明治神宮にとって2020年は創建100年の節目となるアニバーサリーイヤー。より一層御利益がある気がして、お参りにもいつも以上に熱が入る。境内を覆う緑は、神社を建てるにあたって人の手で植えたというから驚きだ。神社には森が必要、ないなら造っちゃおう! なんて、昔の人はすごいことを考えたものだ。
広大な森を歩き回り喉が渇いたので、ティースタンド『八屋』に飛び込む。メニュー表に「炭酸冷茶」の文字を見つけトライすると、若々しい新緑に似た煎茶の風味、弾ける炭酸の爽やかさにスカッと爽快! 再び原宿方面に向かって歩を進めると、キャットストリートにぶつかった。代々木公園に選手村が造られた1964年の東京オリンピックの前後に暗渠化されるまで、ここには渋谷川が流れていたのだ。途中、小舟に乗ったつもりで流れるように通りを進んでいこう、と妄想……。
水の音は聞こえないが、やたら蛇行する道や橋の遺構に名残を発見し、果ては新宿御苑の下の池へ。
START 原宿駅
01 代々木公園
各国の樹木が仲良く立ち並ぶ
園内にあるオリンピック記念宿舎は、1964年の東京オリンピックで選手村が置かれた名残。裏手の木立は出場選手が自国の樹木の種子を持ち寄り植えたもので、東京オリンピック記念樹木見本園として親しまれている。バードウォッチャーにも人気。
02 明治神宮
都心に癒やしをもたらす人工の森
明治天皇と昭憲皇太后を祀る神社。大正9年(1920)に創建され2020年で100年だ。当初何もない原野だったが、国内はもとより台湾などから寄せられた木々を植樹。絶滅危惧種も多数生息する。参拝自由。
03 八屋
日本茶の魅力を新しい切り口で発信
静岡県のカネ十農園の煎茶に独自の方法で炭酸を加えた新感覚の炭酸冷茶550円。ほのかに甘みがあり、グビッと飲める。最後はレモンを潰しながらスッキリと。白ばたー餡ぱん320円。
04 DESIGN FESTA GALLERY
元アパートと元ゲストハウスを改装し、76の個室と館内の壁面を展示スペースにフル活用。日によって硬派なグラフィティの隣室がイラストだったり、ジャンルや国籍、年齢を問わずアートを紹介する。
05 むす美
ギャラリーみたいな風呂敷専門店
壁面を飾るのはオリジナルの風呂敷。型染ユニットのkata kataや海外のデザイナーなど、作家とのコラボデザインも人気だ。包んでほしい物を持参すれば、購入した風呂敷を使ったお包みサービスも。
06 Cafe Flattie THE STANDard TOKYO
豪州在住経験のある店主が営む
フラットホワイト460円~は、エスプレッソの上にミルクのフォームをしきつめたオセアニアスタイルのコーヒー。「カフェラテよりフォームが薄く、コーヒーらしさも」と店主の平井恒彦さん。
07 新宿御苑
面積約58.3haの広大な庭園
フランス人造園家がデザインしたヨーロッパ式の整形式庭園と風景式庭園、さらに日本庭園が見事に融合。下の池は渋谷川の源流とされる。
08 HATONOMORI ART
美術の世界に興味を持つ第一歩
愛嬌のある民芸品とアーティストの作品が一堂に会す小さなアートショップ。値頃な品もあり、気に入れば連れ帰ることも。スタッフ不在の際は電話をすれば開けてくれる。お気軽にどうぞ。
09 青山街道ガード
電車の行き交う光景がアツい!
左手に山手線が、右手には中央線や埼京線など、さまざまな車両が走り抜ける。
10 Tea Sweets Lab.CONTENART
究極のティーペアリングをお届け
ドイツ紅茶「ロンネフェルト」の茶葉がずらり。工房ではマドレーヌ、プリンなど茶葉を使った菓子も製造する。ティーバッグ2個と自家製ドライフルーツのセット540円も好評。
日没後、ひと味違ったグリーンスポットへ
「緑を巡る」べく、食事処では野菜増しに。『LION SHARE』の特製キーマカレーは、野菜がたっぷり入ったスープカレーとセットにしよう。混ぜながら食べ進めるうちキーマの鶏もも肉から旨味があふれ、野菜の深い味わいと合体&増幅。うっとり~。
最後に訪れたのは『代々木VILLAGE by kurkku』。世界中から集められた120種類以上の植物が茂り、夜間はライトアップも。通路やテラスの鉢植えは季節ごとに入れ替えられ、現在はフジシダレザクラとオカメザクラが登場。生き生きした草花の共演は見応え大だ。メンテナンスは敷地内にインフォメーションセンターを構える『そら植物園』が担う。「鉢植えを入れ替える際は、毎回お庭づくりワークショップを開きます」とスタッフの吉永真理さん。親子連れをはじめ、みんな楽しそうに参加しているとか。私も土いじり、してみたいな。
11 LION SHARE
キーマとスープの合わせ技
素材とスパイスを生かしたキーマは旨味がじわっ。スープと混ぜると違った味わいに。ディナーの特製キーマカリー、野菜とチキンのミックスカリーのセット1700円。
GOAL 代々木駅
取材・文=信藤舞子 撮影=金井塚太郎
『散歩の達人』2020年4月号より