明るい店内で安心安全な食材を使ったランチをいただける自然派カフェ
『森のこぶた』は虎ノ門ヒルズビジネスタワーの正面にあるキッコーマン本社の横にある。ガラス張りの明るい外観で、ちょっと入ってみたいな、と思ってしまう雰囲気だ。
店内に入ると、正面にカウンター、左と奥にテーブル席。天井から吊り下げられた数多くの電球と余裕のあるテーブルの配置で、明るく開放感がある。スタッフの明るく親しみのある接客も好感度が高い。お店に入るだけで、ほっとする空間となっている。
「2008年に大好きな創作ニットとコーヒーを楽しんでいただけるお店を江戸川橋駅の近くに開店しました。ここ虎ノ門には2012年に移転してきました」とお店の歴史を教えてくれたのはオーナーの喜多見理恵さん。『森のこぶた』をオープンする前はテレビの制作会社に勤めていたんだそう。やさしそうな笑顔が印象的だ。
店名の由来を聞くと、「ぶたは縁起のいい動物という理由もあるんですけど、学生の時にコメント帳へのサインとして使っていたマークが“こぶた”だったんで、そこからとりました。自然をイメージできるように“森”をつけたんです」と教えてくれた。店内には“こぶた”をモチーフとしたかわいい手作りスイーツやグッズがならんでいる。
「カフェとして一番大切にしていることは、安心安全なものをお出しすること」だそう。メニューはほとんどが店内で手作り。トマトやブロッコリー、きゅうりなど、サラダで使っている野菜の一部は、お店の入っているビルの屋上でオーナー自ら栽培している。虎ノ門ヒルズのすぐ近くで収穫した野菜をサラダでいただけるとは!
安心安全! こだわりの手作りランチで癒やされる
お店を訪れたのはちょうどランチタイム。オーナーおすすめのキーマカレー980円を注文しよう。
テーブルに出されたキーマカレーの上にのった温泉卵をみると、なぜか、ほっとする。筆者はご飯とたまごの組み合わせが大好きなので、これだけでポイントアップだ。
それでは早速、いただきます。
キーマカレーを一口いただくと、カレーの辛さ、そのあとに、ほどよい甘みがバランスよく広がる。辛さも香辛料の刺激だけではなく、深みのある味わいと合わさった辛さだ。喜多見さんにこの辛さと甘みの絶妙なバランスの秘密を伺うと、干し椎茸を入れているとこっそり教えていただいた。こだわりのひと手間が、このおいしさを引き出しているのだ。
ライスは雑穀ごはん。雑穀ごはんには食物繊維やミネラルが含まれ健康によく、食感も楽しめる。この雑穀ごはんの甘みも、キーマカレーの辛さとのバランスをとっているようだ。
半分くらいいただいたら、温泉たまごをまぜて味変。キーマカレーの辛さが穏やかになり、より濃厚なカレーの味を楽しめる。ランチタイムのさらなる楽しみの時間が始まる。
こだわりシャキシャキ野菜を味わえるミニサラダはなんとおかわり自由。ご飯のおかわり自由はよくあるが、サラダはなかなか聞かない。お客さんに自慢の野菜をたくさん味わってほしいという喜多見さんの気持ちの表れだろう。
コンソメスープとピクルスも自家製。付け合わせも含めて、お客さん思いのやさしさあふれる料理を明るく居心地のいい空間でいただけて、癒やされた! 大満足のランチタイムでした。
都会の真ん中で手芸を楽しみながら癒やされる空間
『森のこぶた』には “ニットカフェ”という、もう一つの顔がある。店内では、テーブルでドリンクやスイーツを楽しみながら編み物などの手芸をしたり、手芸仲間と情報交換や雑談を楽しむことができる。
オーナーの喜多見さんは、ニット素材メーカーや関連の出版社と提携したイベントやワークショップを積極的に開催している。スペースを用意しているだけではなく、初心者やステップアップを目指している人向けにニット塾を開催するなど、手芸を楽しむ人たちを応援して趣味の世界を広げる手伝いもしている。
自然派素材のメニューとニットに対する喜多見さんの思いが詰まったカフェ『森のこぶた』。筆者は虎ノ門産の野菜を使ったトマトスープもどんな味なのか興味津々なので、近いうちにふたたびランチをいただきに来ようと思いながらお店を後にした。ランチでお腹いっぱいになった後に編み物も習ってみようかな。
構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=羽牟克郎