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Profile:原亜樹子(はらあきこ)
菓子文化研究家。米国高校へ留学。日米の高校を卒業後、東京外国語大学へ進学し、文化人類学ゼミで食を探求。卒業後は特許庁へ入庁するも、6年目に退職し、食に関する執筆活動をスタート。2006年より生活情報サイト「All About」で和菓子ガイドを務めるほか、アメリカの食に関する著書多数。最新刊『シートケーキとレイヤーケーキ』(東京書籍)

山崎製パンと「サンプラザ35」はこうして誕生した。

JR市川駅北口に建つ「サンプラザ35」。
JR市川駅北口に建つ「サンプラザ35」。

ヤマザキの対象商品についたシールを集めると白いお皿がもらえる「春のパンまつり」での累計交換枚数は、2018年に5億枚を突破したという。その製品が想像もつかないほどたくさんの食卓を支えてきたであろう『山崎製パン』の歴史は千葉県市川市から始まった。

創業者の飯島藤十郎氏は、新宿中村屋で勤めた後に教師となり、昭和16年(1941)に陸軍に入隊した後、市川国府台の陸軍部隊で終戦を迎えた。終戦を迎えて同市の練兵場跡地の開拓営団へ入植して農業を行っていたところ、昭和22年(1947)にカスリーン台風が襲来。被災した工場で入手した大量の濡れ藁を、肥料を必要としていた農家で小麦30俵以上と交換し、これを元手に昭和23年(1948)に国府台に製パン所を開業する。昭和27年(1952)には市川駅前に「サンプラザ35」の前身となる直売所を開いた。

現在の「サンプラザ35」は、地下1階に『スーパーヤマザキ』が、1階に焼き立てのパン・和洋菓子を販売する『ヤマザキプラザ市川』が、2階にカジュアルレストラン『レストランヤマザキ』、フレンチレストラン『ルミエール』が入る。

山崎製パン初の和菓子専門の売り場。
山崎製パン初の和菓子専門の売り場。

平成21年(2009)に全面リニューアルオープンをした『ヤマザキプラザ市川』は、広々としたベーカリーがメイン。併設のイートインカフェは、市川市民の憩いの場だ。ベーカリーの横には洋菓子売り場、そして山崎製パン初の和菓子専門の売り場がある。

目の前で焼き上げる大判焼きは餡がたっぷり!

『ヤマザキプラザ市川』店長の植木一敦さん。
『ヤマザキプラザ市川』店長の植木一敦さん。
つぶあんがたっぷり!
つぶあんがたっぷり!

店長の植木一敦さんによれば、和菓子売り場の目玉は実演販売の大判焼き。北海道産小豆100%のコクのあるつぶあんと、あっさりとした白あんの2種類がある。

香ばしい焼き色の皮はふっくらとして柔らかく、甘さを抑えた餡はとろりと優しい口当たりだ。

大判焼き1個100円(箱は5個用)。焼き立てをイートインスペースで食べるもよし、持ち帰るもよし。
大判焼き1個100円(箱は5個用)。焼き立てをイートインスペースで食べるもよし、持ち帰るもよし。
つぶあんと白あんの二種類。どちらも餡がたっぷり入る。
つぶあんと白あんの二種類。どちらも餡がたっぷり入る。

焼き立てをイートインスペースで食べるのはもちろん、持ち帰って温め直して食べるのもおすすめだ。電子レンジで温めてもいいけれど、トースターでリベイクすれば、焼き面のサクッとした香ばしさが楽しめる。

大判焼きが5個入る愛らしい紙箱入りは、手みやげに喜ばれる。

ここでしか食べられない! 大きな道明寺とぼた餅

左は通常サイズの道明寺1個100円。右は『ヤマザキプラザ市川』限定の大きな道明寺1個160円。
左は通常サイズの道明寺1個100円。右は『ヤマザキプラザ市川』限定の大きな道明寺1個160円。

実は『ヤマザキプラザ市川』には、ここでしか食べられない和菓子がいくつもある。

一年を通して買える塩漬けの桜葉で包まれた道明寺は、通常サイズと大ぶりのサイズが店頭に並ぶが、大ぶりのその名も「大きな道明寺」はここでしか食べられない。つぶあんの甘さが抑えられているうえ、桜葉の塩漬けの塩味で口の中がさっぱりするので、大きくてもなんなく食べきってしまう。

ぼた餅(左はきなこ、右はつぶあん)1個各160円。通年販売。
ぼた餅(左はきなこ、右はつぶあん)1個各160円。通年販売。

春は牡丹の花にちなみ「ぼた餅」、秋は萩の花にちなみ「おはぎ」と呼ぶという説があるけれど、ヤマザキの工場で作られるものは一年を通して「おはぎ」と呼ぶ。対する「ぼた餅」は『ヤマザキプラザ市川』限定で、こちらも道明寺同様大ぶりだ。きなことつぶあんの2種類があり、どちらももち米と餡のバランスがよく甘さも適度。気取りのない味にほっとする。

左は通常版の里見の郷1個70円。右は『ヤマザキプラザ市川』限定の高級版。1個103円。
左は通常版の里見の郷1個70円。右は『ヤマザキプラザ市川』限定の高級版。1個103円。

山崎製パンの創業地である国府台が、戦国時代に北条氏と里見氏の戦場だったことにちなむ「里見の郷」は黄味あんを包んだ焼き饅頭だ。こちらもスーパーやコンビニに並ぶ通常版と、『ヤマザキプラザ市川』限定の高級版がある。高級版は表面に焼き印が押されていて、食感はよりしっとりしている。進物にも人気だそうだ。

植木店長おすすめのお赤飯は早い者勝ち。

お赤飯1パック200g入270円。
お赤飯1パック200g入270円。

植木店長に大判焼きに次ぐ和菓子売り場でのおすすめを伺うと、笑顔で「お赤飯です」と即答。材料は「国産のもち米、備中だるまささげ、食塩」だけとシンプルで贅沢だ。和菓子職人さんが毎朝ふっくらと蒸し上げるお赤飯は、添付のごま塩を振りかけると旨みがアップする。一日最大で60パックしか作れないので、いつでも出合えるとは限らない。

左の菓銘は「吉野桜」、右は「うぐいす」1個各237円
左の菓銘は「吉野桜」、右は「うぐいす」1個各237円

私が『ヤマザキプラザ市川』に寄ると、必ずチェックするのは上生菓子だ。職人さんが手作りする季節の上生菓子は、お茶の先生にも人気だそうだ。

展望施設から見る「サンプラザ35」

市川市「アイ・リンクタウン展望施設」から見る「サンプラザ35」。
市川市「アイ・リンクタウン展望施設」から見る「サンプラザ35」。

「サンプラザ35」とJR市川駅をはさんで反対側、南口にそびえ立つ「ザタワーズウエスト」の45階に、市川市の「アイ・リンクタウン展望施設」がある。市川市民の私は、「サンプラザ35」にしょっちゅう寄るというのに、この展望施設から「サンプラザ35」の屋上看板の赤い太陽マークとヤマザキの文字を見ると、『ヤマザキプラザ市川』で熱々の大判焼きや、絶妙な加減にトーストされた食パンを食べたくてたまらなくなる。山崎製パン愛が強めで、「サンプラザ35」びいきなのだ。

住所:千葉県市川市市川1-9-2 サンプラザ35ビル1F/営業時間:7:00~21:00/アクセス:JR総武本線市川駅から徒歩1分
住所:千葉県市川市市川南1-10-1 /営業時間:9:00〜22:00(展望デッキは〜21:00)/定休日:第1月(祝の場合は翌平日)/アクセス:JR総武線市川駅直結

文・撮影=原亜樹子(菓子文化研究家)