2020年/今年はマウスライダーでスタート!

明けましておめでとうございます。

もはや年賀状のデザインに迷っている方はいないだろうが、まずは参考までに、今年の年賀状に採用した表参道・北青山三丁目児童遊園のネズミ遊具を掲載しておく。果たしてこれはネズミか……?と疑問が生じるデザインな上、頭部しかないのでまたがることもできなかったが、これで良しとしたい。ネズミの遊具は意外に少ないからだ。

2020年の年賀状(マウスライダー)

2015年/ヒツジを探しあぐね、ひび割れた唇

さて話は、未年(ひつじどし)を前にした2014年の年末にさかのぼる。ライダー姿で十二支の動物の公園遊具にまたがる「十二支ライダー」年賀状企画も4年目。ヒツジ遊具については、吉祥寺・井の頭自然文化園の熱帯鳥温室前にあるのを私は知っていた。だからすっかり安心して、呑気に年末ギリギリの12月24日に吉祥寺に赴いたのだった。

ところがいざ着いてみると……ない!ヒツジがいない!いや、ヒツジどころか熱帯鳥温室そのものがなくなっているではないか。慌てて園の職員さんに聞くと、熱帯鳥温室は老朽化のため13年に取り壊され、その際に遊具も撤去されたのだそうだ。年賀状撮影の件を話すと「えっ、そのためだけにいらしたんですか(しかもクリスマスイブに)?」とカッコ内の心の声まで聞こえるような言葉が返ってきた。ここで私は、今後を暗示するかのような「公園遊具はウカウカしていると撤去される」という教訓を得たわけである。

ともあれ、新しいヒツジを探さなければならない。しかもあと一週間のうちに。手を変え品を変え検索ワードを変え、ようやく見つかったヒツジ遊具は、群馬県伊勢崎市の連取(つなとり)中央公園にあるという。同じ関東とは言え、片道2時間を超える初の遠征である。撮影アシスタントのHさんを拝み倒して12月27日、一路伊勢崎に向かった。

連取中央公園は伊勢崎駅から2㎞以上離れていた。それに気が付いたのは公園までの道のりを1㎞ほど歩いた時点であった。目測を誤ったのだ。上州のからっ風が容赦なく吹き付ける中を、ただひたすら歩いた。Hさんは次第に無口になり、唇はひび割れた。

30分以上かけてようやく公園に到着すると、いるわいるわ、ヒツジだけでなく、ニワトリもイノシシもウシもトラもいるではないか。ここは十二支天国か。せっかく来たのだからと、酉年(とりどし)と丑年(うしどし)の前撮りも行うことにした。

2015年の年賀状(シープライダー)

トラはスプレーで落書きされていたこと、イノシシは木製で顔がわかりづらかったことがネックとなり撮影を見送ったが、今となっては撮っておけば良かったと痛切に感じているところである。理由は次回に。

連取中央公園にて(2014年)
連取中央公園にて(2014年)

ここまで来たなら、せめて伊勢崎名物を食べていこうということで、帰りに「伊勢崎もんじゃ」の店に立ち寄った。伊勢崎のもんじゃはイチゴシロップが入っているのが特徴だそうで、運ばれてきた薄赤いもんじゃの生地を鉄板に流すと、甘い匂いが立ち込めた。次第に煮詰まったもんじゃはケミカルな味を増し、ひび割れた唇にやけに染みた(なお、千駄木の須藤公園でヒツジ遊具を偶然発見して「こんなに近くにあったのか!」と地団駄を踏むのは、それから約3年後のことである)。

千駄木の須藤公園にて(2017年撮影)

2016年前編/ウシカニ合戦では民話にならないではないか

2015年11月。前年の教訓をもとに、申年(さるどし)のサル遊具は早めに調査することにした。十数年前、若さに任せて九州までバイクで走った際に、山陽道の吉備SAで桃太郎のお供のイヌ・サル・キジの遊具を見たような記憶があったが、再びそこまで走る気力はもはや私にはない。検索を続けていくと、福井県小浜市・若狭総合公園の「民話伝承遊び広場」というスポットに「さるかに合戦」をモチーフにした遊具があり、カニやウス、栗とともにサルのスプリング遊具がある、という情報にたどり着いた。こうなったら行こうじゃないか福井まで、と鼻息を荒くしたが、もし現地まで行って無くなってたら……?という「井の頭公園の悲劇」がふと思い浮かび、若狭総合公園を管理する小浜市役所に電話で確認することにした。我ながら成長したものだ。

「あの、若狭総合公園の民話伝承遊び広場の、サルの遊具ってまだありますか?」

「あれは壊れてしまってぇ、サルのスプリング遊具もメーカーが作ってなくってぇ、今はウシになってるんですよぉ」

何と、サルは撤去済であった。しかしなぜウシなのか。なぜサルを新しくしなかったのか。「ウシカニ合戦」では民話にならないではないか。色々と思うところはあるが、無いのであれば仕方がない。再び検索に戻り、静岡県菊川市の和田公園にサルのオブジェがある、というブログ記事を発見した。また関東近郊、片道3時間の旅である。

撮影アシスタントのHさんに話を持ち掛けると、Hさんは「申し訳ないが、今回は同行できない」と言った。それもそうだ。Hさんの厚意に甘え過ぎた私がいけなかったのだ。反省する私にHさんは三脚を一台わたして言った。「これが今回のあなたの相棒です」と。(つづく)

 

絵・取材・文=オギリマサホ