池波正太郎生誕100周年。正太郎少年が愛した下町を歩く
大正12年(1923)1月25日、東京市浅草区聖天町61番地(現在の台東区浅草7丁目3番地付近)で、後に稀代の時代小説作家となる池波正太郎が誕生する。父・富治郎は錦糸問屋に勤める通い番頭、母・鈴は浅草の錺職人(かざりしょくにん)今井教三の長女で、正太郎はそんな両親の長男として生まれた。この年の9月1日、関東大震災が起こったため両親とともに埼玉県の浦和に移り、6歳になるまで同地に暮らして昭和4年(1929)に下谷に戻っている。その後、両親が離婚したことで、正太郎少年は母親に引き取られ浅草永住町に住む祖父教三の家に移った。こうして少年期から青年期にかけ、正太郎は台東区内を生活の場としていたのである。