坂の途中にある4階建の建物。1階のレストランは実は元ガレージ
駅からは徒歩5分ほどと距離があり、周囲のほとんどは住宅。人や車の往来が激しい場所から少しだけ離れて、隠れ家のように訪れてほしいと、4階建ての建物をリノベーションして『SHE meguro』は2020年6月にオープンした。
リゾート施設にあるウッドデッキのようなエントランスは、『SHE meguro』に生まれ変わる前はガレージとして使われていた場所なのだそう。
1階部分は主にレストランとして営業している。店の中は奥行きが広く、メインのフロアの他に奥にもうひと部屋ある。全体的に洗練された雰囲気だが、インテリアにはスタッフがDIYで作ったテーブルなども含まれているという。
2階から4階は会員制のレストランやラウンジ、さらには宿泊施設として営業をスタートさせようと、着々と準備が進んでいる。
オーナー家族が海外生活で感動し、取り入れた食文化
レストランとしての『SHE meguro』は、餃子を看板メニューとして、モダンアジアンの料理が食べられる。オーナーの家族はシンガポールにロンドン、サンフランシスコと海外生活が長かった影響もあってか、家族の食卓にはワインが多く登場。
その結果、家族の食卓によく登場していた餃子も自然とワインと相性のいいものになった。『SHE meguro』でも餃子やモダンアジアンの料理とワインとを合わせて楽しんでもらうことが意識されている。店ではアメリカのナパバレーのものや各国のナチュールワインを取り揃えていて、時間を問わず提供される。
『SHE meguro』看板メニューでもある餃子は、焼き餃子が4種類、水餃子1種類と全部5種類もある。
いちばんシンプルなSHE”特製”焼き餃子の他に、自家製のグリーンチリ入り”ちょい辛”餃子、夏には大葉、秋にはキノコが入る季節限定の焼き餃子、レモンと岩塩で味わう”肉肉”焼き餃子にプラスして水餃子というラインナップだ。
餃子のいちばんの特徴は、ニラとニンニクを使っていないこと。味や香りの強いニラとニンニクを入れないことで、他の具材が持つ繊細な味が楽しめる。食事後の予定を気にする必要もないのもうれしい。
餃子の皮は、香ばしさを感じやすく調整した焼き餃子用ともっちりした食感が楽しめる水餃子用に分けている。
焼き餃子4種類は、繊細な味わいや肉餡のむっちり感、皮の食感が味わえる。特に”肉肉”焼き餃子を口に入れてみると、よく練られた肉餡の密度に感激する。一方、水餃子はタイの調味料を使ったソースと提供される。甘辛いソースとつるりとした舌触りもおいしい皮のコンビネーションがクセになってしまいそう。
土日祝日のブランチなら看板メニューの餃子5種類が一度に
気になる餃子を全種類食べたいという人は、まずは土日祝日の11時30分から15時までのブランチタイムが狙い目だ。
ブランチメニューとして用意されているのは、餃子食べ尽くしセットが5種2個ずつなら1500円、3個ずつなら2250円をはじめ、5種類の餃子1つずつにプラスして、アジア料理の前菜、ガパオライスまたはドライミー、デザートまで食べられる餃子セット1750円など。
平日ランチにも食べられるガパオライスは、アジア飯好きにはお馴染みの鶏ひき肉とバジルを使ったタイのご飯料理。半熟卵をのせているのが『SHE meguro』流だ。
一方のドライミーは、日本ではまだあまり馴染みがないシンガポールの屋台料理。簡単にいえば汁なし麺だ。『SHE meguro』のシンガポール屋台風のドライミー(麺)は、軽く縮れた平打ち麺にソースを和えて、はんぺんやさつま揚げ、フライドオニオンなどが具としてのっている。現地の調味料を使ったソースの甘辛さがポイントだ。
5種類もある餃子も、本格的な現地の調味料を使ったアジアの料理もエスニック好きにはたまらない。ちなみにディナーは5品のプリフィックスがお得だとのこと。あれこれあれこれ食べたい人に嬉しい店だ。
取材・撮影・文=野崎さおり