「ビートルズは始まりであり、きっと到達点。何を聴いてもベースにビートルズがあるんじゃないかと思うんですよ」と、話すのは店主の陶山哲典(すやまてつのり)さん。彼は2人の兄の影響を受け小学生の頃からビートルズを聴いていた、根っからのビートルマニアだ。

グラスの奥にビートルズ4人の姿が。店内にはロックな小物があふれ、ジョージグッズを集めたゾーンも見どころだ。
グラスの奥にビートルズ4人の姿が。店内にはロックな小物があふれ、ジョージグッズを集めたゾーンも見どころだ。

「あの頃はラジオをかけていると1時間に1回くらい『抱きしめたい』がかかってました。だから身体にすりこまれているんですよ」。そんな陶山さんは、ロックカフェを開くにあたりビートルズの曲名から店名を取った。

「とりあえずビートルズの曲にしたかったんです。みんな安心して来られるじゃないですか」

陶山さんはジョージ好き。「努力次第であそこまでいけることを示してくれている」とジョージ・ハリスンのスゴさを熱弁する。
陶山さんはジョージ好き。「努力次第であそこまでいけることを示してくれている」とジョージ・ハリスンのスゴさを熱弁する。
アルバム『マジカル・ミステリー・ツアー』のジャケットがそのままメニューに。ビートルズファンにはたまらない演出だ。
アルバム『マジカル・ミステリー・ツアー』のジャケットがそのままメニューに。ビートルズファンにはたまらない演出だ。
Beatles_MagicalMysteryTour
【Master’s Choice 1/213】All You Need is Love
「今の時代やっぱりこれじゃないですか」と陶山さんが挙げてくれたのは、日本でもCMソングでおなじみのビートルズの代表曲「オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ」。「この曲でジョンの言おうとしたことをもう一度考えてみて」と彼は話す。そう、愛こそはすべて!

スピーカーやアンプは知り合いがくれたものを利用しながら、少しずつ進化。音響や芸能関係のお客さんも多いそうで、オーディオ通からもその音はお墨付きをもらっている。スピーカーが織りなす音のシャワーは、なるほど長い時間をかけて培った歴史も感じさせる。

アップルレーベルを模したコースター。ほかにも様々な種類があり何が差し出されるかはお楽しみ!
アップルレーベルを模したコースター。ほかにも様々な種類があり何が差し出されるかはお楽しみ!
お客さんからもらったというペーパークラフト。こういったロック小物がパッと出てくるのは、20年以上愛される老舗ならでは。
お客さんからもらったというペーパークラフト。こういったロック小物がパッと出てくるのは、20年以上愛される老舗ならでは。

「お客さん同士がいろいろ話してますね、それが楽しいみたいで」と陶山さん。この店はリクエストしてレコードを聴くシステム。それゆえレコードをかける度に、客は新たな音楽を発見し、懐かしいサウンドに共感するのだ。

「会社名も肩書きも関係ない、利害関係なんてまったくなしというのがいいんだと思います」

音楽が共通言語、これぞロックカフェ。今日もビートルズの盤に、陶山さんの手でゆっくりと針が落とされる。

 

取材・文=半澤則吉 撮影=小野広幸