ひとひねりが楽しい飲み横の新繁盛店『酒呑倶楽部アタル』
品書きのポテサラやカウンターの煮込み鍋で大衆酒場の空気を感じさせつつ、ポテサラにはカレー粉やたくあんがたっぷりのるなど新たな試みも。「エッジが利きすぎない遊び心を大切にしています」と店長の星野洋平さん。名物の蒸しつくねは、ふき味噌とお餅を使うなどおいしいアイデアが炸裂! お酒は石川の菊姫など名酒揃いの日本酒と、島バジルレモンサワー 580円などサワー類が主役だ。
『酒呑倶楽部アタル』店舗詳細
串が折れそうなデカさに震えろ『もつ焼き やまぴー』
低温調理のタン刺を頼むと断面が美しき桜色。プリッとした舌触りにもつやきへの期待が高まる。カシラとハラミを串打ちしたスタミナはステーキのような圧倒的肉感。ホルモン(シロ)は激辛で、これ一本で生中一杯いけそう。真打ちはずしっと重いレバー。トゥルトゥルの官能的食感に完全KOなのだ。店主の山下晃将(あきひろ)さんいわく「ポーションを大きくし過ぎたせいか、最近けんしょう炎気味っす」。店の奥にはテーブル席も用意。
『もつ焼き やまぴー』店舗詳細
品揃えは日本随一クラフトビールの夢の国『びあマ』
北千住の業務用酒販店がクラフトビールの奥深き世界を広めたいと始めたこともあり、扱うその数は1000種、40カ国以上! 「この中から本当に自分好みのビールと出合えるかもしれない。その仲人になれたら」とクラフトビール博士の店長・石田哲也さん。樽生を味わえる日替わりのタップリスト10種から選ぶも良し、奥の冷蔵庫からジャケ買いして角打ちで飲むのもまた楽し、なのだ。
『びあマ』店舗詳細
味変も濃さも自由自在のどぶ漬けとは?『素揚げ酒場 パリパリ』
2017年の開店ながら、白地ののれんや特徴的な提灯など古きよき酒場の雰囲気を上手にブレンド。名物の大山鶏パリパリ半身揚げは、昆布や香味野菜からとった自家製出汁に一晩漬け込んであり、中まで出汁の風味が染みているのだ。お酒の提供方法でおもしろいのがどぶ漬け。カウンター前に置かれた氷冷ボックスから、客が自由に選んだ割り材で宝焼酎を割れば、自分好みのチューハイに!
『素揚げ酒場 パリパリ』店舗詳細
40年以上注ぎ足しの八丁味噌スープ『藤や』
「40年以上続いた理由?人柄かな」「私のね」なんて掛け合いが楽しい須藤一弘さん・三枝子さん夫婦が切り盛り。串に刺し鍋でグツグツやる名物の煮込みは、初代が考案。「お義父ちゃんは酒飲みでね。自分で煮込みを研究してたどり着いたのがこの味なの」。八丁味噌を2種使い、あとはショウガとニンニクを少々だけ。それを40年以上、ずっと注ぎ足し使うことで、モツの旨みがしみ出し、コクのある妙味が生まれるのだ。「毎日炊かないといけないから大変だけど、この味は変えられないわ」。
『藤や』店舗詳細
偶然が生んだ煮込みの日印同盟『カラオケ居酒屋 モアナ』
「ハワイで別荘の管理の仕事をしてたとき、毎日BBQをやって炭火焼きのイロハを学んだのよ」とはファンキーな店主・椿浩行さん。炭で焼くモツ焼きと並ぶ名物が、カレーモツ煮込み600円だ。「もともと店でカレーを出してたんだけど、ある日うっかりカレーをモツ煮に混ぜちゃって。でも、それをお客に出したらウケてさ」。味噌で煮込んだ新鮮な和牛の大腸やフワなどと相まってカレーはまろやかになり、酒のつまみに抜群。ネギの代わりにフライドオニオンを散らしているのがまたニクい。
『カラオケ居酒屋 モアナ』店舗詳細
煮込み鍋の長湯で串が旨みを猛烈吸収『ささや 北千住』
カウンターの煮込み鍋が醸す大衆的な雰囲気と、整然と並ぶ調理道具や流れるジャズなどが生み出す凛(りん)とした空気のブレンドが心地よい。代表の草野英雄さんは銀座・新宿の名酒場『ささもと』で修業しており、名物は直伝の煮込みと串焼き。信州味噌のスープで煮込むフワやシロは味噌だけとは思えぬほど妙味。「うちは串焼きもこの鍋で煮込んでから焼く部位もあるし、キャベツ煮込みもここで煮込む。野菜や脂のうまみが染み出してるんです」。
『ささや 北千住』店舗詳細
甲殻天国で指までちゅぱちゅぱ『えびかに家』
「むほー」「どうやって食べるの!?」。出されたソフトシェルクラブの唐揚げや赤エビの刺身各980円~に、客はみんな大興奮。「界隈には焼き鳥やもつ煮の名店が既にある。だから、自分の好きなエビカニで勝負したくて」と大松澤康郎(おおまつざわやすお)さん。ほぼ全員が頼むブラックペッパーシュリンプ580円はたっぷりの黒胡椒と蜂蜜でコクを出したソースが辛うまでビールを誘引。女子の多くが頼むえびマヨ780円はマンゴーソースを入れた甘いマヨソースが揚げたエビの衣に絡み、忘我の旨さなり。
『えびかに家』店舗詳細
クラフトビールの女神『さかづきBrewing』
大手ビール会社の商品開発からビール醸造家に転身し、これまでに300種以上のビールを造ってきた金山さん。よりおいしいものをと、東口から西口の広いスペースに2015年移転。常時9種のビールを造り、3人のシェフが腕を振るう。看板の風月ペールエールのほか、1階立ち飲みカウンターでは、ビールのテイクアウトもできる。
『さかづきBrewing』店舗詳細
取材・文==鈴木健太、高野ひろし 撮影=逢坂聡、丸毛 透、オカダタカオ