年配者には懐かしい、若者には新鮮な昭和感満載の店内
秋葉原といえば、アイドルやアニメの聖地というイメージが強いが、交通利便性に優れていることもあって、東京でも有数のビジネス街でもある。見渡せば高層オフィスビルが建ち並び、多くのビジネスマンが行き来する。実はメイドカフェやアイドルカフェより、定食や丼物を提供するビジネスマン御用達の飲食店のほうが多かったりする。
JR秋葉原駅電気街口を出てすぐの場所にある『昭和食堂』も、2010年のオープン以来、秋葉原で働く人たちの胃袋を満たしている定食屋だ。デカ盛りグルメでも知られており、メディアの特集で取り上げられることもしばしば。
お店に入るとすぐ左にある券売機で、まずは食券を購入。本日いただくのはもちろん、名物スタミナ丼。並盛も大盛も650円。せっかくだから大盛にしよう。それと、単品で唐揚げ230円も注文。
店内は1階、中2階、2階と3フロアに分かれていて、すべてカウンター席。BGMはもちろん昭和歌謡。なかなかの音量で流れている。最近若者の間でちょっと流行っている80年代JPOPとかではない。どっぷり昭和歌謡だ。
席に着くと流れてきたのは小柳ルミ子が歌う名曲・瀬戸の花嫁。「瀬戸ワンタン~日暮れ天丼~♪」と口ずさみながら待っていると、すぐに来ましたスタミナ丼&唐揚げ! この配膳のスピードもビジネスマンにはうれしいポイントに違いない。
卵かけご飯にしたりレモンをかけたり、味変自由自在
どんぶりにはニンニクと特製ダレで炒めた豚肉がたっぷり! 一口頬張ると、濃い目の味付けでかなりパンチのきいた味わいだ。これはクセになる! ご飯にもタレがしみ込んで、それだけでもおいしい。
ご飯大盛(300g)、食べきれるか心配だったけど、全然行けそう! 生卵がついてくるのもナイス。ある程度まで食べ進んだら生卵をかけて、卵かけご飯にするのがお店のおすすめだ。
卓上には数種類の調味料があって、卵かけご飯以外にも味変の提案をしてくれている。ちなみにスタミナ丼にはメガ盛980円、ギガ盛2000円もあって、メガ盛はお米500g、ギガ盛はなんとお米1㎏! 1㎏のご飯も卓上調味料で味変することで、飽きることなく食べ進められそう。
そして、唐揚げを単品で注文。小鉢に熱々の大きな唐揚げが3つ。がぶりとかじりつくと、衣サクサク、中から肉汁があふれ出る! しっかりとした味付けで、白いご飯に合いそう。定食メニューでは唐揚げ定食が一番人気というのもうなずける。
味付けが濃いのはご飯をいっぱい食べてもらいたいから
「お客様にお腹いっぱい食べてもらいたい。ご飯をたくさん食べられるように、味付けは全体的に濃い目にしています」と教えてくれたのは店舗責任者の内田光男さん。メニューにメガ盛、ギガ盛があるのも、お客さんにお腹いっぱい食べてもらいたいからと話す。
過去にはいわゆる“デカ盛りブーム”があり、メディアでたくさん取り上げられていた時期もあったけれど、最近はそういうノリで来るお客さんは少ないのでは、と思ったのだが、スタミナ丼のギガ盛は今も1日に2~3個は毎日必ず注文が入るそう。
「何人かで来て『いいからお前食べろよ』っていうノリの人たちもなかにはいますけど、だいたい1人で来て黙々と食べていかれる方が多いです。週に1回は来て毎回必ずギガを食べる常連さんもいます」というから驚きだ。
内田さんに、今後、メニューを増やす予定はあるのかと聞くと、「期間限定メニューも出していて、評判がよければ通常のメニューに追加されることもありますが、基本的には、新しいものをどんどん出すというよりも、定番メニューでリピーターを増やしていきたい。定番メニューを大事にしていきたいです」という。定番メニューに自信があってこそだ。
「客層は、9割が男性です。スーツの人と作業着の人が中心ですね。かなりの量のニンニクを使っているので、女性にはちょっとキツイかな。でもランチで普通に来る女性のお客さんもいらっしゃいますよ」と内田さん。
本当は女性も大好きなんですよ、ニンニクたっぷりで濃い目の味付け。大丈夫、最近はみんなマスクしてるから、においも気にならないと思う。それでもやっぱり気が引けるようなら、周りの人も誘って一緒に行けば問題ない。「おいしい」も「臭い」もみんなで共有しようじゃないか!
取材・文・撮影=丸山美紀(アート・サプライ)