メキシコで朝な夕な食べられる国民食といえば、トルティーヤに具材をのっけたタコスだ。日本には、アメリカで進化したテクスメクススタイルが入っていたが、昨今、本場メキシカンにインスパイアされたタコスが三茶で急増中だ。
店主たちは皆、「たまたま」と口にするが、巨大飲み屋街では昼酒派がもとより回遊し、アメリカの大学の日本分校に通う教授や学生が狂喜乱舞。酒をたしなまぬファミリー層にもじわじわ浸透し、三茶のローカルフードになる日は近い!?
和の素材とのコラボが新鮮な東京タコス『タコスバル TACOYOTE』
右から“コヨーテマルガリータ”レモンサワー880円、タコスはガーリックシュリンプ550円、コヨーテのポーク430円、白身魚のいぶりがっこタルタル550円、ポーク&パイン490円。
横田基地近くで育った店主の加藤宏さんはタコスになじみ「タコスはいつか日本でも定番になる」と信じていた。そして東京タコスと銘打ち、2020年にバルを開店。季節限定を含めた約30種の創作タコスは、一つひとつ味の世界観を変え、和の素材も多用。驚くのが、いぶりがっこ。タルタルに刻み入れ、スモーキーな香りと小気味よい食感が酒を呼ぶ。コーントルティーヤの口どけもよく、全制覇を目指したくなる。
バースタイル。
鉄板で焼く。
『タコスバル TACOYOTE』店舗詳細
住所:東京都世田谷区太子堂5-15-13 コーディスハウス1F /営業時間:18:00~翌1:00LO(トルティーヤ売り切れ次第終了)/定休日:日/アクセス:東急電鉄田園都市線・世田谷線三軒茶屋駅から徒歩7分
アメリカンとメキシカン、昼夜で違うタコスを堪能『藤花食堂』
夜のメキシカンタコスは2p 790円。写真は右からパストール、カルニータス。
「手づかみで食べるスタイルが格好いい」と、店主の工藤雅史さんはタコスに開眼。小麦粉の大盤トルティーヤを用いたアメリカンはボリューミーで、小ぶりのメキシカンは夕方からのお楽しみだ。メキシコ定番のカルニータスは、一見シンプルながら、スパイスやオレンジの皮で煮た豚肉がうまみの坩堝(るつぼ)。外国人、子連れなどが次々と来店しては、時間を気にせず、2階や店前のベンチで食事したり、酒を飲んだり。のどかだ。
2ピースずつ提供。
Tex-MexタコスのBBQプルドポーク ポテト付き990円、メスカルハイボール880円。
「テイクアウト、ハワイ料理もあります」と工藤さん。
『藤花食堂』店舗詳細
住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-13-1/営業時間:11:00~23:00(メキシカンタコスは16:00~)/定休日:水/アクセス:東急電鉄田園都市線・世田谷線三軒茶屋駅から徒歩10分
菜尽くしで健やか&活力を注入『PARA TACO』
カウンターの他、ベンチシートのテーブル席もありゆったり。
皿を彩るのは4種4色のタコス。体を壊した折に野菜の偉大さを痛感したオーナーが「ひと口食べて笑顔になる」と、愛するタコスに工夫を重ねて考案。栃木のキラ星農園直送の無農薬野菜を用い、コーントルティーヤには黄にターメリック、緑にケール、赤にトマト、黒に竹炭を練り込んだ。しかも、ひよこ豆、大豆ミートを取り入れたビーガンスタイル。酒もいいが、爽やかな発酵茶・コンブチャで腸活すれば、ととのう~。
オリジナルタコスセット1430円。手前からコンブチャのプレーン600円、シーズナルの甘酒700円。
野菜入りのトルティーヤ。
昼間のみ営業だが、アルコールも揃う。
『PARA TACO』店舗詳細
住所:東京都世田谷区太子堂4-18-4 TSビル1F/営業時間:11:00~17:00/定休日:無/アクセス:東急電鉄田園都市線・世田谷線三軒茶屋駅から徒歩3分
取材・文=林さゆり 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2025年1月号より