明るい光に満たされたナチュラルな空間

下北沢駅西口の南側から出て少し歩くと、駅の近くながら閑静で落ち着いた通りに出る。この通り沿いあるビルの2階に、新たなカレー店がひっそりと誕生したのをご存じだろうか。

看板に惹かれて階段を上がると、木製のドアには『202カリー堂』の文字。いま、カレー激戦区の下北沢で女性を中心に支持されている注目のスープカレー店だ。

ドアを開けて店内に入ると、大きな窓からたっぷりと日差しが降り注ぎ、観葉植物やドライフラワーに彩られたナチュラルな空間が広がっていた。心地よいBGMが流れる洗練された空間は、まるでカフェのような居心地の良さを感じられる。

店主の堀さん(写真右)とスタッフさん。温かみのある接客が心をほっと解きほぐしてくれる。
店主の堀さん(写真右)とスタッフさん。温かみのある接客が心をほっと解きほぐしてくれる。

『202カリー堂』の店主は、スープカレー発祥の地・北海道出身の堀さん。自身のスープカレー愛から、13年間スープカレー店で腕を磨いてきた。念願だった自分の店をオープンしたあとは、これまで培ってきた知識と経験を生かしながら独自のスープカレーを提供している。

「すべて手づくりにこだわって、温かみのある料理を提供したいと思っています」とやわらかに話す堀さん。そんな優しさを感じるスープカレーに、オープンして数ヵ月ながら早くも多くの人たちが虜になっている。

玉ねぎの甘みがたっぷりと溶け込んだ、まろやかで優しいスープカレー

写真は、骨付きチキンと7種の野菜カリー1230円の濃厚トマトスープ。こくまろココナッツスープも選べる。
写真は、骨付きチキンと7種の野菜カリー1230円の濃厚トマトスープ。こくまろココナッツスープも選べる。

同店のスープカレーは、飴色になるまで煮詰めたたっぷりの玉ねぎがベースとなっている。玉ねぎの深い甘みによって、ほかの野菜の甘みもぐっと引き立つのだそう。さらにクミンとやシナモンなど独自に調合されたスパイスが風味を格上げし、隠し味のマンゴーチャツネでまろやかに。それらが一皿の中で複雑に混ざり合うことで、甘みの中にスパイシーさを感じるバランスのよい味わいが生み出される。

辛さも0番から30番までと幅広く、好みに合わせて自在にチョイスが可能だ。

筆者がこの日注文したのは、定番メニューである骨付きチキンと7種の野菜カリー。煮込まれた玉ねぎによりとろっとしたスープは、まろやかな甘みとスパイシーな風味が交互に訪れ、どんどん食べ進めてしまう。スープにふんだんに入っている、砕いたアーモンドやカシューナッツ(希望で抜くことも可能)も、サクサクとした食感がアクセントになっていて楽しい。

時間をかけて丁寧に血抜きされたチキンは、スパイスと一緒に圧力鍋でじっくりと煮込まれているため驚くほどのホロホロ食感。チキンの形を崩さずやわらかな食感を実現できるのは、堀さんの長年の技術と経験によるものだ。

同店のスープカレーでは、脇役になりがちなニンジンにもこだわりが詰まっている。仕込みの段階でカレーのベースと一緒に煮込むため、厚みがありながらもホロッとやわらかい。さらにスパイスの爽やかさによりニンジン特有のクセがなくなるため、苦手な人でも食べやすい味わいだ。

たくさんの具材が入っているためボリューミーな印象を受けるが、スイスイと食べられるうえ、ほどよくお腹が満たされるところもうれしい。

“スープカレーの〆にスイーツ”という新しい概念

スープカレーを味わったあと、お腹に余裕があればぜひ味わってほしいのがスイーツメニュー。スイーツのレシピは、堀さんがスープカレーの修業時代に知り合い、数々の人気カフェを手掛けるスイーツコンシェルジュのRYOUKUNが考案。スイーツ経験がなかった堀さんがいちから学んで作り上げたスイーツは、芸術性の高い見た目と本格的な味わいからSNSでたちまち評判に。

こうした“スープカレー×スイーツ”という新しいコラボレーションも、同店が話題になる理由のひとつだ。

なめらかさに惚れ惚れしてしまう、濃厚抹茶テリーヌ450円。
なめらかさに惚れ惚れしてしまう、濃厚抹茶テリーヌ450円。

日本最高位の茶師の資格を持つ店主が営む『しもきた茶苑大山』の抹茶を使用した贅沢なテリーヌは、絶妙な焼き加減で外はしっかり、中はとろりとなめらか。ホワイトチョコのミルキー感と抹茶のほろ苦さが合わさることで、濃厚かつ豊かな抹茶の風味が口いっぱいに広がる。横に添えられた自家製の抹茶塩をつけると大人な味わいに変化し、最後まで楽しく味わうことができた。

「時間を忘れてゆったりと」

カレー店には似合わない言葉かもしれないが、『202カリー堂』ではそれが叶えられる雰囲気がある。一度足を運んでみたら、温かみを感じる手づくりスープカレー、上品なスイーツにきっと心がときめいてしまうだろう。

取材・撮影・文=稲垣恵美