カウンター席のみの店内。
カウンター席のみの店内。

絶え間なく客が出入りする武蔵野うどん専門店

店先の暖簾。ひっそり「武蔵野うどん」の看板が。
店先の暖簾。ひっそり「武蔵野うどん」の看板が。

高円寺の路地裏ともいうべき小道に、通り過ぎてしまいそうな間口。中はカウンター席のみだが、時間を問わず客が入ってくる。それもそのはず。2013年創業のこの店は、都内の「うどん百名店」にも選ばれたことがある名店なのだ。

「うどん 百名店」東京編で選ばれた実績がある。
「うどん 百名店」東京編で選ばれた実績がある。

麺はすべて店内で手打ちし、一日寝かせてから提供する。太さは、極太麺、細麺、ひもかわの3種で、どれも冷もり、熱もり、湯だめが選べる。

次の日のための仕込み。一日寝かせてから提供する。
次の日のための仕込み。一日寝かせてから提供する。

見た目以上の食べごたえ!まずは一番人気の極太麺

店主おすすめ肉辛汁の並盛930円。
店主おすすめ肉辛汁の並盛930円。

今回は並盛にしたが、それでも350gのボリューム。中盛450gは+60円、大盛り650gは+170円、特盛850gは+280円だ。

それでは、と箸で持ち上げようとしたが、太さ約1.5cm、固めで弾力があるため、弾かれる感じ。結局一本しか持ち上がらなかった。表面はつるっとではなくザラッとした感じ。小麦粉に全粒粉が配合されているから、全体的に茶色っぽい。

3段階の辛さが選べる肉辛汁は、2辛をセレクトした。
3段階の辛さが選べる肉辛汁は、2辛をセレクトした。

汁にうどんをじゃぶっと漬ける。ざらりと粗い表面に辛汁がたっぷり染み込み、赤くつややかに変化した。

固くてすすることができないので、自然と一口ずつ噛みしめる。すると、衝撃の弾力と歯ごたえ!噛むことでゴリゴリと力強い麺がモチモチと反発する。その力強さは強烈の一言だ。噛めば噛むほど小麦の甘く香ばしい香りが立ち上る。塩気があるので、麺だけで食べてもおいしく、小麦の風味がより強く感じられる。

これに負けてないのが日立のブランド豚「石上極豚」を50gも使用する肉辛汁だ。豚肉の脂はコクのある甘さでくどくない。ネギの甘さやニラの風味、そしてピリッとした辛さがいいアクセントで、麺のおいしさと汁が絶妙なコンビネーション。一口ひと口噛んでは味わうを夢中で繰り返す。

限定のひもかわは、極太麺の3倍という衝撃の幅広さ!

右が極太麺、左がひもかわ。
右が極太麺、左がひもかわ。

次は、1日10食程度しか提供されないひもかわだ。ひもかわは少量しかできないため、単独メニューはなく極太麺と合盛りになる。見るからに幅広の麺は、なんと極太麺の3倍の幅。これまた箸で持ち上げると本当に重い。

ひと口ではとても食べられない!肉汁並盛880円。
ひと口ではとても食べられない!肉汁並盛880円。

極太麺と同様、ざらりとした表面に汁が絡む。が、なんといっても3倍の幅があるので、汁の染み込み方がすごい。かといって、きしめんのようにぺろんと柔らかくなることはなく、ゴリッゴリのコシは変わらない。極太麺よりもさらに噛みちぎって食べる感覚で、食べごたえがさらに増す。

こちらの汁は定番の肉汁。サバ、ソウダガツオ、カツオの3種の節系に煮干しと昆布をふんだんに使って取る濃い出汁。そして、豚肉の脂のコク、ネギの甘み、焼いた油揚げからは、ジュワッと汁が染み出してくる。旨味の強い豚肉の量も十分だ。

味変、そしてテイクアウトで自宅で楽しむのもOK

ラー油で食べるのもおすすめ。
ラー油で食べるのもおすすめ。

卓上には置いていないが「液体ゆず」と「ごまラー油」が用意されている。ゆずは、直接スープに入れるとさわやかさが増し、味がかなり変化するし、ごまの風味豊かなラー油は、汁に入れてもよし、うどんにかけるのもよし。お好みでオーダーしてみよう。締めはうどん湯。汁に注いで最後の最後まで楽しもう。

常に湯気が上がる厨房。
常に湯気が上がる厨房。

そういえば店内がとても静かなのは、うどん屋なのにすすることができず、みんなうどんと格闘しているからか、と気づいた。

店内と同じ値段でテイクアウトできる商品もあるので、自宅でも、この麺と戦ってみていかがだろうか。

住所:東京都杉並区高円寺南4-7-5/営業時間:11:00〜20:45LO/定休日:月(祝の場合は翌)/アクセス:JR中央線高円寺駅から徒歩3分

取材・⽂・撮影=ミヤウチマサコ