シュルレアリスムに影響を受けて開花した日本人画家の作品が一堂に

小牧源太郎『ラディオラリア』 1940年 板橋区立美術館蔵。
小牧源太郎『ラディオラリア』 1940年 板橋区立美術館蔵。

1930~40年代にかけて日本に紹介されたシュルレアリスム(超現実)とアブストラクト(抽象)芸術。日本の若い画家や画学生たちを熱狂させ、1930年代後半を最盛期に、シュルレアリストのエルンストやダリ、アブストラクトの作品で知られるモンドリアンなどに影響を受けた作品が次々に発表された。

戦争により一時中断されたものの、戦後画家たちはシュルレアリスムやアブストラクト、そして新たに紹介されたアンフォルメルの作品などに影響を受けながら、日本の社会や画家自身の内面を反映するような作品を発表し続けてきた。

担当学芸員の弘中智子さんは、「今から100年前にヨーロッパで生まれたシュルレアリスムと日本で同時期に流行したアブストラクト・アートは、戦前、そして戦後も若い画家たちを魅了し続けています。画家たちがそれぞれに解釈し、同時代の日本の社会と対峙しながら、競うように描いた作品を一堂にご紹介します」と見どころを語る。

また特集展示として、シュルレアリスムに影響を受け、長く板橋区前野町に暮らした画家・古沢岩美の作品と新収蔵資料を紹介。

シュルレアリスムとアブストラクトが日本の画家たちに与えた影響とその作品を目にする絶好の機会となりそうだ。

芥川(間所)紗織『女Ⅲ』 1955年 板橋区立美術館蔵。
芥川(間所)紗織『女Ⅲ』 1955年 板橋区立美術館蔵。
寺田政明『夜(眠れる丘)』1938年 板橋区立美術館蔵。
寺田政明『夜(眠れる丘)』1938年 板橋区立美術館蔵。
永井東三郎『作品』 1938年 板橋区立美術館蔵。
永井東三郎『作品』 1938年 板橋区立美術館蔵。

講演会やギャラリートークなど関連イベントも開催!

9月7日(土)講演会:1930年代日本の「前衛」地図 ― 抽象とシュルレアリスムへ

国立アートリサーチセンター主任研究員・谷口英理氏を講師に迎える講演会が、9月7日(土)14時~15時30分に『板橋区立美術館』1階講議室にて開催される。定員60名(先着順)。参加無料。事前申し込み不要、当日会場へ。

9月21日(土)美術講座:板橋のシュルレアリスムとアブストラクト

『板橋区立美術館』学芸員・弘中智子氏を講師に迎え、9月21日(土)14時~15時30分に『板橋区立美術館』1階講議室にて開催される。定員20名(要事前申し込み)。参加費500円。申し込みは、公式HP内の「申込フォーム」にて9月7日(土)9時より受付開始。

8月24日(土)・9月14日(土):学芸員によるギャラリートーク

8月24日(土)・9月14日(土)各日14時より30分間、学芸員によるギャラリートークが2階展示室にて開催される。事前申し込み不要、参加無料。当日2階展示室に集合。

開催概要

「館蔵品展 もっと魅せます! 板橋の前衛絵画 シュルレアリスムとアブストラクト・アート」

開催期間:2024年8月22日(木)~9月23日(月・休)開催時間:9:30~17:00(入館は~16:30)
休館日:月(9月16・23日を除く)、9月17日(火)
会場:板橋区立美術館(東京都板橋区赤塚5-34-27)
アクセス:地下鉄三田線西高島平駅から徒歩14分
入場料:無料

【問い合わせ先】
板橋区立美術館☏ 03-3979-3251
公式HP  https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000016/4001836/4001849.html

 

取材・文=前田真紀  画像提供=板橋区立美術館