入場無料で誰でも楽しめるインスタレーション・アートを体感
2000年代から国際展や美術館でパフォーマンス・アートを発表してきた米国在住のアーティスト、荒川ナッシュ医(あらかわなっしゅえい)氏。コラボレーションをアート活動の基本とし、「私」という主体を再定義しながら、アートの不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している彼のアジア初となる美術館での個展だ。
個展でありながら、松任谷由実と松任谷正隆、寺尾紗穂、千葉雅也、村瀬歩、ハトリ・ミホ、キム・ゴードンなど、目覚ましい活躍を見せているミュージシャン、哲学者、声優らが参加。協力する多数の画家による絵画が2000㎡の会場内の9つのセクションに分かれて「登場」する。誰もが美術館の床に絵が描ける作品など、入場無料で楽しめ、絵画とパフォーマンスの関係を探る新しい試みとなる。
クリエイターたちとのコラボという一期一会の化学反応は必見
『サマーレンタル』では、荒川ナッシュ医氏が、アメリカの美術家ラウシェンバーグが1960年に描いた4連作『サマーレンタル』に基づき、4点のLED絵画を制作。この絵画のために哲学者・千葉雅也氏が「絵画同士が会話する」という状況を戯曲で表現。さらに、声優の村瀬歩が声を担当し、散文的かつリズミカルな戯曲がインスタレーション・アートを生み出した。
また『Hello Hello Halo-Halo (ハロハロハロハロ)』では、デイヴィッド・メダラの1984年の自画像をもとに荒川ナッシュ医氏がLED絵画を制作。日本占領時代にマニラで泡をふきながら死にゆく日本兵を目撃したという幼いメダラのエピソードを念頭に、ハロハロというフィリピンの代表的なデザートを登場させる。ハードコアなフード楽曲を音楽家・ハトリ・ミホが書き下ろしている。
会期中は「ペインティングス・アー・ポップスターズ・ツアー」を毎週開催
アーティストによる即興的な展覧会ツアーが、会期中毎週開催される。荒川ナッシュ医氏いわく、この約30 分のツアーは「乗り降り自由。好きな時に参加して、好きなタイミングで離脱OK」とあくまで自由なもの。ツアーの予定は、その他のパフォーマンス・スケジュールとともに『国立新美術館』のホームページで案内する。
開催概要
「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」
開催期間:2024年10月30日(水)~12月16日(月)
開催時間:10:00~18:00(金・土は~20:00。入場は閉館30分前まで)
会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2)
アクセス: 地下鉄千代田線乃木坂駅直結、地下鉄六本木駅から徒歩5分
入場料:無料
【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8660
公式HP https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/eiarakawanash/
取材・文=前田真紀 ※画像は主催者提供