進化し続けるフランス菓子の“今”を体験『EN VEDETTE』[清澄白河]
目当ては令和の最新フランス菓子。オーナーパティシエの森大祐さんは本場での修業経験を活かしつつも、「現在のパリでクラシックスタイルは少数派。店ごとに個性はさまざまです」と自身も我が道を追求する。店名を冠した一品では中華で使われる松の実をラムレーズンと合わせ、芳醇な香りを引き出す。濃厚な味わいと軽やかな口当たりを兼ね備え、一口目から後味に至るまでのめくるめく展開が完璧。
『EN VEDETTE』店舗詳細
「食べたいもの」を愛情を込めて具現化『PÂTISSERIE OURS』[清澄白河]
「妻が食べるのが好きで、リクエストをもらうことが多いです」とオーナーパティシエの福山岳詩さん。こぢんまりした店内には、食べる側の期待に応えるこれぞという精鋭が揃う。国産の島レモンが主役のタルトは、「義父が採ったハチミツ」がバシッと味を支える季節商品。焼き目をしっかりつけることでザクッとした歯応えに仕上げ、その香ばしさが素材の味を口の中いっぱいに押し広げる。
『PÂTISSERIE OURS』店舗詳細
いくつもの仕掛けが味わい深さを生む『patisserie collage』[門前仲町]
「街の人の要望で総菜パンまで作るようになりました」。オーナーパティシエの岩越正大さんは照れくさそうに笑うが、パン作りの技術はサバランなどのブリオッシュ生地に磨きをかけた。コニャックが優雅に香るサバランは、浸透率まで考えられ、生地のふわっとした食感が残る部分と、じゅわっと酒が染み込んだ部分のグラデーションが秀逸。そんな「ちょっとした仕掛け」があらゆる商品に潜む。
『patisserie collage』店舗詳細
素朴さと品のよさがケーキの中に同居『MARRY’S』[森下]
店主の坂東和洋さんはこの道40年。基本を重んじ一つひとつ手作りした品々は、どれを食べても雑味がなく甘みは穏やかで、丁寧な仕事ぶりがうかがえる。看板商品のマリーズにもそれが表れ、底部に潜めたカスタードクリームやチョコレート、パイ生地など盛りだくさんにもかかわらず、切れのいい後味。モンブランのスポンジはしっとりしながらふっくら弾力も保ち、頬張るとたちまち夢心地。
『MARRY’S』店舗詳細
工場併設のカフェで手作りの味を堪能『Bliss cafe produced by RAMVIC』[清澄白河]
カフェやホテルに卸すOEMの工場だが、全工程の8~9割が手作り。併設のカフェでは、直売所ならではの臨場感と共にできたての味を楽しめる。カヌレのカリッ、もちっとした食感やバターの風味を存分に堪能するには、焼きたてが店頭に並ぶ11時ごろが狙い目。マリトッツォは常時4、5種類あり、白桃のピューレやカットした果肉を忍ばせた季節商品は6月末までのラインナップだとか。
『Bliss cafe produced by RAMVIC』店舗詳細
取材・文=信藤舞子 撮影=オカダタカオ