浮世絵に描かれた世界観を再現
江戸時代の浮世絵師・歌川広重によって描かれた名所江戸百景「王子装束ゑの木 大晦日の狐火」では、その昔、王子には毎年大晦日の夜に関東一円から稲荷神の使いである狐が集まり、一本の大きな榎の下で装束を整え、王子稲荷神社までそろって参詣したという伝承が描かれている。この伝承は江戸時代以前から地域に伝わるもので、1954年ごろには商店街の店主などを中心に装束稲荷奉賛会を立ち上げ、榎の木があったそばに装束稲荷を勧進。商店街のパワースポットとして親しまれていた。
「その後、奉賛会や商店街の有志が大晦日の伝承を由来に、真夜中にそろって王子稲荷へ初詣に行ったことがイベントのきっかけとなりました」と教えてくれたのは、王子狐の行列実行委員会事務局の横田さん。1993年に「王子狐の行列」として第1回が行われ、町おこしのイベントとして回数を重ねている。
メイクやお面で狐になりきる
参加者は一般公募も含めて約250人。裃や着物をまとい、狐面や王子流の狐顔メイクで狐に扮することが参加の条件だ。新年のカウントダウンと同時に装束稲荷を出発し、約1㎞離れた王子稲荷神社までの道のりを厳かに練り歩く。参加者が手に持つ黄色の提灯は「狐火」に見立てたもの。かつて人々は狐の発する狐火の数によってその年の豊凶を占ったといわれている。闇夜に黄色い提灯の明かりが浮かび上がり、周囲は幻想的な雰囲気に包まれる。途中、権現坂ガード付近で王子稲荷神社から迎えにきた狐との「提灯交換の儀」が行われ、深夜1時30分ごろ(予定)に王子稲荷神社に到着し、解散となる。
「行列に参加する人たちは思い思いの着物や狐面を身に付けたり、狐のメイクをしたりして楽しんでいます。近年は多くの外国人が参加者や観客としてお越しになりますよ」と横田さん。行列の出発地点となる装束稲荷は五穀豊穣や商売繁盛、火災除けといった稲荷神社の御利益のほか、「装束」の名にちなみ服に関する御利益もあるということなので、幻想的な行列を見学するとともに初詣のお参りもしてみては。
開催概要
「第33回王子狐の行列」
開催期間:2025年12月31日(水)・2026年1月1日(木)
開催時間:行列は24:00~翌1:30ごろ
会場:装束稲荷(東京都北区2-30-13)、王子稲荷神社(東京都北区岸町1-12-26)
アクセス:JR京浜東北線・地下鉄南北線王子駅から徒歩4分
【問い合わせ先】
王子狐の行列実行委員会事務局 [email protected]
URL:https://kitsune.tokyo-oji.jp/
取材・文=香取麻衣子 ※写真は主催者提供








