KEEP OUTのテープや人型の白線……。ここは事件現場?

店内に入ると現れる人型の白線。プレートも用意されているので本格的に撮影できる。
店内に入ると現れる人型の白線。プレートも用意されているので本格的に撮影できる。

池袋を拠点に探偵業を請け負う『総合探偵社プログレス』が運営。エレベーターを降りて店に向かうとKEEP OUTのテープが貼られた扉に遭遇。初めて訪れた人はちょっと驚くかもしれない。扉を開けて中に入るとさらにビックリ。床には事件現場のように人型の白い線が描かれている。入口にあるロールカーテンはマグショット(アメリカで容疑者が捕まったときに撮影される身長計)がある。床に寝ころんで被害者になったり、マグショット前で容疑者になったりしながら記念撮影も楽しめる。
また、壁に目を向ければ拳銃やショットガンなどが飾られていて、まるで物語の探偵の事務所のよう。気分がグッと盛り上がる。

海外ドラマでよく見られるマグショット。
海外ドラマでよく見られるマグショット。

エグゼクティブ・プロデューサーの鈴木さんは「探偵というと怪しいとか怖いという印象を持つ人が多いと思いますが、普通のサービス業なのです。業界全体のイメージアップとともに、探偵と気軽に話してもらうために2013年にオープンしました」と話す。

リアルな探偵体験ができる。貴重な浮気レポートも必見?

総合探偵社プログレスオリジナルの鑑識セット。指紋採取に使う特殊な粉末は警察が使うものと同じだという。
総合探偵社プログレスオリジナルの鑑識セット。指紋採取に使う特殊な粉末は警察が使うものと同じだという。

バータイムでは、実際に使う機器を使って盗聴器探しをする「盗聴発見体験」や指紋採取体験など、普段ではとても体験できないような探偵経験ができるのも魅力だ。

客はハードボイルドに憧れる男性が多いのかと思ったが、利用客の90%以上は女性という。
鈴木さんは「探偵会社への依頼の多くは浮気調査です。そういう仕事をしているからか、女性からの恋愛相談が多いです。“現役探偵が語る男女で違う恋愛観・今すぐ使える恋愛基礎講座!”は特に人気です。こういうときに男性は何を考えているかとか、浮気をされたらどうしたらいいかなど、軽いものから結構ヘビーなものまでいろいろな相談があります」と話す。
うーん、男性としてはあまりパートナーに来て欲しくないところかも知れない。

バータイムでは、実調査に基づいたリアルな浮気調査の報告書を見ることができる。
バータイムでは、実調査に基づいたリアルな浮気調査の報告書を見ることができる。

本物のスイーツのような、再現度抜群のスイーツカクテル

ピンクとグリーンのコントラストが美しい道明寺。さまざまな味を楽しむ女性もいるとか。
ピンクとグリーンのコントラストが美しい道明寺。さまざまな味を楽しむ女性もいるとか。

女性客が多いことからアルコールが少し弱めのスイーツカクテルを用意している。道明寺(桜餅)990円はピンクとグリーンに色分けされてまるで和菓子のよう。実際に飲んでみると、あんこのような甘みを感じられたが、鈴木さんから「ほかのスイーツカクテルもそうですが、カクテル材料だけで再現しています。もちろんあんこは入っていません」と聞いた。話しの後も飲んみたが、あんこを感じてしまうのが不思議だ。
ほかにも、ショートケーキやチョコバナナといったスイーツの定番や駄菓子の味を再現した全20種のカクテルがそろう。アルコール度数が低めなのでお酒が弱い人もさまざまな味を楽しめ、うれしい飲み放題プランもある。

ワニ肉やサボテンなど、珍しいメニューが人気

ワニタンのあぶりやサボテンのナムルはほとんどの人がまた注文するという。撮影するときはワニの置物やサボテンの鉢植えを借りよう。
ワニタンのあぶりやサボテンのナムルはほとんどの人がまた注文するという。撮影するときはワニの置物やサボテンの鉢植えを借りよう。

フード類も個性的で遊び心にあふれている。なかでも、ワニ肉とサボテンを使った料理は、これを目当てに訪れる人も多いという人気メニュー。珍しい食材だが、どちらもクセがなく、誰でもおいしく楽しめる。

ワニは高タンパク、低カロリー、低脂肪なのでスーパーフードとしても注目される。ワニタンの炙り1980円は、コリコリとした歯ごたえかと思いきや、プルプルとして軟らかい。旨みが湧き出るジューシーさがあるが、これは脂ではなくコラーゲンだという。最後にバーナーで炙っているので香ばしさもあり、お酒にもよく合う。レモンやネギ塩などが添えられているが、個人の感想としてそのままが一番旨いかも。

サボテンには、整腸作用やダイエット効果が期待できるという。サボテンのナムル990円は、出汁醤油とごま油で和えた日本人好みの味付け。サボテン自体は味があまりしないが、コリコリとした食感がたまらない。

博多名物の焼きラーメンをはじめ、ズラリと並んだラーメンメニュー

焼きラーメンは博多の味を知っている常連からは「本場に負けていない」と好評を得ている。
焼きラーメンは博多の味を知っている常連からは「本場に負けていない」と好評を得ている。

魚介醤油や味噌、塩などのラーメン、モツ味噌つけ麺や油そば、さらには、山形県のソウルフード・冷やしラーメン、博多のソウルフード・焼きラーメン1430円などがそろう。

最後の締めにラーメンが食べたい! という要望から始めたという。ラーメン好きのスタッフが作りはじめ、今では一般的なラーメン店を遙かに超える30種以上のラーメンメニュー。実に多彩なメニューだ。

料理やカクテル、コンセプトなど面白さ満載

カウンターだけを見れば、おしゃれなカフェ&バーのよう。
カウンターだけを見れば、おしゃれなカフェ&バーのよう。

女性好みのカクテルやワニ・サボテン料理、さらにバラエティ豊かなラーメンと、カフェ&バーとは思えないメニュー構成になっている。鈴木さんは「私は元々イタリアンのシェフをしていました。お客様からの“食べたい”というご要望や私自身が食べてみたいものを日々創作しています。探偵のアンテナショップのようなカフェ&バーですが、探偵に興味がなくても飲食に興味がある人にもぜひ来ていただきたいです」と話す。

カウンター12席、テーブル席が2つという小さな店だが、女性を中心に多くの人たちが訪れている。探偵・料理・カクテルなど、好奇心をくすぐるちょっと不思議なものに出会えそうだ。

住所:東京都豊島区池袋2-47-12 第Ⅱ絆ビル9F/営業時間:19:00~翌5:00(日・月の夜は24:00まで、ただし、祝前日は19:00~翌5:00。土・日・祝の11:30~17:30はカフェタイム)/定休日:無/アクセス:JR・私鉄・地下鉄池袋駅から徒歩3分

取材・文・撮影=速志 淳 構成=アド・グリーン