丁寧さが伝わるピュアな味わい『KINONEDO』【神保町】
店内にはバラエティに富んだクッキーがずらり。卵と白砂糖、さらにバターも不使用で、素材の組み合わせを工夫することでそれぞれ味の奥行きや、食感の違いを生んでいる。ザクザクした歯触りのグラハムは、噛むごとに全粒粉ならではの強い旨味がじわじわ。まゆげどりは、隠し味の塩が朗らかな甘みを引き立てるシンプルなメイプルクッキーであり、老若男女に愛され、毎回5、6個まとめ買いする年配の男性客もいるとか。
●地下鉄神保町駅から徒歩3分。12:30～売り切れ次第終了、水のみ営業。東京都千代田区神田神保町1-32-22 ☎なし Instagram：kinonedo
和洋折衷のユニークなおやつパン『cobo』【末広町】
酵母にこだわる小さなパン屋。ルバン、サワー種など季節によって種類を替え、自分で作っているという。和菓子の要素を取り入れたパンが多く、なかでもベーグルサンドはユニークなラインアップ。抹茶白あんクリチサンドはフィリングのもっちりした舌触りが心地よく、むっちりしつつ歯切れのいいベーグルそのものとなじみがいい。植物性の材料から作る、ふっくらしたきなこあんぱんも人気。中に潜む滋味深い粒あんも自家製だ。
●地下鉄銀座線末広町駅から徒歩2分。11:00～売り切れ次第終了、火・木・金のみ営業。東京都千代田区外神田3-7-7 ☎なし Instagram：coubopan
しっとりむっちりの新食感スコーン『Nutrients Confectionary Shop』【神田】
普段はケータリングを中心に料理を提供している店主の越智美恵子さん。パティシエともパン職人とも違う、料理人ならではの発想で作るスコーンはいわゆる王道ではないが、新たな食の楽しみを教えてもらった気分だ。牛乳やバターではなく、クリームチーズやヨーグルトのような発酵乳製品を生地に加えることで、唯一無二のしっとり食感に。個性のある食材やスパイスの香りが口の中で複雑に絡み合い、五感を楽しませてくれる。
●JR・地下鉄神田駅から徒歩4分。12:00～16:00、水のみ営業。東京都千代田区神田須田町2-3-12 12KANDA B1 Kitchen3 ☎なし Instagram：ltd.nutrients
華やかなシフォンサンドにうっとり『maru.』【神保町】
ショーケースに並んでいるのは、シフォンケーキのフルーツサンド。かぶりつくと、まずシフォンケーキのコクのある甘さが広がり、フレッシュな果汁がパッと弾はじける。全体を一つにまとめ上げるのは、たっぷり挟み込まれた純度の高い生クリーム。ボリューミーなのに、落ち着いたキレのいい甘みでどんどん食べてしまう。焼き菓子もリピーターが多く、手みやげにぴったり。ネコクッキーは常連客に「昭和の味」と喜ばれる素朴さがいい。
●地下鉄神保町駅から徒歩4分。10:00～18:30ごろ、日休（土・祝不定休）。東京都千代田区神田神保町2-48-10 ☎03-5215-5549 Instagram：m_a_r_u.cakes
看板商品の陰に潜むここにしかない味『御茶ノ水小川軒』【御茶ノ水】
店の代名詞といえば、2代目からその息子たちに引き継がれた元祖レイズン・ウイッチ。三男の小川洋さんが営む御茶ノ水店には、看板商品の影に隠れたここにしかないお菓子が。レイズン・ウイッチの生地で作る塩サブレーは、ミネラルを含んだクリスマス島の塩をあえて練り込まず、上から振りかけてから焼くことでキリッとした後味に。フィナンシェは、週1、2回（火・時々木）焼きたても提供。発酵バターの芳醇な香りにうっとり。
●JR・地下鉄御茶ノ水駅から徒歩3分。10:00～17:30（土は10:00～17:00、イートインは11:30～16:30）、日・第3土休。東京都文京区湯島1-9-3 ☎03-5802-5420
取材・文＝信藤舞子 撮影＝加藤熊三
『散歩の達人』2025年5月号より
