町田はさまざまな味のラーメンが入り乱れる群雄割拠の地。どの店に入ろうかふらついていると、ふと、気づく。店名に番号、多くね? 何か秘密があるんじゃね? 抑えきれぬ好奇心に誘われ、ナンバーラーメンを探して歩く。
まず、仲見世商店街で『81番』を発見。塩スープが上品で、なんともやみつきになる味わいだ。聞けば、『40番』という姉妹店もあるという。さらに線路沿いで「124Ag」という暖簾が目に留まる。店名『いぶし銀』の語呂合わせのようで、品書きも「ジャパン」や「ターボ」とユニーク。そんな遊び心に興味を引かれて口にすると、なかなかどうして味は本格派。まんまと心を奪われた。
塩、醤油とくれば味噌も食べたい。調べてみれば『3SO』と、わかりやすい店名が。早速赴き麺をすすると、ベジポタ風の複雑で新感覚な味わいに、グッと胃袋を掴まれる。目にすれば楽しく、食べてみればしっかり旨い。こうなれば、残りのナンバーラーメンもコンプリートすべく、いざ行かん!
81番
至高の塩スープはあっさりながら複雑な味を内包
店主の倉田裕彰さんは、パイン入りラーメンを看板とする店で独立。2店目はパインを使わず「ノーパイン=No.81」の語呂合わせで店名を決めた。鶏だしに、3種の煮干しと昆布の和風だし、シイタケと白ハマグリのだしを合わせた黄金色のスープは、あっさりだが旨味が深い。追って、ホタテオイルの薫香が鼻腔(びこう)を抜ける。全粒粉入りの細麺は喉越し、香りともに良し。箸を進める手が止まらない!
『81番』店舗詳細
いぶし銀
醤油が香る豚骨魚介スープにほっとひと心地
前日に仕込んだ豚骨スープがベース。そこにアレンジを加え、多様なラインナップをそろえる。中でも人気はジャパンだ。数種の煮干しと混合節の魚介だし、ローストした地鶏を豪快に投入して作る醤油スープは、上品で優しい味わい。もちプリ中太麺との相性も◎。口に入れた瞬間にとろけるチャーシューにも恍惚(こうこつ)となる。ちなみに店名は「ある日、突然降りてきた」と、店主の東野(とうの)明弘さん。
『いぶし銀』店舗詳細
RA-MEN 3SO
味噌×魚介の新感覚スープに刮目(かつもく)せよ!
店主の杉﨑光幸さんは「新しいスタイルの味噌ラーメンを」と、味噌と煮干しを組み合わせたポタージュ風のスープを考案し、看板にした。味の決め手は、3種の味噌に野菜のペーストを加えた味噌ダレ。そこに豚と鶏の骨と煮干しでとっただしを合わせ、とろみあるスープに仕上げている。自家製ちぢれ麺に絡ませ一気にすすれば、煮干しの芳香がふわっ。味噌の塩味と野菜の甘みが口中を包む。
『RA-MEN 3SO』店舗詳細
まだまだあるぞ!ナンバーラーメン
紹介した以外では、『一番いちばん』や『三五八式』、『七面』、『九一麺』などが現役店舗として存在。過去には『69’N’ROLL ONE』が移転『鶏そば十番 156』、『六郷』が閉店していた。するとびっくり、すべての番号がそろっているではないか! ラーメン激戦区と言えど、ここまで番号だらけの街は、そうそうないだろう。
取材・文=高橋健太(teamまめ) 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2020年12月号より