住所に南北がない!?「大通」を推理
前提を説明すると、札幌中心部の住所は、南北を「条」、東西を「丁目」で表します。たとえば「南2条西8丁目」など。条・丁目を略して「南2西8」などと呼びます。
第一の目的地・南2西8のカフェには無事にたどり着けた私。次の目的地は『パティスリーアサカ』というケーキ屋さんです。
お題を出してくれたTちゃんとのLINE画面で住所を確認したところ……
南北がない!
大通西17丁目?「碁盤の目住所じゃない」って何?
これは札幌出身者として本当に恥ずべきことですが、私はこのときまで、札幌中心部の住所には必ず東西南北があると信じていました。そっか、大通って住所があるのか……。
動揺しすぎたため、とりあえず近くにあったファミマに入りました。イートイン席でコーヒーを飲みながら、「大通西17丁目」を推理します。
西17丁目ということは、東西は判明しています。現在地が南2西8だから、西に9コマ進めばいいんだよね(遠いな!)
問題は、南北をどちらに進めば「大通」に出るのか?
今いる南2から、南に進むにつれて南3、4、5……と数字は増えていくはず。そっちはすすきの方面で、その先に「大通」が現れるとは思えません。ということは……北に行くしかない。
そういえば、南北の境界って住所はどうなってるんだろう。南0や北0という住所は存在しないはず。
そこでピンときました。大前提として、札幌の中心部は大通公園という細長ーい公園が貫いています。もしかして、大通公園(およびその脇の道路)が南北のゼロ地点で、その住所が「大通」なのでは?
今いる南2から北に進むと、南1、大通、北1、北2……となるのでは?
そう考えれば辻褄が合います。
つまり、現在地(南2西8)から大通西17丁目へ行くには、
- 北に2コマ進む
- 西に9コマ進む
のではないでしょうか。
目的地はなんと〇駅先だった!?
自らの推理をもとに、ファミマを出た私は北に2コマ歩きます。
すると、大通公園が見えてきました。
大通公園の脇の道路は……
やっぱり! 大通です!
前編で夫が言った「南1から北に1コマ進んだら住所はどうなるの?」の答えは「大通」でした。私以外の札幌民はみんな知ってたんだろうな……。
あとは、この道を西に9コマ進めば目的地のはず。
せっかくなので大通公園を通っていきます。
スキップしてるのは寒いから。冬の札幌は当然寒いのですが、この日は特に冷え込んでいました。
まだ西10丁目か。遠いな~と思っていたら……
地下鉄の「西11丁目駅」が! 大通駅の次の駅です。気づいたら一駅ぶん歩いてました。
中学生の頃よく利用した駅なのに、まったく位置を把握していなかったため、突如現れた駅に「えっ、ここが西11丁目駅!?」と動揺。方向音痴じゃない皆さん、これが方向音痴から見た世界です。知っている駅が思いがけない場所に突如現れるんですよ……。
それはさておき、地下鉄東西線は、西11丁目駅の次が「西18丁目駅」。
そっか、西17丁目のパティスリーって、西18丁目駅のそばなんだ。大通駅から二駅も歩くんだ。なんでもっと早く気づかなかったのか。気づいていれば地下鉄に乗ったのに。
西11丁目駅から地下鉄に乗ろうかとも考えましたが、「せっかくここまで歩いたんだから」と意地になり、パティスリーまで歩くことに。
しかしあまりに寒いので、通りすがりの札幌市資料館に寄り道しました。昔の札幌控訴院です。
昔の法廷を見学してたら、資料館の方が法衣を貸してくれました。思いつきで判事を体験することある?
温まったところで(資料館で暖をとるな)、散歩チャレンジ再開。とにかく大通を西へ進みます。
歩いて歩いて、ようやく大通西17丁目。大通と交差する道に、パティスリーアサカを発見しました!
Tちゃん、迷わず着いたよ~! めちゃくちゃ寒いし遠かったけど!
過去最高に過酷なロケでした。
帰宅後にグーグルマップで距離を調べたら
・4プラからFABcafe・・・750m
・FABcafeからパティスリーアサカ・・・1.5㎞
でした。けっこう歩いたな。
母にこの話をしたら、「なんで大通西17丁目に行くのに、地下鉄乗らなかったの? 西18丁目駅で降りればすぐじゃない」と言われました。
「住所だけ見たら、西18丁目駅の近くってわからなかったんだよ」と答えると、「なんで?」とキョトンとされました。ほんと、なんでだろうな……。
担当編集の中村嬢には、「歩きはじめる前にイメージしてた場所と実際の場所、当たってましたか?」と尋ねられ、ハッとしました。
そういえば私、歩きはじめる前に地図を思い浮かべてませんでした。そっか、ふつうは脳内地図で「だいたいあの辺だな」とかイメージするものなんだな。
どうも、地図をイメージする習慣がまだ身についてません。
まとめ
今回のチャレンジでは、この連載ではじめて迷子になりませんでした!
札幌は方向音痴に優しい街と言えるでしょう。
だけど、住所を聞いて「だいたいあの辺りだな」と見当をつけられたら、地下鉄を利用できたんです。なにも、氷点下の中を2㎞歩かなくても。
そう考えると、札幌の住所わかりやすい説は土地勘ありきとも言えます。東西南北の起点がわかっていないと、その住所がどの辺かわからない。
私が札幌出身でありながら土地勘を持っていないのは、今まで友だちに連れられて歩くばかりで、街をよく見てなかったから。正確には、「あの看板ウケる~」「このお店可愛い!」など、自分の関心あるものだけピンポイントで見ていて、住所と紐づけて記憶することをしていませんでした。そのため、大通って住所があることにも気づかなかったんです。
だけど、このロケ以降は信号の住所表示をよく見るようになりました。もっと街をよく観察すれば、方向音痴でも「土地勘」を育てられるかもしれません。
というわけで、試行錯誤はまだまだ続きます。