店にはいつも笑い声がこだまする。かわいらしいロゴは、デザイナーをしている娘さんが制作したそう。
店にはいつも笑い声がこだまする。かわいらしいロゴは、デザイナーをしている娘さんが制作したそう。

オーナーの石原郁子さんは生粋のビートルズファンだ。「家族みんなが音楽好きだったんです。私は高校のときにビートルズを好きになったのですが、兄の友だちが武道館のチケットが取れたのに行けないという話になったんですよ!」。そう、彼女は武道館公演の音をその耳で聴き、あの空気を実際に吸ったという生き証人でもある。

「コンサートはあっという間に終わっちゃいましたね」と石原さん。当時のチケットは今もキレイに店先に展示。
「コンサートはあっという間に終わっちゃいましたね」と石原さん。当時のチケットは今もキレイに店先に展示。
Beatles_MagicalMysteryTour
【Master’s Choice 1/213】 Hello Goodbye
ジョンが好きという石原さんだが、悩んだ末に明るい曲だからと挙げてくださったのがこの名曲。軽快で楽しいサウンドは、ポール・マッカトニーがソロになった後も度々ライブで演奏されており、彼の代表曲のひとつに数えられる。

「あれからもビートルズはずっと好きです」と店名同様、笑顔で語ってくれる彼女は、今も音楽を愛してやまない。ビートルズ以外に好きなバンドはと聞くと「Official 髭ダンディズム」と若々しいバンドの名前が出てきた。今も石原さんは高校生の頃と変わらない気持ちで音楽と向き合っているのだ。そんな石原さんのおでん屋を開くまでの話がまた面白い。

おでん4点盛り600円は店の看板メニュー。たまご焼き500円などのおふくろの味は生ビール500円によく合う。
おでん4点盛り600円は店の看板メニュー。たまご焼き500円などのおふくろの味は生ビール500円によく合う。
この店になる前はここは絵本屋さんだったという。その頃から「ビビ」という置き物の看板ネコが店を守る。
この店になる前はここは絵本屋さんだったという。その頃から「ビビ」という置き物の看板ネコが店を守る。

飲食とはまったく関係ない仕事をやっていたが、定年退職を前に、飲食店を開こうと一念発起したのだそう。「オープンのときからずっとビートルズがかかりっぱなしです。食べやすくやさしいおでんもそうですが、同年代の方に来てもらいたいという想いもありビートルズをかけています」。曲のセレクトはもちろん石原さんによるもの。ファンは心地よく聞ける、ファンじゃなくても聞き流せる楽曲を選んでいるそう。もっとも好きなアルバムは『アビイ・ロード』という石原さんだが、選曲はお客とおでん優先なのも素敵だ。おでんの出汁にも見事溶け込むビートルズサウンド。ビートルズ好きならついつい「もう一杯!」と長居したくなる。

住所:東京都三鷹市上連雀1-1-5/営業時間:17:00~22:30/定休日:木・日・祝・/アクセス:JR中央線三鷹駅から徒歩1分

取材・文=半澤則吉 撮影=小野広幸

東中野駅を降りて東中野一丁目方面に歩いて行くと、飲食店のやわらかな灯りが見えてくる。そんな通りのなかで多くのロック好きに愛されているのが、ロックバー『Hello Goodbye』だ。
浅草寺名物、常香炉の煙が届くのでは? それほどまでに浅草寺から近い場所でも、ビートルズが奏でられている。『LIVE IN APPLE』はオーナー西澤毅(たけし)さんが作った店で、11年もの歴史を持つ。六本木にあったビートルズ生演奏の有名店「CAVERN CLUB」の常連だった毅さんは、会社経営をする傍らビートルズが聴けて弾ける店を作りたいと、このライブハウスを立ち上げたのだ。