに味の変化が楽しめ、あっという間に完食! 食べ終わったあとにカフェオレで一息つけば、カフェオレテイストのカレーとの相性の良さがよくわかる。
ほかにもカフェオレと合うように、ティラミスやプリンもカフェオレテイスト。断面萌えで人気のデザートサンドの定番、バナナにはカフェオレクリームがたっぷりサンドされている。
店を訪れる方がほっとできるような店づくりも心掛けているという清野さん。「まだまだ知らない方も多いと思いますので、仕事の合間とか、気分をリフレッシュしにぜひ遊びにきてください」と、やさしい笑顔を向ける。世界で唯一つの自分好みのカフェオレとカフェオレ尽くしのフード&スイーツ、そして心地よい空間に癒やされに、ぜひ足を運んでほしい。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=大熊美智代