何度でも食べたくなる醤油味の中華そば『中華そば ふうみどう』
間口が広く、入りやすい雰囲気の『中華そば ふうみどう』。看板商品は、旨味を抽出することに力を入れた醤油味の中華そばだ。
「ベーシックな中華そばを今風に作っています。よく『昔ながらの中華そばだね』と言われますが、昔のスープはこんなに“分厚く”はなかったはずです」と語るのは店主の石井さん。
店長が言う「分厚さ」とは、旨味の強さや複雑さのこと。スープは動物系と魚介系を別々に炊き、最後に2つを合わせて、もう一度火を入れる。その結果、一体感のある、まさに“分厚い”スープができ上がる。やさしい醤油味は、軽やかで飽きがこない。
麺はスープがよく絡む中細ストレート。チャーシューもスープを邪魔しない味付けだ。「いかにスープを味わってもらうか」、そのために一杯が作られている。
複雑な旨味と、そしてナルトがのったビジュアルのコンビネーション。「昔懐かしい」を超える一杯を味わいに行こう。
『中華そば ふうみどう』店舗詳細
初めての人にもやさしい二郎系ラーメン『豚NOVA』
2023年10月にグランドオープンしてからというもの、訪れる人が絶えない二郎系ラーメンの店『豚NOVA(ぶたノヴァ)』。店を開くにあたって目指したのは、二郎系ラーメンを初めて食べる人にも、各地の店舗を食べ歩くコアなファンにも満足してもらえる店にすることだ。
平たく太く、少し縮れている麺は、コシが強くてしっかりした食感。食べ始めに野菜の下から麺を持ち上げようとすると、割り箸の方が折れてしまいそうなほどだ。「伸ばした生地、麺帯を何層にも重ねて芯を強くしています」と店主の程田さんは話す。
そして「二郎系」といえば、スープの味が一定ではないこともよく知られている。時間帯や作る人によって生まれる味のブレも大きな魅力のひとつ。スープは豚のゲンコツと背ガラ、チャーシューに使うバラ肉、野菜も一緒に煮込むのが『豚NOVA』流。特にチャーシュー用の肉から出る旨味と野菜から出る甘みがポイントだ。
『豚NOVA』店舗詳細
幻の地鶏、天草大王の旨味と取り寄せた醤油が香る『ガラージ製麺所』
2005年から営業していた「麺屋がらーじ」の休業を経て、2021年11月に『ガラージ製麺所』と店名を少し変えてお店を再開した。リニューアル後は、店主・細野さんのこだわりがさらにパワーアップした一杯を提供している。
自慢の細麺はツルツル。小麦は2つの製粉所から取り寄せていて、北海道産3種類を中心に、滋賀や岩手の小麦をブレンドするというこだわりぶり。ミネラル分を多く含むため少し色がグレーがかっているのも特徴だ。
立ち上がってくる醤油の香りに華やかさがある特製ラーメンは、スープには幻の地鶏といわれる熊本の天草大王をメインに、名古屋コーチンなどのブランド地鶏を使用。温度を細かに調整しながら6時間をかけて抽出する。
こだわりのスープの色は、濃い目だが、ひと口飲むと、色の印象とは違って醤油の味が濃いわけではなく、まろやかで、かすかに甘い。トッピングのチャーシューも店主が信頼をおくお肉屋さんから仕入れている。素材へのリスペクトが感じられる一杯をぜひ味わおう。
『ガラージ製麺所』店舗詳細
一杯に太さの違う7種の麺を使う個性派 『麺創研 紅 国分寺店』
『麺創研 紅』は府中に本店があり、国分寺店は2015年にオープンした。名物は熟成味噌を主体として数種類のスパイスを独自にブレンドした味噌ダレに、動物系のスープ、自家製ラー油を加えた辛いラーメン。ニンニクも効いていて、辛さの中にある旨さが人気の秘密だ。
ラーメンが持つ最大の特徴は、同じ一杯に、2mmから1cmまで7種類の太さの麺が混ぜて使われていること。つまり、ひと玉に太さの違う麺が混ざっているのだが、別々に作って混ぜているわけではない。
自社の製麺所で特注の切り刃を使って、太さの違う麺を一度に作っている。生地は加水率が多め。切り出したあと、さらに縮れやひねりを加えて、スープとの絡みをよくするよう考えられている。そして、どの太さの麺もすべて一度に茹でられる。茹で時間は7分弱で、太さごとにゆで加減が異なる点もポイントだ。太い麺はもっちり、細い麺は柔らか。ひと口食べるごとに違う組み合わせになる楽しさがある。
トッピングの野菜と豚バラ肉もたっぷりでボリュームのある一杯は、身体が温まって、食後はやる気まで高まりそうだ。ランチタイムから夜まで休憩がない通し営業なので、忙しいビジネスパーソンにもおすすめ。
『麺創研 紅 国分寺店』店舗詳細
野菜ジュース入りのスープと選べる麺の形を楽しむ『自家製麺つけ麺 紅葉』
つけ麺専門店の『自家製麺つけ麺 紅葉』を訪れたら食券を買う前に確認するべきことがある。まず、夜と昼ではメニューが異なり、合わせて10種類以上の太さや形状が異なる麺があること。その上、麺の量は180g(小盛)から640g(特大盛)まで6段階もあること。店主の湯澤さんは麺に合わせて作り方、寝かせる時間まで調整。どれだけの情熱で試作を繰り返したのかと驚いてしまう。
つけ麺用のスープは、3日間かけて作っている。材料として使うのは、豚のゲンコツや豚足、鶏のもみじ、丸鶏など動物系と、カツオ、アゴ、サバなど魚介系に、さらにキャベツや玉ねぎ、りんごなど複数の野菜と果物を使った自家製のジュース。
複数の野菜を使っているのは、動物系のスープにある臭みを消すという目的だけでなく、スープに自然な甘さを加えるためだ。「野菜と果物が入ることで、胃もたれしないやさしいスープになっています」と店主の湯澤さん。手が込んだ複雑な味わいで、体にもやさしいというわけだ。
スープを味変するため、玉ねぎのみじん切り、揚げ玉、生姜も用意。緬をさっぱりさせるためにレモン酢まである。つけ麺1皿をいくつもの味で楽しめるように準備されているのも店主・湯澤さんのアイデアだ。
『自家製麺つけ麺 紅葉』店舗詳細
米酢が決め手!こだわりの坦々麺が定番人気『楓凛』
体にやさしい中国料理を謳うお店『楓凛(ふうりん)』。地元の野菜を使ったメニューが人気だが、楓凛こだわりの担々麺も定番としてファンが多い。担々麺は、店主の小山さんが最初に勤務した老舗中国料理店の名物メニューがベースになっている。
まずは、スープをひと口。練りごまのコクに、香ばしい自家製ラー油の辛みの組み合わせは言わずもがなの旨さ。その中にやさしい奥行きを発見。オーナーシェフの小山さんによると「米酢を少し多めに入れているんです」とのこと。この米酢が『楓凛』独自のアレンジになっているそうだ。
トッピングの豚ひき肉は甘みのある中国の味噌、甜麺醤(テンメンジャン)で味付け。緑が鮮やかなチンゲン菜は湯通しされて緑が鮮やかでシャキシャキと歯触りもいい。
ビジネスパーソンがランチや宴会に利用したり、落ち着いた年代の夫婦が食事にやってきたりと、大人が過ごしやすい和やかな店で絶品担々麵を味わってはいかが?
『楓凛』店舗詳細
名物らいおんらーめんのたてがみはたっぷりの白髪ネギ『国分寺らいおん亭』
店名の「らいおん」は、たてがみを模した白髪ネギをトッピングしたメニュー・らいおんラーメンに由来している。その白髪ネギは、スパイスとごま油の風味、ネギの辛味とが相まって食欲が湧くだけでなく、ビールも欲しくなるような味わいだ。
味噌、醬油、塩とそれぞれ楽しめる同店だが、なかでも人気メニューは味噌味の、味玉らいおんらーめんだ。3種類の味噌にピーナツバターなどをブレンドした味噌ダレと、豚の背ガラと鶏ガラを7対3の割合で煮込まれたスープはコクとまろやかさの中に、ピリッとした辛さがアクセントになっている。
麺は喉越しのいい平たい中太麺。スープはもちろん、特に白髪ネギのトッピングも、チャーシューもそれぞれに個性的。それなのに、まとまりと安心感のある一杯だ。
3個280円から食べられる餃子も名物。「店で肉だねを作って包んでいます。中粗挽きのひき肉とは別に肉汁を仕込んで混ぜ込んでいるのが特徴です」とオーナーの佐々木さん。太っ腹なサービス券のシステムがあって、近隣の学生たちにも人気だ。
『国分寺らいおん亭』店舗詳細
本格的な中国の麺料理、重慶小麺を味わう『中華バル麻辣チャオ』
店主の水野さんが、お店を訪れる中国出身者に好評だと勧めてくれたのが重慶小麺(じゅうけいしょうめん)だ。「重慶は中国で最も人口が多い都市で、その町の名前がついたシンプルな麺です」
四川省の一部だった重慶は、四川同様、辛い料理が名物。水野さん自慢の重慶小麺も思わず声が出てしまうほど真っ赤な見た目をしている。一見シンプルな見た目だが、自家製ラー油の赤みの上に、とろみをつけた挽き肉、四川名産のヤーツァイ(芽菜)とザーサイの漬物を混ぜたもの、そして青みとして枝豆と香菜がトッピングされていて、味も食感もバラエティ豊か。
鶏ガラをメインにとった中華の基本スープ・清湯と、スープに加えた黒酢の酸味の相性も抜群だ。スープを口に入れるごとに甘さを感じて、もっと味わいたいとレンゲをすくう手が止まらない。
『中華バル麻辣チャオ』は、メニューが豊富。麺料理も、担々麺だけでも4種類あり、重慶小麺以外にも中国各地の麺料理も豊富だ。
「中華料理は、麺類だけでも種類がたくさんあります。地方の麺料理を作ることも多いんですよ」と語る店主の水野さん。本場の味を国分寺の人たちに届けて喜んでもらいたいという姿勢に何度でも通いたくなる。
『中華バル麻辣チャオ』店舗詳細
武蔵野発祥。水にもこだわる油そば『宝華らぁめん 国分寺店』
油そばは、東京・武蔵野地域で発祥したという説が有力。油そばが名物の店、『宝華らぁめん』は立川に本店があり、オーナーは東小金井に今もある中華料理店『宝華』で修業したあと、のれん分けで『宝華』の名物料理・油そばをメインとした『宝華らぁめん』を開いた。
2009年にオープンした国分寺店は、駅から近く、広い店内はテーブル席も多いので、家族やグループでも入りやすいお店だ。
『宝華らぁめん』の油そばには、たっぷりのかいわれ大根とナルトが丼に彩りを添えている。中太麺にはすでに醤油だれと油が絡められていて、弾力もあって喉越しもいい。
味の要となるタレは秘伝。オーナーが立川の本店で作ったものを国分寺店でも使っている。「油そばの中ではさっぱり系だとよくお客さんから言われます」と店長の大木さん。全体的にシンプルながら、飽きが来ない。麺にプラス250円で提供されるランチセットの半チャーハンも「こういうのが食べたいんだよねぇ」とニマニマしてしまう王道の味。気軽におなかいっぱいになりたい時におすすめの店だ。
『宝華らぁめん 国分寺店』店舗詳細
取材・文・撮影=野崎さおり