健康とおいしさを大切にするスパイスの達人シェフがいる本格タイ料理の名店

北千住にタイのカレーラーメンをいただけるお店があると聞いて、どんな料理か気になり、早速ランチタイムに間に合うように北千住へと向かう。目的のお店は北千住駅西口から徒歩8分ほどのところにある『CHAI YAI』。地元北千住だけでなく、タイ料理とスパイス、ハーブを愛する多くの人たちから支持されている本格タイ料理のお店だ。

国道4号線沿いにある『CHAI YAI』。緑の文字の看板が目印だ。
国道4号線沿いにある『CHAI YAI』。緑の文字の看板が目印だ。

お店に到着。店内に入ると明るく開放感のある空間が広がる。これなら初めての訪問でもゆっくりと食事を楽しめそうだ。

壁側はソファー席になっていて、ゆっくりとくつろいで食事を楽しめる。
壁側はソファー席になっていて、ゆっくりとくつろいで食事を楽しめる。

「開店は1993年です。若い頃からスパイスに興味があり、中国料理店をはじめインド料理店やブラジル料理店などで働きました。さらにタイへ行って現地で料理を学んだんですが、そこですっかりタイの魅力にはまりました。その後、タイ料理店を始めたんです」とお話ししてくれたのはオーナーシェフの坂本広さん。

オーナーシェフの坂本広さん。タイ料理とスパイスに対する熱い思いは本物だ。
オーナーシェフの坂本広さん。タイ料理とスパイスに対する熱い思いは本物だ。

タイ料理の魅力を伺うと、「タイにしかない食材、特にスパイスやハーブに魅力を感じたんです。味わいや香りがいいだけではなく、健康にいいということにもタイ料理の奥深さを感じます」と坂本さん。

「“医食同源”という言葉がありますが、タイにも同様の考えがあります。まず、おいしいということが第一なんですが、大切にしているのは、スパイスやハーブを使ったおいしい料理で体を気遣い、健康を守ることです。たとえば、タイ料理に欠かせないパクチーは最高のデトックス食材なんです」。

メニュー表には、坂本シェフのタイ料理愛があふれている。調理のポイントや使っている食材、スパイス、ハーブなどの説明、そしてタイ料理の基礎知識や楽しみ方など、ちょっとした情報誌以上に充実した内容だ。坂本シェフのタイ料理やスパイスに対する熱い思いと、お客さまにタイ料理のことをもっと知ってほしい、おいしく食べてほしいという気持ちを知ることができる。

タイ料理の解説付きメニュー。トムヤンクンのトムとは“煮る”という意味だそう。知りませんでした。健康にもいいとのこと。勉強になります!
タイ料理の解説付きメニュー。トムヤンクンのトムとは“煮る”という意味だそう。知りませんでした。健康にもいいとのこと。勉強になります!

坂本シェフがタイ料理とスパイスについて語るときの目の輝きと語り口を見ていると、その熱い思いがストレートに伝わってくる。坂本シェフがつくるタイ料理は最高の一品だと確信できた。

イエローカレーの深い味わいと麺の食感を楽しめるタイのカレーラーメン

それでは早速、タイのカレーラーメンであるカオソーイランチ1000円を注文。カオソーイはタイ北部のチェンマイの名物料理だ。

タイのカレーはグリーンカレー、イエローカレー、レッドカレーと3種類あるが、カオソーイはイエローカレーを使っている。『CHAI YAI』のメニューにあるカレー料理の中では、ゲェーンキアワーンガイ(グリーンカレー)に次ぐ人気メニューだそう。

麺はつけ麺用の太麺。どの麺がカオソーイにあうのか、さまざまな麺を試して決めたそう。
麺はつけ麺用の太麺。どの麺がカオソーイにあうのか、さまざまな麺を試して決めたそう。
茹で麺の上に揚げ麺をのせる。
茹で麺の上に揚げ麺をのせる。
インパクトのあるトッピングの揚げ麺とハーブ。揚げ麺に添えられているハーブは季節や仕入れ状況によって変わるそう。
インパクトのあるトッピングの揚げ麺とハーブ。揚げ麺に添えられているハーブは季節や仕入れ状況によって変わるそう。

テーブルに出されたカオソーイを見て、おっ! と声が出た。トッピングの揚げ麺とハーブの鮮やかなコントラストとボリューム、そしてスパイスの香りに圧倒される。

まずはスープをひと口。濃厚だが、思っていたよりまろやかだ。スパイスの刺激は控えめで、とがっていないので、スープの深い味わいを楽しめる。「イエローカレーはココナッツミルクとターメリックがきいてまろやかで、日本人がカレーと聞いてイメージする味に近いんです。油分もココナッツミルクの油なんで健康にいいんですよ」と坂本シェフ。

イエローカレースープにはターメリックやクミンなど身体にいいスパイスをふんだんに使っている。
イエローカレースープにはターメリックやクミンなど身体にいいスパイスをふんだんに使っている。

茹で麺をつるつるといただくと、イエローカレーの濃厚な味わいが麺とともに口の中に広がって、いくつにも重なったスパイスとハーブの風味をしっかりと味わうことができる。そして、パリッとした揚げ麺へ。

具材は鶏肉、にんじん、ねぎ、もやし。
具材は鶏肉、にんじん、ねぎ、もやし。

揚げ麺のパリパリ食感ともっちりゆで麺の食感の違いを楽しみながらいただいているうちに、次のお楽しみがやってくる。パリパリ揚げ麺の衣にカレースープが染み込んでしんなりとなり、凝縮されたカレーの旨味をまとった最高においしい特製麺が登場する。贅沢にも茹で麺、揚げ麺、しんなり麺と3種類の食感を味わえるのだ。

食べているうちに揚げ麺にスープが染み込んでいく。
食べているうちに揚げ麺にスープが染み込んでいく。

〆まで大満足! 絶品カレーラーメンを最後まで食べ尽くす

「当店のカオソーイのレシピはほとんど現地のものと同じですが、タイのカオソーイよりもカレースープの量を増やしているんです」と坂本シェフ。その理由は、〆でライスを入れてタイカレー雑炊をいただくため。もちろん筆者も迷わずにライスを追加注文!

〆のライス150円が登場! スープと具を残しておくのを忘れずに!
〆のライス150円が登場! スープと具を残しておくのを忘れずに!
調味料も加えてみよう。テーブルにある4種類の卓上調味料。うーん、どんなものか分かりません……。
調味料も加えてみよう。テーブルにある4種類の卓上調味料。うーん、どんなものか分かりません……。
解説付きメニューを見ると卓上調味料の説明が載っている。勉強になります!
解説付きメニューを見ると卓上調味料の説明が載っている。勉強になります!
イエローカレーが染み込んだ〆の絶品雑炊。
イエローカレーが染み込んだ〆の絶品雑炊。

最後のスープの一滴までおいしさ満点! しっかりと残さずいただきました。ごちそうさまでした!

シェフの熱い思いと最高のタイ料理。今回はランチタイムに伺ったが、次はディナータイムに訪れ、シェフのおすすめ料理を伺い、のんびりとビールを飲みながら絶品タイ料理を楽しもうと心に決めてお店を後にした。

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=羽牟克郎