USブランドのカラーアイテムなど、カラフルさが元気を呼び覚ます
『深緑』があるのは高円寺駅南口から徒歩3分ほどの小さな店あかりがいくつもある通り。店は2階にあって見逃してしまいそうになるが、目印はオーナーのshogoさんが段ボールに緑のマジックで手書きした”看板”だ。オープンしたときに貼り付けて以来、もう何年もこのスタイルのまま(笑)。自由でワイルドなDIYを横目に階段を上がってドアを開けると色の洪水のような古着の数々が目に飛び込んでくる。
店内に並ぶ古着は、ナイキやラルフ・ローレン、GAPなど日本でも広く展開しているブランドのものが多い。そしてカラーバリエーションが豊富な点はチェックしておきたいポイントだ。ファッション業界の流れを敏感にキャッチしていることもあるが「カラフルなアイテムを身につけるとハッピーな気持ちになれるから」というのがカラー推しの理由らしい。
「古着はエコだから」と話すオーナーの人柄も店の売り
オーナーのshogoさんは料理人としてキャリアをスタートした後ファッションの世界へ。スタイリストのもとでアシスタントとして修行を積んだあと、ヴィジュアルマーチャンダイザーとしてアパレルブランドでディスプレイを経験。その後、独立して『深緑』を開いた。
独立するにあたって経験がなかった古着店経営を選んだのはなぜなのか。「古着屋さんをやったことなかったんで。それから古着ってエコですよね」と答える。『深緑』という店名も地球にやさしい感じがするからと名付けた。
新品のメーカーでブランドポリシーに沿った服の陳列や見せ方を学んだあと、自らのセンスを自由に表現できる城、自分の店を手に入れたshogoさん。お店を開いてから自身の服や仕事への熱い思いが一層周囲の人に届くようになった。
shogoさんの感性や熱意を買う人は次々現れ、『深緑』の服を着たいと指名してくるミュージシャンがいたり、先輩スタイリストから推薦されたりと、古着の販売以外でも活躍の場が広がっていった。現在は店の運営を主にしつつ、並行してスタイリストとして撮影の現場に立ち会うことも多い。
夢中になると徹夜も。古着にもオリジナルにも共通する「熱さ」
店のオリジナルアイテムには自身がハマっている銭湯通いを反映。オリジナルの銭湯Tシャツ、TOTONOU(トトノウ)Tシャツは12のカラーバリエーション。フロントにプリントされた写真は「外国人観光客が銭湯でほっこりしている姿をイメージ」とのこと。最近気になると話す「フェミニンでジェンダーレスな感じ」も、フード付きのスウェットパーカーに展開した。フロントのモチーフはコレクションしているぬいぐるみ。肩の力が抜けた感じが楽しい。
フェミニンなものやジェンダーレスな雰囲気、そして色遊びが好きという趣向は店内のいろんなものに現れている。例えばカウンター周りに置かれたビーズネックレスは、shogoさん自ら作成。
ネックレスを作っていたら夢中になって徹夜してしまったというから、その姿を想像するとこちらまで笑顔になってしまう。ファッションアイテムを手に取った誰かのことも、自分のことも、楽しくて元気にすることを考え始めると止まらなくなるらしい。
大人になるとファッションで遊ぶのはなかなか難しいもの。いつもと違う気分を服で楽しみたくなったら『深緑』に続く階段を上ってみるのはどうだろう。ゆるさの中にバイブスが上がるアイテムを見つけられるかもしれない。
取材・撮影・文=野崎さおり