丸石ビルディングや光世証券兜町ビルなど、幅広い建築装飾に注目
2020年9月〜2021年2月に開催された「装飾をひもとく〜日本橋の建築・再発見」展。それがきっかけとなり、監修を担当した五十嵐太郎氏による連載「日本橋の建築装飾」が、日本橋地域のタウン誌『月刊 日本橋』で開始された。現在連載は4年目に突入し、人気コンテンツとなっている。
本展は、『月刊 日本橋』におけるこれまでの連載を参照しながら、前回取り上げた中央通り沿いから、対象範囲をさらに広げる。例えば、『日本橋高島屋』から徒歩約10分圏にある、渋沢栄一ゆかりの地、兜町エリア。『ハリオグラスビル』(昭和7年〈1932〉)や『山二証券』(昭和11年〈1936〉)、『KABUTO ONE』(2021年)などの建築や装飾について紹介する。
また、取り上げる建築が多岐にわたる点も本展の特徴の一つ。
中世風のたたずまいをもつ『丸石ビルディング』(昭和6年〈1931〉)や、厳格な古典主義とは異なる『光世証券兜町ビル』(1998年)、さらに看板建築、ポストモダン、都市のレガシーを引き継いだリノベーション建築、インテリアまで、幅広い建築装飾に注目していく。
手に入れたい!「日本橋建築マップ」が今回も登場
前回の展覧会にて好評だった「日本橋建築マップ」も、今回は「日本橋高島屋S.C.装飾スタンプラリー」の要素を入れて、パワーアップして登場する。監修者の五十嵐太郎氏による詳細なテキスト解説と、建築ネットマガジン『BUNGANET』主宰の宮沢洋氏による建築イラストでできた、ここでしか手に入らない本展特製マップだ。
展示を担当した学芸員の海老名熱実さんは、「日本橋高島屋をはじめとする53の建築を紹介します。足元に広がるマップと展示什器を巡ることで、室内で日本橋建築巡りをしているような体験をしていただけます(天井を見上げると、なんと首都高も出現!)。そして、本展は展示会場を出てからが本番です。会場で無料配布している建築マップを片手に、日本橋高島屋店内、そして周辺のオリジナル建築群を巡ってください。日本橋の街そのものが、拡張した展示会場として立ち現れてくることでしょう」と、本展の魅力について語ってくれた。
展示を楽しみ、街を楽しむ、とっておきの日本橋散歩ができること間違いなしだ。
開催概要
「さらに装飾をひもとく―日本橋の建築・再発見」
開催期間:2024年9月14日(土)~2025年2月24日(月・休)
開催時間:10:30~19:30
休館日:月・火(祝の場合は開館)、12月30日(月)~1月2日(木)
会場:高島屋史料館 TOKYO 4F 展示室(東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋S.C.本館)
アクセス:地下鉄日本橋駅から徒歩1分
入場料:無料
【問い合わせ先】
日本橋高島屋S.C.☏03-3211-4111(代表)
公式HP https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/tokyo/exhibition/
取材・文=前田真紀 画像提供=高島屋史料館 TOKYO