闇市を起源として発展した戦後都市の歩み
戦中、空襲による延焼を防ぐために実施された「建物疎開」は、住宅密集地の家屋を強制的に解体撤去し、空地を⽣み出した。この空地や戦争の焼け跡、路上などは、戦後の混乱期に暫定的・時限的に仮設の市場へと変貌。いわゆる闇市となり、その後役割を終えて徐々に姿を消していった。
都市の破壊者でありながら、同時に更新者でもあった戦争。戦後に⽣まれた闇市は、使命を終えつつも、東京をどのように再⽣したのか。また、戦後の⾼度経済成⻑は、都市をどのように刷新させたのか。
展覧を担当した学芸員の海老名さんは「東京の街を歩くと、不自然に残された余白や、妙に店が密集した路地に出会うことがあります。そうした場所には必ずと言っていいほど、かつて戦後の闇市が存在しました。戦後80年を迎えた今、本展では、新宿に焦点をあて、闇市から現代へと連なる都市空間の形成過程をたどります。展示をご覧いただくと、見慣れた街並みに新たな相貌が立ち現れることでしょう。ご鑑賞の後は、1948年の新宿を詳しく解説したハンドアウトを手に、ぜひ実際に街を歩いてみてください」と見どころを語る。
戦後闇市に対して単なる「不法占拠」といったイメージを超え、猥雑かつ活気あふれる都市空間を生み出した、パワーの源としてとらえる視点が興味深い。
9月13日(土)にオープン記念トークが開催
9月13日(土)14時~、本展監修・関西学院大学建築学部准教授の石榑督和氏を講師に迎え、「闇市と都市」展 オープン記念トークが『高島屋史料館TOKYO』5階旧貴賓室にて開催。副題「Black Markets and the Reimagining of Tokyo」に込めた都市の再定義、あるいは都市⾵景の再構築について語る。
開催概要
企画展「闇市と都市―Black Markets and the Reimagining of Tokyo」
開催期間:2025年9月13日(土)~2026年2月23日(月・祝)
開催時間:10:30~19:30
休館日:火(祝の場合は翌休)、12月31日(水)~1月2日(金)
会場:高島屋史料館TOKYO 4F 展示室(東京都中央区日本橋2-4-1)
アクセス:地下鉄日本橋駅から徒歩1分
入場料:無料
【問い合わせ先】
日本橋高島屋S.C.☏03-3211-4111(代表)
公式HP https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/tokyo/exhibition/
取材・文=前田真紀 画像提供=高島屋史料館 TOKYO





