駄菓子屋感覚でクッキー1枚50円『Kies』

西荻の近くで生まれ育った堀さん。
西荻の近くで生まれ育った堀さん。

骨董通りを歩くと、ガラス越しに瓶詰めされたクッキーやビスケット、ケーキの並ぶ姿が見え、思わず立ち止まる。店主の堀さん曰く「駄菓子屋さんのように気軽に」、客が好きなクッキーを1枚から選んで買う。焼き菓子の種類によって素焚糖やブラウンシュガーなどの砂糖を使い分け、味や食感がさまざまに。お酒に合う、塩が効いたカレーやクミンのクラッカーは〝大人〞も満足だ。

イートイン8席。イギリス紅茶や国分寺『どりっぷ』のコーヒーを。
イートイン8席。イギリス紅茶や国分寺『どりっぷ』のコーヒーを。
時季によりさまざまな果物を使ったケーキが楽しめる。
時季によりさまざまな果物を使ったケーキが楽しめる。
左上/抹茶&ココナッツビスケット70円。右上/全粒粉ビスケット70円。左下/THANKSクッキー50円。右下/かぼちゃビスケット80円。
左上/抹茶&ココナッツビスケット70円。右上/全粒粉ビスケット70円。左下/THANKSクッキー50円。右下/かぼちゃビスケット80円。

『Kies』店舗情報

住所:杉並区西荻北4-35-5/営業時間:12:00~ 19:00/定休日:火・水(不定あり)。/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩10分。

飲んだ後に寄りたい夜型ジェラート店『Mondo Gelato』

食材は国産オーガニックが中心。
食材は国産オーガニックが中心。

本場・イタリアを何度も訪れるうちにジェラート熱が高まり、脱サラして開業した店主の角田智美さん。この地を選んだ理由は「『西荻で買い物したい』という地元愛が強い人が多いと感じたから」。定番のミルクとチョコソルベ、季節の果物の他に、霧島産のほうじ茶や玄米茶を使った風味豊かなお茶のジェラートが人気。平日・土曜は22時まで開いているので飲んだ後の締めにもいい。

男性も気軽に入りやすいシックな外観。
男性も気軽に入りやすいシックな外観。
シングルコーン530円よりお得なダブルコーン580円。人気のほうじ茶とチョコミント。
シングルコーン530円よりお得なダブルコーン580円。人気のほうじ茶とチョコミント。

『Mondo Gelato』店舗情報

住所:杉並区西荻北3-18-10 /営業時間:14:00~ 22:00(土は12:00~、日は12:00~20:00)/定休日:月(祝の場合は火・不定あり)。/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩3分

からだにやさしいホッとする焼き菓子『Sing』

「『Khanam』のオーナーの応援が心強い」と安楽さん。
「『Khanam』のオーナーの応援が心強い」と安楽さん。

西荻で10年続く焼き菓子店『Khanam』が営んでいた喫茶「trim」が今年4月に閉店。内装はそのままに『Sing』として開店したのは、元「trim」店員の安楽真由さんだ。接客から菓子作りまでを一人でこなすも、「お客様がどれにしようか迷っているのがうれしくてメニューは減らせない」と笑う。植物性食材のみを使い、「ホッとできるような味の」マフィンやプリン、タルトを販売。

左上/さつまいもと黒ごまのお豆腐キッシュ450円。右上/ほうじ茶あずきのソイプリン320円(要予約)。下/マフィン360円。
左上/さつまいもと黒ごまのお豆腐キッシュ450円。右上/ほうじ茶あずきのソイプリン320円(要予約)。下/マフィン360円。

『Sing』店舗情報

住所:杉並区西荻南1-19-20/営業時間:11:30~ 17:30LO/定休日:木・金/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩7分

70年の歴史が詰まった皆に喜ばれる洋菓子『こけし屋』

「お客様からのいただきもの」を含むこけしが壁に並ぶ。
「お客様からのいただきもの」を含むこけしが壁に並ぶ。

作家や画家などの文化人から地元の人に愛され、70周年を迎えた『こけし屋』。「創業者の教えを守り、チェーン展開をせずやってきました。朝、本館6階で作ったケーキは、ここと荻窪タウンセブン店でその日のうちに売ります」と支配人の河野義広さん。ケーキや焼き菓子は並ぶとすぐに売れていく。1000円でケーキを3個買い、鈴木信太郎の包装紙に包んでもらえる幸せが今もある。

定番人気のサバラン259円から新作のデラックスショートケーキ518円までケーキは約20種類。
定番人気のサバラン259円から新作のデラックスショートケーキ518円までケーキは約20種類。
中央/こけし屋サブレ135円。右下/チョコをサンドしたサブレ162円。右上/もっちりとした食感が人気のレーズンパイ145 円。左/クッキー小缶2430円は正方形から長方形にリニューアル。
中央/こけし屋サブレ135円。右下/チョコをサンドしたサブレ162円。右上/もっちりとした食感が人気のレーズンパイ145 円。左/クッキー小缶2430円は正方形から長方形にリニューアル。

『こけし屋』店舗情報

住所:杉並区西荻南3-14-6/営業時間:本館1F(洋菓子販売)9:00~ 21:00、レストラン・別館11:00~ 20:00LO/定休日:火/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩1分

取材・文=川端美穂(きいろ舎) 撮影=オカダタカオ

『散歩の達人』2019年11月号より

JR西荻窪駅を中心として北は善福寺川、南は五日市街道あたりまで広がるこの街。「西荻窪」という地名は1970年に廃止され現存しないが、“西荻(ニシオギ)”という街の存在感はむしろ年々増している。吉祥寺駅と荻窪駅の間に位置し、「松庵」など高級住宅地を擁するせいで、中央線の中では比較的上品なイメージで語られることも多い。しかし、ひとたびこのエリアを歩けば、上品などころかかなり個性的な地だということが分かるだろう。店主がそれぞれの哲学を貫く店と、それらを愛してやまない住民が集まる、けっこう熱くてヘンな街なのだ。