「店名にはビートルズの曲名をつけたかったのですが、一番洋食屋らしかったのが『グラス・オニオン』でした」そう話すのは店主の澤田正敏さんだ。

三軒茶屋駅から徒歩5分、西太子堂駅から徒歩2分と好立地だが、隠れ家的な雰趣。落ち着いた雰囲気で幅広い層から人気を博す。

恵比寿で営業していたとんかつ屋を閉じ、この地に洋食屋兼バーとして『Glass Onion』を開いたのが2002年。修行時代から作っていたというオムライスが話題となり、今はオムライスの有名店だ。同時に、その店名とゆったりした雰囲気から、ビートルズ好きにも知られる店となっている。

お店の一角には店主の愛情が伝わってくるビートルズコーナー。思わず目を奪われてしまうビートルズファンも少なくないはず。
「リヴァプールより愛をこめて」という名で知られるボックス。8枚組でEMIの子会社から発売された貴重なアルバムが飾られていた。

幼少の頃からアメリカンポップスのファンだった澤田さんは、小学6年生のときにラジオから聴こえた音楽に熱狂した。それ以降、今もその音楽の虜となっている。
「最初に聴いたときは本当に衝撃的でした。ロックンロールなのにコーラスもシャウトもする。今でも店が終わった後に大音量で聴いたりしますよ」

数種あるオムライスの中でも、とろとろたまごのオムライス900円(ランチ)が看板。卵を3つも使った贅沢な一品はデミソースも美味。

ビートルズが日本公演を行なった1966年当時、澤田さんは中学1年生。チケットを手に入れられず悔しがった1人でもある。4人の姿を見られなかった後悔は今も残っているそうで、ジョージやポールがソロライブで来日すると、店を休みにして足を運んだ。

【Master’s Choice 1/213】Rain
一番好きな曲はそのときそのときで変わってくるのですが、とことわりながらも挙げてくれたのが、コーラスが美しい「レイン」。「演奏技術とアレンジ、とくにドラムとベースがかっこいいですよね」と澤田さんはその技術の高さを賞賛する。
「ビートルズは生活の一部」と言い切る澤田さん。半世紀以上聴き続けてきても、ビートルズへの情熱が冷めることはない。

50年以上にわたりビートルズの音楽と歩んできた澤田さんが作った店は、近年若い年代からも人気だという。「若者でもビートルズ好きという人が来てくれて、ファンとしてうれしいことです」と、澤田さんは胸を張る。世田谷の片隅にあるオムライスの名店は、ビートルズ文化を未来につなぐ店でもあるのだ。

 

取材・文=半澤則吉 撮影=小野広幸

glass onion
住所:東京都世田谷区西太子堂4-6-2堀江ビル1F/営業時間:11:30~14:30・18:00~21:30 ・22:00~5:00(オムライスの提供はなし)/定休日:日/アクセス:東急田園都市線三軒茶屋駅から徒歩5分、東急世田谷線西太子堂駅から徒歩2分