「孤高の画家」像に投げかける新たな光
本展では、約170点の絵画作品と書簡などの資料を展示。「孤高の画家」と称されてきた野十郎の交友関係や、同時代の画家から受けた影響にも光を当てる。
29歳の野十郎の姿を捉えた《絡子をかけたる自画像》に始まる第1会場には、フランスなど欧州各国を旅しながら描いた風景画や、光の一粒一粒に至るまで緻密に描いた静物画などが流れるように並ぶ。
また、《海の幸》などで知られる青木繁をはじめ、野十郎と交友のあった画家たちの作品や、同時代の画家からの影響が見られる野十郎作品も展示。美術団体にほとんど属さず、強い精神性を感じさせる作品を残した野十郎だが、その芸術を深化させた背景や、親密な関わりを持った人々の言葉と重ね合わせることで、「孤高の画家」像の再検討を試みている。《月》や《けし》、《からすうり》といった代表作と静かに対峙しながら、野十郎の画業の背景にあった時代や、日本近代美術の空気を感じることができる。
あらゆるものに等しく注がれた視線
第2会場では、日本全国を旅して描いた四季おりおりの風景画や、青年時代から傾倒していた仏教の思想をにじませる作品、親族や知人らの書簡などを通し、野十郎のパーソナリティにより深く迫る。
ソファに腰掛けると、日本各地の季節ごとの景色を描いた風景画や、野十郎が強く影響を受けた仏教思想のエッセンスが込められた作品が並ぶ。草木の一本一本、砂の一粒一粒まで描きこむ野十郎の筆使いには、すべての命を等しく見、あらゆるものへの慈悲を説く仏教の思想が込められているかのようだ。
開催概要
「没後50年 髙島野十郎展」
開催期間:2026年7月4日(土)~9月6日(日)
前期:7月4日(土)~8月2日(日)
後期:8月4日(火)~9月6日(日)※会期中、一部展示替えあり
開催時間:10:00~18:00(入館は~17:30)金曜日10:00〜20:00(入館は〜19:30)
休館日:月(ただし7月20日は開館)、7月21日(火)、8月12日(水)
会場:渋谷区立松濤美術館(東京都渋谷区松濤2-14-14)
アクセス:京王電鉄井の頭線神泉駅から徒歩5分、JR・私鉄・地下鉄渋谷駅から徒歩15分
入館料:一般1000円(800円)、大学生800円(640円)、高校生・60歳以上500円(400円)、小中学生100円(80円)
※( )内は団体10名以上及び渋谷区民の入館料
※土・日曜日、祝・休日及び夏休み期間は小中学生無料
※毎週金曜日は渋谷区民無料
※障がい者及び付き添い1名は無料
【問い合わせ先】
渋谷区立松濤美術館☏ 03-3465-9421
公式HP:https://shoto-museum.jp/
取材・文・撮影=増山かおり






